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ゲームデザイナー Saashi の仕事部屋〜2020年5月後半

Saashi & Saashi(サアシ・アンド・サアシ)のSaashiです。今回は2020年5月後半の何日かの分を。わりと心身共に元気だったし、通常運転な日常だったような気がします。

「ゲームデザイナーSaashi の仕事部屋」シリーズについて
京都でアナログゲームを作っているんですが、手書きで日記書くのがだいたい滞って記録が記録にならないので、noteで綴ってみようかと思い、書き始めてみてるシリーズがこちらです。半月に一度くらいで載せてます。
ただ、わりと忙しくしている気がしているわりに、特に変わり映えしないので地味すぎる日常ですが、自分の備忘録的に書いています。全日の日記でもないし、その時思ったこと書くだけの日とかもありそうですが、「こういう人もいるのだな」と気楽な感じでお目通しいただけると幸いです。

5月後半某日

久々に4人でボードゲームを遊ぶ。先月に予定していたものの流れてしまった自宅会を仕切り直しで行なう。対人で遊ぶボードゲームはやはり楽しい時間です。あと、ちょっと整え直したテストキットでのプレイテストも。想定していた層と異なる方にやっていただいて存外盛り上がるのを見るのも、そうでないのも、勉強になります。

5月後半某日

このところ、欧州や北米からの問い合わせが増えつつある。その多くは海外のショップや個人客からの購入希望や取引希望の問い合わせで、少しずつ現地の日常が戻りつつあるということなのかなと感じる。そして同時に初めての出版社からの新規問い合わせも増えてきてもいる。

ということはやはりこの3月4月の件数はこれまでに比べるとわりに緩やかだったのだ。その時期に届いた問い合わせで返せていないのもあるけれど、急ぎの連絡ぽいものから見繕って連絡していく。淡々とやるしか減る術がない。

これまで連絡取り合っていた海外出版社のレスポンスもこの時期を境に、また早くなった印象で、欧州も新しい状況下での日常のリズムを掴みつつあるようにいよいよ思えてくる。もしそうなら喜ばしいことです。

ただ、日本からは相変わらず、郵便局を使っての荷物は米国や豪州へは未だ送りづらく、欧州でもNGな国がちらほらあって、うっかり受注するのも困りものという状況は続いている。通販での購入者から入金されたあと、発送が数週間後というのも互いに困るので。まだ積極的に問い合わせに答えづらい状況ではあり、地域によっては返信しづらくもあり、また別途こちらから積極的な案内のメール出すのも、いまもって控えてしまう頃合いである。

5月後半某日

待たせに待たせてしまっていたインタビューの回答文を一気に詰める。あとは英文のチェックの工程がある。この文章チェック工程を終えて、再度整えたあと先方に送るわけなので、もう少しお時間いただくことになる。

5月後半某日

韓国版の『バスルートをつくろう』の実物がPOPCORN GAMESから届く。なかなか盤面のコーティングもしっかりしていて、ペンなどもグレードアップ。韓国内では販売後の売れ行きも好調とのこと。現地にてのソウル市マップの受けは良い様子でした。

5月後半某日

ittenさん、ダリルさんの他数名のみなさんとZoomにてお話する夜。人数が多いと全員が同じくらいずつ話すという感じにはなりにくいのだけど、最後はわりとワイワイとみなでお話できたのではないかと思う。予定時間をオーバーして楽しく過ごした。初めての人もあったし、業界内のことなどをみなさんと話すのは久しぶりなので、いろいろ刺激になり、考えるところもあるのでした。

5月後半某日

作りかけのテストキットを作る。文字に関わりないデータの作成なので、音楽を聴きつつの作業が可能。のんびりしたものである。

テストキットの場合、どこまで作り込むかは大事な問題だけれど、最初のテストなら、なるべくならサッと作って、サッと試せるほうが良い。というのも、初段階で作り込んでも、あとで何もかもが変更になるかもしれず、最初に作り込むこと自体にはあまり意味がないことが多いので。

とは言っても、たとえば得点トークンが要るのなら、サイズも材質もある程度想定して作っておくに越したことはない。他のもので代用はできるのだとしても、なるべくなら「代用品」ではなく、コンポーネントの一部として厚紙なら厚紙に貼り付けてプレイするほうが、その取り回しの良さも悪さも、その存在自体の意味のありなしなども体験できるので大切だと思うからだ。そうすることで初めて、「これはまったく必要じゃなかったな」という発見ができる。そういう発見はできるなら、なるべく早いほうが助かるというわけ。

5月後半某日

とある海外の雑誌用?になりそうなルールを作っていて、ヴァリアントのルールに近いものだが、ほぼできているのに、ぼくが詰めの作業を先延ばしにしてしまっているので、これも先方にお待ち願っている。特に明確な締め切りもないのだが、そろそろフィックスしたいところだ。もうひとつ要素を入れたほうが良い気もするのだけど、それが冗長なのかどうかの判断の前で止めている。う〜む。

旅のあと(Remember our Trip)』の共作者であるダリルさんから連絡きて、彼が『旅のあと』の制作過程について英語で書いてくれた文章を読む。すっきりした良い文章。ゲムマでの出会いから台湾、京都、シンガポールと各地で共同デザインした日々について、メカニックやコンセプトの面からも丁寧に書いてくれてました。

以前ぼくがSaashi & Saashi 側からの視点で書いた文章と比べると、ダリルさん側からの視点で、それとはまた少し違っていてその違いも興味深い。

5月後半某日

3月から4月、4月から5月と、だんだんとモチベーションが戻ってきたのを感じている。ふとしたことに楽しさを感じられているということ。まだまだ「クリエイトする時間」をうまい具合にコントロールしきれているという気はしていないが、少しずつ良くなりつつある感じ。(コントロールすることについては今年の重要課題だ。)

モチベーションといっても、気分が上向き下向きの話ではなく、飽きやすい性質の自分が、昨秋以来疲れ過ぎていた延長でオーバートレーニング的な心象になっていたようなので、最近ようやく平常な感覚を掴みつつあるほどには戻ってきたのではという意味です。

アイデア自体はまあまあ溜まってしまっている。少し進めれば形になりそうなアイデアがいくつもあるのに、テストキット作成までには及んでいないものが少なくないので、まずはそのあたりから楽しく進めていきたい。と思いつつ、まずは増えてきた受信メールを開いての返信をしている……。6月はこのあたりの改善に本腰を入れるつもり。

5月後半某日

4人での自宅ゲーム会。いくつか遊んだ中でも、この日は以前からずっと遊びたかったCwaliの『バスケットボス』をようやく体験する。ゲーム内容は実にシンプル設計。競りでシーズン前の選手獲得を終えると即リーグ成績が決まる。それだけなのだが面白さは満喫。というかそれ以上はきっと蛇足なのだ。

バスケットボス

ゲームの中で、選手が成長したり劣化したりするのだが、それを表す方法がそこはかとなく自分が昔作りかけて止めていたサッカーゲームに似てて驚くところもあり。こういうのはやはり遊んでみないことには実感しづらい。万事勉強になります。

エンパイア

他にはWIZKIDS社の『Empires』も久しぶりにプレイ。このゲームは非常にソリッドでテーマを表すことも、それを取り巻くメカニクスもよく出来ていて、すごく好きなのだが、何がどう良く出来ているのかの分析が自分ではぜんぜんできていない。ソリッドなんだけど、なんとなく不思議な印象の残るゲーム。しっかり研究したい気持ちは常にある。

作りかけのもののプレイテストもしていただく。プレイヤーが違えば、遊んでいる景色も印象も異なるので、いろいろ試していただくのは貴重です。

5月後半某日

周知の欧州出版社からの正式なオファーが届く。こと契約内容に関してはわたしたちの中で、「この形で」という定型がだんだん定まりつつあるのだが、時には違った形の契約内容も試してみようかとも考えている。中身も大切だし、品質も、スピードも、それぞれ大切なので、そのバランスをとることもやはり重要。そしてそのほうが自分の中で飽きがこない気がしている。

しばらく連絡に間が空いていた時、こちらがメールを出そうと思っている頃合いで、たとえばちょうど相手にメールを書いているその時に先方からのメールが届くとか、その逆とか、ままあるのだが、そういうものでしょうか。(要件がかぶっているのだからそれはそうなのだが)ものすごく離れたところにいるのに、同じ時に同じことをそれぞれ頭で考えていたのだなと思うと、なんか良い。

5月後半某日

見落としのないようにToDoリストを毎日チェックするのだが、タスクが減ってる気がしない。その都度、消しては書き足しているからというのが理由なのだが。そもそも重要度と緊急度がうまく区分けできていないのか。不意に来た急ぎのもの、前からある急ぎのもの、先にやっておいたほうが良さそうなもの、基準がさまざま過ぎないかという気もする。

今日も郵便局へ行けなかった。というか、荷造りが間に合わなかった。近頃は集荷を依頼することが大半だが、海外への発送物で集荷では受け付けてくれない種類のものがある。そしてそういう海外への発送物がぼちぼち溜まっているのだ。

そもそも現在の状況下では、送ったあとのロストも怖いが、送る前の確認自体もなかなか手間である。その国へ届けられるようになったかの確認がその都度必要になるからだ(最新情報は不意に更新されるので)。そして発送自体は可能でも、いつもとは違って日数の目安がぜんぜん参考にならないくらい到着が遅れる恐れもあるので、金銭を介している場合、荷物を発送する側としてはなかなかおっかなびっくりである。

真夜中にHiroさんがゲリラ的にツイキャスやっていたのを、風呂上がりに見つけたので部屋で流し聴いていた。話されていたのは、なんてことない内容なのだが、なんてことない話は真夜中にとても合うので、良いと思う。ということを放送後にHiroさんに伝えてみた。

「聴いてたなら教えてくださいよ」

と言われたのだが、湯涼みながらわざわざデスクトップで文字を打つのはなかなか面倒のように思うのだけど、ああ、普通はスマホで聴きながら文字を打つのかと後で納得。そもそもツイキャス聞いている時にリアルタイムでそこに文字打ち込んだことがなかったな。ツイキャスのページのとこにメッセージ書き込むのって、わりとハードル高くないですか?

5月後半某日

とあるスペインの出版社、ようやく来年の計画を新たに立てるフェーズに入ったとのことで、だんだん平常に戻りつつあるようで良かった。再開しそうな欧州サッカーの話など世間話を交えながら、今後の計画について意見交換する。

そういえば、今年初めまで非常に調子の良かったボルシアMGが、再開したブンデスリーガでは良くも悪くもなく順位を下げつつあり(昨秋ボルシアMGのホームスタジアムで観戦した頃は超絶上り調子で奇跡の優勝さえファンは夢見ていたのだ)。やはり無観客試合を粛々と行なうことになると、サポーターの後押しもなく、勢いなどはすっかり削がれ、実力通りの結果に繋がりやすいように思える。そもそも中止期間が長かったのだから、選手もチームも同じ勢いを保てるわけがなく、同じリーグ戦であるという印象は薄くなる。

ところで、Saashi & Saashi のツイッターアカウントのほうに通知がポツポツあるなと思っていたら、フォロワーが増えたという通知だったようだ。誰かがどこかでお薦めしてくれてるパターンもあるのだが、あまり続くので、なんだろうと思うと、今回のはゲームデザイナーのツイートがらみらしい。

それは「非白人のデザイナーでお薦めは誰?」みたいなツイート。これまで他のデザイナーを「白人なのか白人ではないのか」という目で見たことがなかったから、そういう区分けはとても不思議に感じる。Eric Lang氏的にも「自分は含めず」とか指摘して問うているので、自身にもいろいろ意図や考えがあるのだろう。

とはいえ、幾人かがこのツイートへの返信や、「@」付きツイートの形で、お薦めとしてわたしやわたしたちのレーベルの名前を挙げてくれているということ自体はありがたくもあり、悪い意味ではなくしっかり「非白人」として正確に認識してくれているということで。

正確さという意味では、これまでSaashi & Saashiは「日本で活動」していると「正確」に認識してくれている場合がほとんどなのですが、好意的にわたしたちを紹介してくれているレビュワーの中にさえ、わたしたちのことを「韓国のメーカーです」とか、「台湾の出版社として有名な」とか不正確な認識で紹介している場合がいくつかありました(動画だと訂正も面倒だろうし、こちらもいちいち連絡入れるのも面倒なので何もしてませんが)。

とはいえ我が身をふり返っても、あるデザイナーや出版社を思う時、そこがたとえばベルギーだったかオランダだったか記憶が不安なことは多々あるので、遠方から見て、隣国とイメージがかぶるのも仕方ないのだろうなと理解はできる。

そういう場合でも「非白人」という区分けの仕方なら、アジアは安全に全部非白人の線引きで正解できるのでわかりやすいのだろうか。たとえば中国語圏のデザイナーに関するアンケートで「漢族以外でお薦めを」という場合、モンゴル系とかウイグル系、チベット系などいろいろあるけれど、漢族か漢族でないかを普段から意識して区分けできていない限りは、名前で判別する以外ではなんだか区分けも難しそうだなとか想像してみたり。Eric Lang氏の意図がそういったことまでをゆるやかに想像させるためのものだったのかはよく見てないのでわかりませんけれど。
まあ、ここでぼくはそんな深い意味で書いているわけではありません。

どうにも陽差しが照っていよいよ暑くなってきたなと思って、エアコンの「冷房」のスイッチを入れていたつもりが、かなり暑かったからなのか、なかなか部屋が冷えないと思ったら1時間後に気づいたのだが、入っていたのは「暖房」だった。

というアホなことを演じながら、作業していました。今回はこのあたりで。

Saashi
2020年5月下旬

Saashi & Saashi
Twitter / WEB


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