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春の歌 楽曲分析

今回はメンデルスゾーン(1809~1847)無言歌集より『春の歌』の楽曲分析を行います。メンデルスゾーンのピアノ曲の中ではとくに有名なものです。魅力的な旋律が有名ですが、いったいどのような構造をしているのかさっそく見ていきましょう。

1 拍子、調、構造

2/4拍子、調はイ長調
AーBーCーAーC
の構造です。
大まかにすれば3部形式の楽曲です。

2 解説

① A 0:00~

A

"Allegretto grazioso(アレグレット・グラツィオーソ。やや早く、優雅に)"との指示があり、ドイツ語で"Frühlingslied genannt"とあります。これは「春の歌のように」という意味で、このことから『春の歌』と呼ばれる所以です。特徴としては装飾音が全体的に使用されています。この装飾音が曲の要ともいえるでしょう。

装飾音を外すとメロディはシンプルなのがわかります。

② B 0:26~

B
B

Bでは同じリズムを使って音の高さを変えて曲が構成されています。
例えばB5~6小節目のリズムと7~8小節目のリズムは一致しており、高さだけが違います。同様に9~10小節目11~12小節目13~15小節目16~18小節目がそれぞれ対応しています。13小節目からは属調であるホ長調に転調します。

③ C 0:58~

C
C

Cでは1~4小節目のフレーズを繰り返した後(8小節目だけ違うが)、9小節目のリズムが10~12小節目では音を変えて何度も現れます。16分音符による3小節の経過句を通りAに戻ります。

④ A 1:25~

A
A

Aの前半は1回目のAと同じ通りに再現されます。5小節目からは"sempre simile(常に同じように)"という指示があり、ここでは5小節目以降はペダリングを1~4小節目と同じようにするということでしょう。9小節目からはメロディは同じですが和声が変更されており、下属調ニ長調属和音(A7)が現れて11小節目でニ長調になると、13小節目イ長調におけるセカンダリードミナント(B7)が現れ14小節目からはB13~19小節目のフレーズをほぼそのままイ長調にして再現されます。

⑤ C 2:01~

C
C

実質的なコーダの部分ともいえる2回目のCでは1回目のC1~4小節目のフレーズをイ長調で出した後、イ長調主和音(A)属和音(E7)アルペジオを交互に奏でます。13小節目からはA1小節目リズムを用いて用いて音を変えながら4回繰り返します。17小節目で"leggiero(レジェーロ。軽く)"しながら、イ長調主和音を上に駆け上がり2回イ長調主和音を鳴らして曲を締めくくります。

3 総括

以上となります。いかがでしたか?
同じリズムを用いて音の高低を変えることで曲が構成されていることが分かりました。演奏面に関しては装飾音がカギとなるので、"grazioso"の指示通り優雅に弾かなければいけません。曲全体に装飾音が使われているので適当に弾かず丁寧に演奏するとよいでしょう。

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