アイドルは恋愛禁止、なのか。
アイドルは恋愛禁止―。
そうよく言われるし、実際にアイドルの熱愛報道などが出ると世間は大騒ぎする。
渦中の本人はアイドルを続けられなくなったり、グループを脱退する事になったりする。
今回はそんな、アイドルの恋愛禁止について、憲法的に考えてみたいと思う。
さて、アイドルに恋愛する自由は憲法上保障されるか。
結論から言うと、保障されると考える。
憲法13条後段は幸福追求権を保障している。
そこで最初に出て来る論点は、恋愛する自由が幸福追求権として保障されるか。
幸福追求権の保障する自由の範囲については主に二つの有力な学説がある。
あらゆる自由が保障されると考える一般的自由説と、人格的生存にとって必要不可欠な自由のみ保障されると考える人格的利益説だ。
一般的自由説によれば、恋愛する自由もアイドルに当然保障されるという事になろう。
人格的利益説によっても、恋愛が人生で重要な地位を占めているものであるから、人格的生存にとって必要不可欠と言えるから、恋愛する自由はアイドルに保障されると考える事になろう。
こんな感じで、アイドルにも憲法上恋愛する自由は保障されると考えるべきだ。
なお、13条後段以外の条文でも保障されると考える余地はあるが、今回は省略。
次に、いわゆる憲法の私人間効力論という論点が問題になるが、とりあえずここも通説の、私法の一般原則を介して憲法が私人間に間接的に適用されるという間接適用説によっておこう。
さて、いよいよ本題。
アイドルは事務所から恋愛を禁じられたりするが、このような処遇は上述のように憲法上保障される恋愛する自由を制約する事は明白であるところ、これは違憲違法ではないか。
ここで普通の憲法の答案なら、違憲審査基準を定立するのだが、ここでは個別具体的な事案について論じている訳では無いので、残念ながら今回は無しで。
あくまで一般的な話という事で、アイドルの恋愛する自由とその制約の必要性等を比較衡量してみたい。
まず、そもそも恋愛する自由は上述のように人格的生存にとって必要不可欠ではある。
しかし、アイドルをやめる、あるいはそのグループを抜ければ自由に恋愛できる訳で、恋愛の自由が妨げられる時期や範囲は限定的である。
また、マスコミにバレないようにする、いわゆるお忍びで恋愛する事は事実上可能である。
よって、そこまで制約の程度は重大ではないと言えよう。
さらに、アイドルという職業はその性質上、顧客たるファンの恋愛感情をあおるもので、一夫一妻制が採用され、不倫や浮気が許されない社会状況に鑑みれば、彼氏彼女がいるアイドルよりいない(と見える)アイドルの方が需要があると考えられる。
そうであるならば、アイドルの恋愛の自由を制約する必要性合理性は一定程度認められる。
以上のように考えれば、アイドルの恋愛禁止は、特段の事情が無い限り、合憲合法だろう。
今回は以上。
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