宮林 隆吉

事業構想大学院大学准教授。グロービス経営大学院パートナーファカルティ。一橋大学博士(経営学)。組織・文化・マーケティング領域にて理論と実践の橋渡しを行う。著書に「経営戦略としての異文化適応力」「マーケティング実践テキスト」(JMAM)

宮林 隆吉

事業構想大学院大学准教授。グロービス経営大学院パートナーファカルティ。一橋大学博士(経営学)。組織・文化・マーケティング領域にて理論と実践の橋渡しを行う。著書に「経営戦略としての異文化適応力」「マーケティング実践テキスト」(JMAM)

    最近の記事

    マーケティングとブランディングの関係

     マーケティングとブランディングほど言葉の定義が曖昧で、毎年新しい造語が生み出される専門用語を私は見たことがありません。 ◯◯マーケティング、◯◯ブランディング、最近ではブランドと経営、採用活動を組み合わせた言葉もよく目にします。 多くのケースでは、元々のマーケティング、ブランド・マネジメントの概念に包括されている一部の側面にフィーチャーしたものや、時にはあたかも新しい概念のように語られているように見受けられます。 本稿では自分の頭の整理も兼ねて、よくビジネススクールで

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      • 現場が感じるDX推進の課題(3/3)

        では前回、前々回に引き続きDXについて、お話ししたいと思います。本稿が取り急ぎの最終回です。 アンケート結果先日開催されたDXに関するウェビナーの中で、事業会社の方々に対して提示した10個のDX課題リストは以下のものでした。 1. シニアマネジメントのリーダーシップ 2. 失敗が許容されない組織文化 3. デジタル・テクノロジーへの理解不足 4. 人材の欠如 5. ITインフラの欠如 6. デジタルと従来のオペレーション体制との対立 7. データーの欠如 8. 変化する顧

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        • 現場が感じるDX推進の課題(2/3)

          こんにちは。前回に引き続き、DXについての2回目の投稿です。 先日、ある教育系コンサルティング会社からの依頼でDXをテーマにしたWebinarを行いました。 事業会社を中心に40名以上の方々に参加して頂き、その場で行ったアンケート調査の結果が非常に示唆に富んでいたので、この場を借りてシェアさせて頂ければと思います。 そもそもDX(デジタル・トランスフォーメーション)とは?経済産業省の定義によれば、DXとは次のような活動を指します。 「企業がビジネス環境の激しい変化に対

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          • 現場が感じるDX推進の課題(1/3)

            昨今DXという言葉を新聞紙面で見ない日はありません。 私はDXの専門家ではありませんが、テクノロジー・スタートアップの事業支援をする過程で、大企業側のDXプロセスに触れる機会が多くありました。その中で一つ気づいたことがあります。 それは、DXは決してデータを取得したり先端のテクノロジーを社内に導入するといった類の話ではなく、むしろ「非デジタル≒アナログ(リーダーシップ・組織文化)」に、その成否を分ける鍵があるということです。 今日はこのトピックについて、時代背景への考察

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            DX時代の価格戦略とブランドマネジメント

            様々な業界でデジタルを用いた企業変革が叫ばれている中、商品の価格戦略の作り方が変わってきています。特にそれが、今後の企業のブランドマネジメントに大きな影響を与えてきていると思ったので、少し考えをまとめてみました。 2つの代表的な価格戦略かつて、商品の値付けにおいて代表的な戦略は、スキミング戦略とペネトレーション戦略の2つでした。 スキミング戦略とは、短期で開発コストを回収するために、市場の中でも特定の富裕層を狙いながら高い値付けをする戦略をさします。いわゆるプレステージ感

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            創造性を組織はどう扱うべきか

            久しぶりに見た米国の作家エリザベス=ギルバートのTED講演が心に刺さったので、今日は創造性と組織の関係性について少し考えてみたいと思います。 創造性を育むにはエリザベス・ギルバートさんを皆さんご存知でしょうか? 彼女は、ジュリア・ロバーツが主演を務めた『Eat, Pray, Love』(日本語タイトル『食べて、祈って、恋をして』)の原作を書いたベストセラー作家です。 下の講演は彼女の本が世界的なベストセラーとなり、推しも推されぬ著名作家となった直後に撮られたものです。

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            マーケティング戦略の肝〜STP分析〜

            こんにちは。今日はマーケティングを学び始めた初学者及び実務者が陥りがちな罠、いわゆる「基本のキ」にあたるセグメンテーション及びSTP分析について解説したいと思います。 マーケティング初学者が陥りがちな罠マーケティング施策を考えろと言われてやりがちなのが、いわゆるマーケティング・ミックス(4P)と呼ばれるフレームワークに当てはめて「いきなり」アイデアを考え始めるというパターンです。 4PというのはProduct(製品)・ Price(価格) Place(場所) Promot

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            サッカーにみる文明の衝突

            世界中の老若男女に楽しまれるサッカーをはじめとするスポーツは、まさに国境を超えたグローバル・エンタテイメント・コンテンツですね。今日は文化の視点から、この競技について触れてみたいと思います。 多様性に満ちたスポーツ私自身もバルセロナに留学していたこともあり、学校の友人たちとビールを飲みながらサッカー観戦をするのは日常的な出来事でした。そんな時によく出た話題が「お前はどのリーグが好き?」というものです。 例えば、攻撃的でテクニカルなサッカーが見れる魅力的なスペイン。カテナチ

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            "The Honda Effect" が示唆するもの

            先日、大学院のクラスで本田技研工業の方と会話をしていた際、1990年代に議論を呼んだリチャード=パスカル博士の「The Honda Effect」という論文が話題にあがりました。 この論文は、昨今のDX議論にも非常に示唆のある内容だと思いますので、ご紹介したいと思います。 1. The Honda Effect とは?「The Honda Effect」は1996年 米国のCalifornia Management Reviewで発表された「米国市場におけるHondaの小

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            マグリブの商人とジェノバの商人

            昔、ある中国人の経営コンサルタントとアジアと欧米の商習慣の違いについて会話していた際、彼らの口からこんな意見を聞いたことがあります。 中国人は誰かとビジネスをするときに、初めから相手を100%信頼することはない。時間をかけながら相手の人となりを知り、徐々に信頼関係を構築していく。だからこそ、会話のために中国語を学ぶこともそうだが、夜の宴席等、共にいる時間の長さはとても重要である。一方、我々からすると欧米の人は、ビジネスの時に契約でお互いを縛ることで、最初から相手を100%信

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            ホフステードという越境者

            ホフステード博士の功績については、ホフステード・インサイト・ジャパンの宮森さんが追悼の言葉とともに丁寧にまとめてくださっています。これに付け加える形で、ここには書かれていない「研究者としてのホフステード博士」について回想したいと思います。 遅咲きの研究者「人生はマラソンのようなものだ」と言った人がいました。人生の前半に華々しく注目された天才が早々に隠居状態になってしまうこともあれば、人生も後半戦に入って輝かしい実績を残す人もいます。要は最後まで走りきってみないことには、わか

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            追悼:ヘールト=ホフステード博士

            2020年2月12日。文化人類学・国際経営学領域で多大な業績を残した巨星ヘールト=ホフステード博士が逝去しました。私にとって2020年は「ホフステード博士が天に召された年」として記憶されることでしょう。それだけ自分の人生や価値観に影響を与えてくれた人物でした。 おそらく日本ではホフステード博士のことを知らない方の方が多いと思うので少し補足します。最も有名な彼の功績は、国ごとの文化の違いを6つの次元で相対的に比較できるモデルを作り上げたことです。これがアカデミア領域だけではな

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