広河隆一

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記事一覧

8章 欠けたピース

2018年DAYS崩壊の前 2019年12月26日に発表された『検証報告書』は、全体で113ページあり、そのうちのセクハラに関係する記述の一部については、前章で触れた。一方52ペー…

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7章 デイズジャパン『検証報告書』

2019年12月26日、「デイズジャパン検証委員会『報告書』」(以下『検証報告書』)が発表された。表紙には金子雅臣委員長、上柳敏郎委員、太田啓子委員の名前が記されている…

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6章 『DAYS』最終号とシンポジウム

検証委員会の「中間」報告 『DAYS』の最終号が発行されたのは、2019年3月20日だった。それはイラク戦争から1年後の2004年3月20日に『DAYS』が創刊されてから、ちょうど15…

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5章 反響

あまりに多くの人々へ ここで私が書いておかなければならないことがある。約3年間の自粛の期間の間に、混乱しながらも考える時間があった。そしてセクハラやパワハラだけ…

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4章 「レイプ」

2回目の記事の中身 『週刊文春』記事が掲載されてから2週間を過ぎたころ、田村栄治記者と文春編集部の竹田聖氏の連名で、私と森川弁護士に質問状と取材依頼が届いた。質問…

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3章 どこまで責任をとれるか?

麻子さんの話 『週刊文春』1回目の記事で2人目に取り上げられたのが、麻子さん(=『週刊文春』による仮名)だった。 記事では次のように書かれている。 (彼女は)写真…

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2章 『週刊文春』取材録音データ

私の受けた取材 2018年12月20日、私は『週刊文春』の田村栄治記者の取材を受けた。 彼は元朝日新聞記者で、昔、私が地方でおこなった写真展を取材してくれたことがあると…

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1章 週刊誌報道の「事実」が一人歩き

文春砲の威力 この章ではまず、週刊誌報道がどのように発信され、何を伝え、人々に何をもたらしたかということについて書いていきたいと思う。性犯罪の被害者と加害者がど…

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「文春砲」の性暴力報道

『週刊文春』が発売されてから3年たちました。そのほとんどの期間、私は沈黙していました。その間の時間のほとんどは、この問題を考えることに用い、社会とのつながりは、…

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8章 欠けたピース

2018年DAYS崩壊の前

2019年12月26日に発表された『検証報告書』は、全体で113ページあり、そのうちのセクハラに関係する記述の一部については、前章で触れた。一方52ページ以降は、ほとんどパワーハラスメントの報告で、さらにそのうちの64ページから80ページまでの17ページという大きなスペースが、1人の派遣社員J氏(『検証報告書』での仮名。以下同じ)の問題の報告に費やされている。

これ

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7章 デイズジャパン『検証報告書』

2019年12月26日、「デイズジャパン検証委員会『報告書』」(以下『検証報告書』)が発表された。表紙には金子雅臣委員長、上柳敏郎委員、太田啓子委員の名前が記されている。

当初私は『検証報告書』が2019年6月頃に発表される予定と思っていたが、それからさらに半年延びることになった。報告書にはその遅延の大きな原因が私の非協力のせいであると書かれている。私の記憶では私は検証委員会を何度も急かしていた

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6章 『DAYS』最終号とシンポジウム

検証委員会の「中間」報告

『DAYS』の最終号が発行されたのは、2019年3月20日だった。それはイラク戦争から1年後の2004年3月20日に『DAYS』が創刊されてから、ちょうど15年目にあたる。

この最終号は一冊丸ごと私の事件の特集号となっており、第1部は「『広河隆一性暴力報道』を受けて 検証委員会報告」、第2部は多くの識者や被害者が寄せた「性暴力を考える」という文章で構成されている。

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5章 反響

あまりに多くの人々へ

ここで私が書いておかなければならないことがある。約3年間の自粛の期間の間に、混乱しながらも考える時間があった。そしてセクハラやパワハラだけでなく、人間として恥ずかしいと思う行為の数々を、何百と思い起こして反省した。私はそうしたことが急に記憶に甦った時に、自分の頭を殴ったり、あるいはごまかそうと、大声で童謡を歌ったりすることがある。私はコロナ下の独居生活で、一時期大きな病院の

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4章 「レイプ」

2回目の記事の中身

『週刊文春』記事が掲載されてから2週間を過ぎたころ、田村栄治記者と文春編集部の竹田聖氏の連名で、私と森川弁護士に質問状と取材依頼が届いた。質問状には、多くの具体的項目の質問が書かれ、それが一つひとつ本当かと質問していた。そして次のような言葉が添えられていた。

「広河さんに被害を受けたとする新たな証言を記事にする予定ですが、その際に広河さんから説明や反論がまったくないよりは、

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3章 どこまで責任をとれるか?

麻子さんの話

『週刊文春』1回目の記事で2人目に取り上げられたのが、麻子さん(=『週刊文春』による仮名)だった。

記事では次のように書かれている。

(彼女は)写真展などのボランティアとして、編集部に足繁く通った。
3年生の時、麻子さんは一時的に学業に専念することを考えた。広河氏に相談すると「そんな中途半端じゃダメだ」とたしなめられたという。

このとき私がなぜ「中途半端」と言ったのか、どうし

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2章 『週刊文春』取材録音データ

私の受けた取材

2018年12月20日、私は『週刊文春』の田村栄治記者の取材を受けた。

彼は元朝日新聞記者で、昔、私が地方でおこなった写真展を取材してくれたことがあると言っていたが、私にはその記憶は残っていない。2004年、その田村氏は『DAYS』創刊の話を耳にして協力を申し出てくれた。私は当初は彼にトピックスの記事を依頼していたが、その後は主に校正を担当してもらい、月に1日か2日、デイズ社に

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1章 週刊誌報道の「事実」が一人歩き

文春砲の威力

この章ではまず、週刊誌報道がどのように発信され、何を伝え、人々に何をもたらしたかということについて書いていきたいと思う。性犯罪の被害者と加害者がどのように扱われて報道されていくか、そしてそれがどのように広がっていくかを、知っていただきたいと思ったからだ。

2018年12月26日、『週刊文春』(2019年1月3・10日号)が発売された。タイトルは次のとおりである。

「世界的人権派

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「文春砲」の性暴力報道

『週刊文春』が発売されてから3年たちました。そのほとんどの期間、私は沈黙していました。その間の時間のほとんどは、この問題を考えることに用い、社会とのつながりは、ごくわずかだけでした。緊急時の呼び出し、つまり行方不明になった認知症の人々が出た知らせが入った時に、その捜索に駆けつけるボランティアくらいしかしておりません。

週刊誌報道によって、私は社会的制裁を受けました。以降は自分の名前も公にはできな

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