アドラーは分かった。じゃあフロイトは?

最近では多くの人が手にとっている「嫌われる勇気」。

その人気の高さから、アドラー心理学に触れたことがある人も多いのではないでしょうか?

「人間の悩みは全て人間関係の悩みである」
「課題の分離」

アドラーの心理学を紐解いた本「嫌われる勇気」が200万部以上売れていることからも分かる通り、これらアドラーの言葉は、今では多くの人が知っており、同時に「生きる考え方の正解」として考えられてきています。

しかし、アドラー心理学を知っている人の中で、フロイトとユングについて知っている人は、あまりいないのではないでしょうか?

アドラーは「心理学の三大巨頭」と言われる人物の一人で、心理学の三大巨頭には他に、フロイトとユングがいます。

つまり、心理学を知る上で、アドラーだけではなく、フロイトとユングについても知っておくことで、より心理学への理解が深まるのです。

余談ですが、この三人にはそれぞれ密接な関係があります。

「心理学水曜会」というフロイトが開催した集会に、なんとアドラーとユングも参加していたのです。
心理学の三大巨頭は元々は共に学び、研鑽し合う仲でしたし、ユングに至ってはフロイトに師事していたこともあって、その考え方はとても近いものでした。
後年になって三人はそれぞれに袂を別つのですが、三人ともが密接な関係があったなんて、現代を生きる私たちにはとても驚きですよね。

日本では、嫌われる勇気が発売されるまで、アドラーを知っている人はほとんどいませんでした。
むしろフロイトやユングについて知っている人の方が圧倒的に多かったのです。

では、フロイトとユングは、どのような主張をしているのでしょうか?

それぞれに沢山の考え方があり、一つの記事でその全てをご紹介することは難しいので、今回はフロイトの考え方についてご紹介をしていきたいと思います。

1.精神分析の祖 フロイト

画像1

ジークムント・フロイト(1856-1939)は、オーストリアの精神学医で、精神分析の祖と呼ばれる人物です。

精神分析とは元々、神経症(ヒステリー)の改善を目的に開始され、無意識の自分の領域に着目し、それを表面化し、本人が自覚をすることで症状を改善させるためのアプローチ方法です。

夢は欲望の充足だと考え、そこからその人が無意識のうちに不満に感じているものを読み解いていくというのがフロイトの診断方法でした。

夢から欲求不満を考えるなんて、なんだかよく分かりませんよね。
実際にフロイトの心理学は結構理解するのが難しい心理学です。
そこで、フロイトの提唱した言葉を紹介することで、ざっくりとどのような考え方を持っていたのかを読み解いていきましょう。

2.フロイトの言葉から考え方を読み取る

◆意識は氷山の一角◆

フロイトは意識、つまり人間の表層化されているものはごく一部にしかないと考えました。
この考え方を「局所論」と呼ぶのですが、具体的には意識の部分、何かのきっかけがあれば意識出来る前意識の部分、表面化されることのないう無意識の部分の三層構造になっていると考えたのです。

意識と無意識があるというのは現代では当たり前の認識かもしれませんが、学問としてこの三段階の構造を始めて唱えたのがフロイトでした。

◆リビドー◆

リビドーとは簡単に言うと「本能のエネルギー」のことですが、このリビドーについてフロイトは「エネルギーは性的な衝動から生まれる」と考えました。

これについては、ユングとのちに考え方が対立をします。
ユングは「衝動は全ての本能から生じる」と考えていたのです。

ユングについても近日ご紹介をさせて頂きますので、その際に詳しく解説をしていきますね。

◆エディプスコンプレックス◆

「コンプレックス」の語源とも言われるエディプスコンプレックスは、リビドーによってもたらされるもので、無意識に同性の親を憎み、異性の親を慕う心理的傾向のことを指します。

フロイトの学説を採用すると、人間のエネルギーは性によって発動するので、無意識にこのような現象が起きると言うのです。

フロイトを理解する上で、「コンプレックス」や「トラウマ」は切っても切れない用語になってきます。

◆エス、自我、超自我◆

フロイトは意識の3層構造の他に、自分の心は三つの部分に分かれていると考えました。それが「エス、自我、超自我」です。
元々の本能の部分であるエス、理性の部分である超自我、それらの調整役を果たす自我の三つです。

もうこれは訳がわからなくなるので、まぁ三つに分けてたんだな。くらいに考えていれば良いと思います。笑

3.過去が今の自分を作っている

フロイトの考え方を総合すると「過去が今の自分を作っている」と考えていたことが分かります。

”過去に虐待をされてきたから、今の自分がこうなっているんだ”

と言うように、人間は過去によってコンプレックスやトラウマを抱き、無意識の中にそれが蓄積されていくので、過去の経験によって今の自分は形成されていると言う理論です。

過去から自分が作られるのだから、そのことを理解した上で、自分の内側と対話をしていきましょうね。と言うのがフロイトの考え方だったのです。

ちなみに、この理論は後にアドラーと真っ向から対立します。

フロイトに対してアドラーは「今の自分が過去の出来事を正当化している」と考えました。

「トラウマがあるから、今の自分がいるんだ」

と考えたフロイトに対して、アドラーは

「今の自分を正当化するために、過去のトラウマを引っ張り出してきているんだ」

と考えたのです。

ここからは私の意見になるのですが、どちらが正しいかといえば、それは人によって変わると思います。

例えば、満杯のコップの水が飲まれて、半分になっていたとします。そこでの考え方として

「この水は過去に半分飲まれたから、今半分しか入っていないんだ。そのことを理解しよう」

と言うことも出来ますし、

「まだ半分もあると、解釈を変えることにしよう。」

と考えることも出来ます。前者がフロイトで、後者がアドラーに近い考え方ですね。

でもそこで、本来の考え方ではないどちらかが正しいと断じてしまうと、心の中に「本当はこう考えているんだけどな」と言う軋轢を生んでしまうかもしれません。

ですから、自分が生きやすいように解釈をすれば良いと私は思うんです。

それを無理やり修正するよりも、自分に近い考え方から、その解決策を見出していくことが重要なのではないでしょうか。

4.フロイトの考え方がわかるオススメの記事と本

フロイトの考え方の方が自分に合っているなと感じた方は、私のこの記事をぜひ読んでみて下さい。

この記事の中では、加藤諦三さんの本について紹介をしているのですが、加藤諦三さんはフロイトの心理学の知見を相当に持っている方で、その内容はやはりフロイトの影響を受けていることがとても考えられます。

一応その本と、フロイトに関連する本についても数冊こちらに貼っておきますので、興味があったらぜひ読んでみて下さい。


フロイトはこのように、今の心理学界では知らない人はいないと言うほどに有名な精神科医ですが、生前はそこまで有名な人ではありませんでした。

オーストリア内で発行された自身の著書は、600冊売れるまでになんと10年もの歳月を要したみたいです。

今フロイトが本を出したら、半日も経たずにそれだけの数が売れそうですよね。

後に、その心理学が有用だと言うことが分かった人がいたからこそ、今では心理学の三大巨頭の一人とされているのです。

それだけ有用な心理学を生み出したフロイトの考え方に、ぜひ触れてみて下さいね。

最後に

最後にフロイトの考え方について簡単にまとめていきたいと思います。

・人間には意識、前意識、無意識の三段階の意識構造がある

・心を形成するのは過去の体験からであり、特に性衝動(リビドー)とトラウマが、人間の心理形成に大きな影響を与えている

・心の構造を理解し、自分を理解することで、衝動を抑える事が出来る

いかがでしたでしょうか?フロイトは、心理学界では今はなくてはならないほどの存在ですが、その考え方に少しは触れられたのではないでしょうか。

ユングについても近日中にご紹介させて頂きますので、興味のある方は是非私をフォローをして頂き、そちらの記事も読まれてみて下さいね。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

この記事が参加している募集

スキしてみて

頂いたサポート代を全てうまい棒に変換し、1年後にnoteで写真公開することを目論んでいます。