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さよならハッピーエンド

嘘に嘘を重ねて、君のことを好きだと思い込んでいたあの頃。藁にもすがる思いで君のことを掴んで離そうとしなかったあの頃。

君の嘘。私の嘘。「好きでいなければならない」という愛の呪縛が2人に嘘を付かせていたんだね、きっと。

自分の心に嘘を付いていた私たちは2人から1人に戻った。

かつては手を握り合った2人。今はもう手を握ろうともしないただの2人の関係に成り下がる。2人から1人に戻っただけ。ただそれだけのこと。

そんな2人を横目に世界は性懲りもなく回り続ける。少しも悲しまない街の人たち。少しぐらいは感傷に浸れよってそんな言葉は誰にも届かない。

好きか嫌いか悩んでいるときは、大抵好きという気持ちが消え掛かっている時かもう好きじゃなくなった時。ひとつ掛け違えたボタン。だんだん掛け違ってきたボタンは、いつの間にか掛けることすらなくなり、2人の気持ちを悟っているようだった。

歳を重ねれば重ねるほど感性が疎くなる。好きだという感性が年齢によってだんだん薄れていく。君の嫌いなところを探せば探すほど、君のことが嫌いになる。君の好きなところが見つからないのもきっと歳のせい。

季節の移り変わりに君との恋を思い出すこともない。君が好きと心を騙し続けてきたから、痛みも感じない。あれもこれも全部年齢を積み重ねて感性が疎くなってきたから。

春の桜を見ながら2人で飲んだお酒。夏のひまわりに揺れながら写真を撮った君と僕。秋の短さを感じながら2人で見たあの紅葉。冬の雪をかき集めながら溶ける雪に儚さを感じていた君と僕。

DVDを見ながら寝落ちしたあの夜も、「寒いね」って言いながら手を繋いで行った深夜のコンビニも今はもう全部ただの過去の思い出に成り下がった。

別れを迎えるあの瞬間、なぜか君は泣いてた。でも私は清々しかった。

君は泣いてた。そういうとこが嫌いだった。男のくせにすぐに泣いてしまうそんな弱虫が嫌いで仕方なかった。

あのときどうして泣いてしまわなかったんだろう。泣いていれば君は私をそっと抱きしめてくれていたかな。

最悪の結末を迎えてしまった恋。歳を重ねれば重ねるほど感性が疎くなったから君への好きも薄れてしまったの、ごめんね。

あのときもっと歩み寄れば、2人が離れ離れになることなんてなかったのかな。

後悔ばかりがただ募る2人の愛は儚くも散ってしまった。愛の呪縛から解放されたんだから私たちはもう自分に嘘を付かなくて良いんだよ。

あの頃の私の1番好きだった人は、間違いなく君だったよって、言っても信じてもらえないかな。もうそれも過去のこと。今の私を見たら信じてもらえなくても仕方がないからもう良いや。

私の目を見る事もままならなかった君が、私の目をしっかりと見て、「さよなら」と言うなんて思いもしなかったから。でももう終わってしまった恋だから。2人が愛し合った事実は永遠に残ってしまうから。

さよならハッピーエンド。また会う日まで。


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