龍舞詩音

北海道出身(現在は本州在住) 様々な病魔に侵されているため、自宅療養中。 猫ちゃん大好…

龍舞詩音

北海道出身(現在は本州在住) 様々な病魔に侵されているため、自宅療養中。 猫ちゃん大好き   *写真の著作権を放棄していません。私がお借りしたものは、お相手にご報告済みです。

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龍舞詩音です

はじめまして、龍舞詩音と申します。 北海道むかわ町出身ですが、自営業をしていた父が本州の会社に就職したため、転勤族になり、本州のあちこちを転々としていました。 小学校は7回くらい、中学は3回ぐらい転校しています。 高校に行くお金を親が持っていなかったため、自分で働いて通信制の高校を卒業しました。  20代、30代いろんなことがありましたが、結婚直後から次々病気をし、手術を数えきれないほどしています。 どの病気も嬉しくありませんが、全身火傷はやはり一番辛いですね。 見た目ですぐ

    • 【 おやすみ天使 】

      愛なんてどこにもないと 泣きじゃくる小さな天使 ひとりぼっちでさまよって ないものねだりねと 泣きつかれて眠ってしまった おやすみ 小さな天使 地上にだって愛はあるのよ きっと きっとね おやすみ 小さな天使 夢の中は心地いい 愛だけに包まれて おやすみ 小さな天使 ときどき しゃくりあげて 涙がひとすじ流れる 大丈夫 大丈夫よ 地上にだって愛はあるのよ おやすみ 小さな天使 夢の中は心地いい

      • 【 あとがき 】

         「LOVE STORY」と「Tinymemory」の掲載が終了しました。 この二つの物語は、私の物語でもあります。 違うのは、私には守ってくれる人がいなかったので、登場する男性達は、私の理想像という事、そして実際に私は元夫に多臓器不全直前まで虐待され、手の施しようがなく、ただ静かに一日一日を生き延びていた事は事実です。  娘は奪われました。 後に知った事ですが、私の実母が向こうの親と同意の上、手放したとしらされたのが、20数年も経ってからです。 入院中に離婚話が一気に進み

        • 【 Tinymemory 終章 】

          小雨降る中 ポプラ並木を歩いていた 紅葉し始めた葉が はらはらとこぼれ落ちてきた 雨を受け止める水面に 葉がゆっくりと流れていく まるで僕の時の流れのように... 僕はこの街に帰って来た 君と過ごしたこの街に そして あいつと共に生きたこの街に... 人生の半ばに差し掛かって ある程度の社会的地位を得たけど 僕は あの静寂の数年を忘れたことはなかった わが子を失った深い悲しみの果て 話すことが出来なくなった君が 沈黙を守ったまま天に帰り そしてあいつも 君と僕のためだけ

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        龍舞詩音です

          【 Tinymemory 11 】

          君を天に見送ったあと 友人達は次々家庭を持って行った 独身は結局 あいつと僕だけになった 中高生のこどもがいても おかしくない年齢に いつの間にかなっていたよ 結婚式には あいつはいつもハーレーで駆けつけて ドカドカ会場に入り ベラベラ一人で喋り捲り 嵐のように去って行った 時々ひょっとハーレーで来ては 君のゆり椅子に そっと夕暮れ時の写真を置いていった 愛する天使を抱っこして ゆり椅子に座っている君の写真を 優しげに見守って... ー 一生付き合うぞ... ー あい

          【 Tinymemory 11 】

          【 Tinymemory 10 】

          夕暮れ時に 君と歩いたポプラ並木は 今もやわらかな光を受けているだろうか 並木の横の川は 今も変わらず 静かなせせらぎを奏でているだろうか 葉の揺れ 水面のわずかな色彩の変化に 君の瞳が輝き 君の瞳が翳る 君との想い出は いつもセピア色でよみがえる あれから何年経っただろう 君が僕の腕の中で息を引き取ってから 時間が止まってしまった それでも季節は緩やかに過ぎていく 僕は今でもこうして生き続け 若き頃の優しい時間に包まれている いや 僕の人生は 今も君とともにある 君が

          【 Tinymemory 10 】

          【 Tinymemory 9 】

          君が旅立ったのは 冷たい小雨が降る日だった しばらく咳が続いていた 病院に連れて行こうとしても 彼女はゆり椅子にもたれたまま 動こうとはしなかった うさぎのぬいぐるみを抱いて 小さな女の子の写真を その胸に包み込むようにして 日に日に その姿は 小さくなっていった 全内臓機能低下から 数年経っていたが 季節の変わり目や 気温の変化に 彼女の体はついていけなかった そして ついに 彼女はゆり椅子にも 座ることが出来なくなった 無理にでも 入院させるべきだったのかも知れない

          【 Tinymemory 9 】

          【 Tinymemory 8 】

          僕達は 愛の言葉をささやくことなく 未来を語ることなく ただ寄り添って 静かに時を過ごしていた 深い悲しみの果て 声を失った彼女は 音声の言葉以上に その瞳で そのしぐさで 多くのことを語っていた 数年前の真冬の突然の再会は 痛ましいものだった 骨と皮ばかりに痩せほそり 今にも崩れそうなアパートには 狭い一間の部屋に 簡単な台所 一人分の茶碗 湯のみ 箸 皿 スプーン 薄い布団 衣装ケース1個 小さなテーブルに母子手帳と聖書 そして その部屋には不釣合いの ゆり椅子 その

          【 Tinymemory 8 】

          【 Tinymemory 7 】

          毎年秋になると 彼女はあることをしていた ホットケーキを焼き 間にフルーツを挟んで クリームを塗り 蝋燭を5本立てた 翌年も 翌年も 蝋燭の数は同じだった その日には 朝からぬいぐるみと 小さな女の子の写真を抱きしめ ゆり椅子に座り 時計を見つめていた いつもは 出勤する僕の姿が見えなくなるまで 雨の日も 風の日も 外に出て見送って 帰りは駅まで迎えに来てくれて 夕暮れ時のポプラ並木を歩くのに その日だけは 彼女は決して ゆり椅子から動こうとはしなかった ある年のこと

          【 Tinymemory 7 】

          【 Tinymemory 6 】

          あいつは時々 ハーレーを飛ばしてやって来た 嵐のように 豪快にドアを開け 居間のソファーにドカッと座って ブルマンをごくりと飲み干し ハーレーでまわったあちこちを ひとりでベラベラしゃべり ゲラゲラ笑い ああ...僕達の静寂は どこ行っちまったんだ? 最初はおびえてぬいぐるみを抱きしめ ゆり椅子から動こうとしなかった彼女が いつの間にかその瞳に笑みをたたえ 僕達の会話を楽しんでいるようだった 一度だけ あいつと3人で 彼女の好きな夕暮れのポプラ並木を 歩いたことがある

          【 Tinymemory 6 】

          【 tinymemory 5 】

          あいつがハーレーに乗ってやって来た 夕暮れ時のセピアの空間が 嵐に襲われてしまった あいつは豪快にドアを開け 居間のソファーにドカッと座る 窓辺のゆり椅子の彼女が おびえたように そして守るように うさぎのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめた あいつはタバコをくゆらせながら 革ジャンのポケットから おもむろに写真を取り出し バサッとテーブルに置いた ハマに行ってきたんだ 僕が入れたブルマンをごくりと飲み干し ふぅとため息をつき 笑いやがる 僕は写真を手に取った 夕暮れの街

          【 tinymemory 5 】

          【 Tinymemory 4 】

          ある日 長年のダチが僕につぶやいた 「愛しているのか?」 あいつはいつもそうなんだ 僕が何も話さなくても まるで心を見透かすように それでも口出しせず たださりげなくぽつりと言うんだ 僕は無言のまま ビールを飲み干した あいつはタバコを取り出し 僕に差し出した 煙が空間を漂う 居酒屋のざわめきが 一瞬静寂をおびる それで僕達は通じるんだ... 冬の夕暮れ時 彼女と海に行った 誰もいない浜辺を 彼女とゆっくりゆっくり歩いた コートの裾をそっとつかんでいた彼女が ふとその手

          【 Tinymemory 4 】

          【 Tinymemory 3 】

          彼女と過ごしたいくつもの季節は 不思議な静寂で包まれている 彼女には言葉がない ”深い悲しみ”によって 彼女は声を失くしていた その理由を知ったのは 随分あとのことだった 彼女と暮らし始めて しばらくしてから 住所変更の手続きをした 本籍移動のため取り寄せた戸籍抄本 そこには「協議離婚」の文字があった 僕は不信に思った 彼女の首から下の全身の痣 内臓全機能低下 失声 いつも抱きしめている 小さな女の子の写真 本当に「協議」の上だったのか? あの 今にも崩れそうなアパートには

          【 Tinymemory 3 】

          【 Tinymemory 2 】

          僕は彼女を医者に連れて行った 家族でなければ病状を知らされないから ”兄”と名乗った 脳波には異常はない 記憶喪失ではなさそうだ ただひどい栄養失調にかかっていた そして首から下には 全身あざの痕があった 緊急入院し 連日点滴を打った 失声は”深い悲しみの表れ”だそうだ 遠隔用(*)の保険証に 夫と思われる人の勤め先が書いてある 電話をしてみたが 彼はいなかった 名前から自宅の電話番号を探したが 登録されていない 彼女に何が起きたのだろう... あれから2年が過ぎた

          【 Tinymemory 2 】

          【 Tinymemory 1 】

          夕暮れ時に ポプラ並木を歩くのが 君のお気に入り 影のように 消え入りそうに ゆっくりゆっくり歩く 葉の揺れ 水面のわずかな彩りの変化に 君の瞳が輝き 君の瞳が翳る 今にも泣き出しそうな顔で 遠くを見つめて その手にいつも包むように 持っている 小さな女の子の写真をなでる はっと思い出したように おびえた顔で僕を見上げ ふっと安心したように その瞳にぬくもりが戻る そして僕達は 言葉もなく 夕暮れのポプラ並木を ゆっくりゆっくり歩く 彼女には言葉がない 昔の彼女はよく笑

          【 Tinymemory 1 】

          【 愛すべき記憶 】

          ゆり椅子でゆらゆら ゆらゆら わが子を最後に抱きしめて ああ あれから27年 遠のくぬくもりも 今は愛すべき記憶 ひとりゆり椅子に揺られ 記憶の海原 旅をして わが涙に目覚めし 昼下がり おやすみ天使 ママの記憶の中で おやすみ天使 夢の中は心地いい・・・

          【 愛すべき記憶 】