見出し画像

前川國男なのか? 熊本県立劇場・熊本県伝統工芸館【前川國男2・菊竹清訓】 熊本市中央区

火の国熊本編の続きです。

熊本県立美術館のスタッフの方に「熊本には前川國男さんの作品がもう一つあるんですよ」と教えていただきました。それは熊本県立劇場・・・・

実は知っていました。なぜなら10年ちょっと肥後の国の住人だったから。話が途中で終わらないよう黙っていました。ゴメンナサイ。でも県劇前は何度も通っていましたが、1度しか行った事がありません。そういう訳で県立美術館との比較のため、超久しぶりに向かった。



熊本県立劇場


このアングルでは信号待ちでよく見てた

熊本県熊本市中央区大江2-7-1

県立劇場は前川國男まえかわ くにお(1905-1986)による設計で1982年の開館、前川さん晩年の作品。コンサートホールと演劇ホールからなる施設です。エンタメ系は個人的には関心が薄いのと人混みが苦手ゆえに、1度だけ行ったきりの場所。県劇は2016年の地震で被害を受けましたが、現在は復活。2020年の人吉豪雨災害では広域避難場所にもなっています。


床タイルが俱利伽羅龍的
ミュージアム系とは異なる雰囲気
外からつづく俱利伽羅龍

はじめて行った時の記憶はほぼナイ。前川國男の名前さえ知らず(笑)
館内に入ると前川建築の雰囲気は感じられます。通常見学できるのは共用スペースのみ。肝心のホール部分は見れなかったので、何とも言いようがない。

中はこんな感じらしい 脳みそのメモリからは消去されている


参考に同じエンタメ施設の東京文化会館を。

東京文化会館(東京都台東区)
お向かいには師匠ル・コルビュジェの国立西洋美術館
写真手前はロダンのカレーの市民&考える人


照明は星空のよう 熊本とは雰囲気が全く違う
フロアタイルのデザインも全く違います

熊本と東京ではデザインの文脈が異なるようです。東京の方が華やかな印象。熊本弁では「しゃれとらす」。


話を熊本に戻します
エリアは限られますが県劇をぐるっーと見て回り、いつものように資料系を探します。そしてかっこいいパンフを手に入れます。

素晴らしいパンフはまさかの!

その日の夜にホテルで資料整理をしていて県立美術館のパンフと似てるなと思いつつ、前川國男設計事務所もナイスなパンフを作ってるなと勝手に思い込んでいました。

そして数か月後の今頃になって、熊本ビル部という県庁の部署みたいな所が発行している事を知ります。調べてみるとこちらに辿り着きました。

X(twitter)でも発信されているようです。
どうも個人による活動のようで、趣味か仕事かもよく分かりません。個人名も掲載されてますが、ここでは控えておきます。県立美術館と県立劇場のパンフもDLできるようになっています。
熊本ビル部さんは個人で前川建築設計事務所にもアプローチされ、写真撮影から記事の執筆、印刷、無料配布と変態的な活動をされている方です。紙媒体というのがとてもイイ。
またどこかでお目にかかれれば!

植え込みも打ち込み

そして個人的には足しげく通うコトは無かった県立劇場から、再び熊本城のそばへ戻ります。「そういえば・・・」と思い出したトコロへ。

熊本県伝統工芸館


あっー このカンジは!

熊本県熊本市中央区千葉城町3-35

何故だか陶磁器を見るために時々足を運んでいた熊本県伝統工芸館は1982年の開館、県劇と同じ年。建物の外観を見て脳みそにはバイアスがかかります。

まさかココもそうだったのか?
熊本県立美術館(左)と熊本県伝統工芸館(右)
光の加減で色味は正確ではありません
証拠は揃ったと思いきや

まさかのあの人なのかと思いながら館内を回ってみると、設計は前川さんではない事が判明。ちょっと複雑な気持ちが広がりましたが、設計は・・・・


伝統工芸館の設計は・・・


まさかからまさかの菊竹清訓きくたけきよのり(1928-2011)、福岡は久留米出身のメタボの人(太っていたわけではありません、多分)。
前川さん同様レジェンドな建築家。メタボリズムを提唱した1人。日本各地に彼の設計した作品は残っていますが、取り壊されつつあります。新陳代謝できてませーん。

以下菊竹建築 4選

旧島根県立博物館(現島根県公文書センター:島根県松江市 左)
出雲大社庁の舎(現存していません:島根県出雲市 右)
1960年頃の作品
九州国立博物館(福岡県太宰府市 左)
島根県立美術館(島根県松江市 右)
2000年頃の作品

菊竹建築を見るなら島根県。ある山林王(実は知事)と菊竹さんの縁によるものだと県庁発行の資料で知りました(旧島根県立博物館で入手)。出雲大社庁の舎の写真はかなり昔に何故か撮ってた1枚。何だコレはと思ったのは覚えています。


伝統工芸館に話を戻します。

この日は青磁や白磁を展示
手すりは手が込んでます

2階には手作り感満載の建物解説コーナー

伝統工芸館は肥後象嵌ぞうがんや陶磁器、染色等の熊本の伝統的な工芸品のギャラリーに体験教室そしてショップが入る施設です。お隣には県立美術館分館もありますが、比較的人の少ないエリアです
昔ココで買った小代焼しょうだいやの茶碗は、20年近く使っていましたが洗っている時に落としてしまい口が欠けてしまいました。金継ぎしようと思いつつ結構経ちます。
ちなみに小代焼きは熊本県玉名あたりの陶器です。陶工は細川氏の国替えに伴い、豊前(現在の福岡県北九州や大分県中津周辺)から肥後へ同行。
熊本は全国的な知名度はどうなのか分かりませんが窯元がたくさんあります。まあ九州はどこも多いけど。

似すぎているスタイル
天守が映り込むのは菊竹さんの企みらしい

伝統工芸館のHPを読み込むと菊竹さんの解説もありました。肥後の人が筑後のヨソモノをベタ褒めしています。あるべき建築家の姿です。外観を見て前川建築と間違われる人が少なくない事も書かれていました。
見てたけど見えていませんでした。

熊本は離れても1年に1回ぐらいは来てるでしょうか。住んでる時はあまり意識しなかったけど、引っ越すと気になるモノが色々と出てくるというのが自分の引っ越しあるある。他所を見て気が付くコトは多いのでしょう。

いろんな意味でトビラが開かれた火の国熊本編でした。

おわり

肥後の国で神になった人
せいしょうこうさん むしゃんよかよ



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?