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Liveに行きたい~安藤裕子編~

 有難いことに前回のコラムを多くの方に読んで頂いた。(現時点で170閲覧。ありがとうございます。)

多くのフォロワーさんがいらっしゃる方には、さほど多い数字ではないのだろう。私個人としては好きな音楽を170人もの人と共有出来たことに感謝と嬉しさしかない。

さて、今回も例によってクセの強いアーティストを紹介したい。
そんなわけでスタートです。


今回、紹介するアーティストは、「安藤裕子」。

Aimerとはまた違った意味で特徴的な歌声を持つシンガーソングライターだ。

 彼女の経歴は、異色だ。
彼女は元々、映画や映像制作に興味があり、映画製作会社を中心に就職活動をしていたが上手くいかず、勉強を兼ねて芸能事務所に入った。その時期に受けた舞台のオーディションで披露した歌唱が音楽業界の関係者の目に留まり、ミュージシャンとしての道を歩むことになる。(記憶を辿ったが、Wikiも同じだったのでおそらく正しいはずだ。)

 曲の多くは、自身で作詞作曲をしている。
上記の曲は、おそらく彼女の曲でもっとも有名な曲だろう。
私より下の世代。具体的には、20代半ばくらいからは御存知ないかもしれない。月桂冠『つき』という日本酒のCMで起用された。
当時、私はCMの尺の中に強烈に残る儚さと美しさに心を奪われた。誰なんだと友達に聴いて回り、教えてもらうことになる。

本曲のリリックは、彼女の祖父が亡くなった際に祖母が書いたポエムが原型であることは有名な話だ。(Wikiにも書かれている。)

長年連れ添った夫婦の歩んだ幸せと別離を生きることの儚さを見事に歌い上げている。日常にある幸せを唄う。ささやかな愛の曲だ。

「のうぜんかつら(リプライズ)」が真面目な曲だったので、次はこちらの曲を紹介したい。

 「ぼくらが旅に出る理由」という小沢健二氏の曲のカバーだが、この曲に限らず、彼女は自身が影響を受けた楽曲を積極的にカバーしている。
カバーし過ぎて『大人のまじめなカバーシリーズ』というアルバムを出しているくらいだ。
 筆者のお気に入りは、くるりの「ワールズエンド・スーパーノヴァ」のカバーだったが、残念ながら公式の音源がYoutubeで見当たらなかったので本曲を選んだ。

 本映像ではまず、演奏メンバーを観てほしい。
東京スカパラダイスオーケストラである。そして安藤裕子よりも明らかに個性を放っているアフロマン。彼の名は池田貴史。
現在はレキシという名義でアーティストしているベテランアーティストだ。
 要するに超豪華なのである。(レキシが気になった方は「きらきら武士」で検索すると驚くこと間違いなし。)
その中で物怖じせずに笑いながら歌える実力が彼女にはある。

東京スカパラダイスオーケストラ、レキシだけでなく、TK from 凛として時雨などともコラボレーションしており、また新垣結衣や声優の豊崎愛生、KinKi Kidsへの楽曲提供、アニメ『進撃の巨人 The Final Season』のEDを担当するなど、シンガーソングライターとしての才能を今もなお、発揮している。


 今回の最後の曲は、「TEXAS」にしたい。
候補の曲は他にいくつもあったが、聴きやすい曲かつ彼女の良さが伝わりやすい曲を選曲した。

 これは完全に私の印象だが、彼女の声には「渇き」が感じられる。
「愛に対する渇き」とでもいうべきか。偽ることも着飾ることもない剝き出しの歌声は、「ささやかな愛への渇き」を求めているように聴こえる。

「TEXAS」の歌詞を読むとその不器用な愛情は更によくわかる。
純度の高い剥き出しの感情という危うさ。そういう意味では、鬼束ちひろ氏に通ずるものがあるかもしれない。少しでも強く触れてしまえば、たちまち壊れてしまいそうな繊細さがある。

不器用な人間がささやかな幸せを、愛情を求めて曝け出している。
彼女の人間味、リアリティ、覚悟に私は惹かれたのだと思う。

本曲は、晴れた日のお昼頃に聴くと良いかもしれない。
ゆっくりとしたミディアムなテンポ、フラフラと散歩しながら聴くとヘッドフォンから流れる彼女の冒険譚を、まるで小説のストーリーを味わっているように楽しめるだろう。


―――—この曲は、不器用な人間が右往左往しながら、ささやかな愛に気付く約五分半のストーリー。


気分転換に外へ出たときの新しい楽しみにどうだろう。
今回は、それを紹介して終わりにしたい。


※本投稿で安藤裕子氏を気に入った方がいらっしゃったら下記の曲もおすすめです。


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