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愛は「技術」であり、技術の「習練」が必要だ。【愛するということ/エーリッヒ・フロム】

かの有名な心理学者、エーリッヒ・フロムの名著『愛するということ』を読みました。原著『The Art of Loving』がニューヨークで出版されたのは60年以上前の 1956年 という、世界的ロングセラー本の日本語訳版です。

昨年の下半期に実施していた「100日連続書評チャレンジ」の期間中には手が出せなかった『愛に関する心理学系古典』ですが、やはり フロム先生 の本は読んでおかねばならぬ気がしていたので、この機会に手を伸ばして見ました。


この本に書かれているメッセージを端的にまとめると、

愛はコントロールできない感情などではなく、愛は「技術」であり、愛の問題は「愛する能力の問題」である。そして、愛の技術を習得するためには、愛する技術に最大の関心を寄せ、その理論を学び、習練に励む必要がある

という感じかなと。
よくある「恋愛指南書」や「恋愛心理学」のような安易なものではなく、より本質的に『愛すること』を語っている書籍だと思ってください。

超ベストセラーになった名著『嫌われる勇気』で脚光を浴びた【アドラー心理学】でも、たびたび フロム先生 の言葉は引用されているので、正直なんども目にしたことはありましたが、改めて著書を読んでみるとビックリするほど名言の宝庫でした。

いくつか紹介します。


成熟した愛は「愛するから愛される」

多くの人は愛の問題を「どうしたら愛されるか」と捉えてしまっているが、本来は「愛する能力の問題」だと断言するフロム先生。加えてこんなことも語っています。

幼稚な愛は「愛されているから愛する」という原則にしたがう。
成熟した愛は「愛するから愛される」という原則にしたがう。

未成熟な愛は「あなたが必要だから、あなたを愛する」と言い、
成熟した愛は「あなたを愛しているから、あなたが必要だ」と言う。

以前に「愛されるより「愛する」ほうが精神的に健康である。」という記事を書きましたが、まさに同じことを語っているようでビックリしました。


誰かを愛することは、「決意」「決断」「約束」である

また、異性愛についての章では、愛についてこのように語っています。

現代の西洋社会では、そうした考え方はとんでもない間違いだとされている。つまり、愛は意志とは関わりなく自然に生まれるものであり、自分ではコントロールできない感情に突然とらわれるのが愛なのだと考えられている。そうした考え方をする人は、愛しあっている二人の特異なところしか見ていない。(略)意志という異性愛の重要な要因を見落としている。誰かを愛するというのはたんなる激しい感情ではない。それは決意であり、決断であり、約束である。もし愛がたんなる感情にすぎないとしたら、「あなたを永遠に愛します」という約束にはなんの根拠もないことになる。(略)もし自分の行為が決意と決断にもとづいていなかったら、私の愛は永遠だなどと、どうして言い切ることができよう。

学生時代の僕はまさに「人の気持ちは移ろいゆくから永遠の愛なんて誓えない」とほざいていました(笑)が、ここ数年でようやく「愛は決意でしかない」と腑に落ちることができたので、フロム先生の言葉もスッと身にしみます。


愛を約束できるのは、信念を持っている者だけ。

そして、成熟した愛に到達できるために必要なものについても言及してくれています。

自分自身を「信じている」者だけが、他人にたいして誠実になれる。なぜなら、自分に信念をもっている者だけが、「自分は将来も現在と同じだろう、したがって自分が予想しているとおりに感じ、行動するだろう」という確信をもてるからだ。自分自身にたいする信念は、他人にたいして約束ができるための必須条件である

さらに、信念を持つことに対しては、下記のように言っていました。

信念をもつには勇気がいる。勇気とは、あえて危険をおかす能力であり、苦痛や失望をも受け入れる覚悟である。(略)愛されるには、そして愛するには、勇気が必要だ。ある価値を、これがいちばん大事なものだと判断し、思い切ってジャンプし、その価値にすべてを賭ける勇気である。

この文章はまさに『嫌われる勇気』のメッセージそのものかもしれません。


人は無意識の中で「愛することを恐れている」!?

そしてそして。
僕が『愛するということ』の中で最もグッときたのがこちらの文章です。

 人は意識のうえでは愛されていないことを恐れているが、ほんとうは、無意識のなかで、愛することを恐れているのである
 愛するということは、なんの保証もないのに行動を起こすことであり、こちらが愛せばきっと相手の心にも愛が生まれるだろうという希望に、全面的に自分をゆだねることである。愛とは信念の行為であり、わずかな信念しかもっていない人は、わずかしか愛することができない。

何度も読んでほしい。僕も何度も読み返す。
これほどまで見事に『愛』を言い表した文章を、僕は他に知らない。

愛することは「信じること(信じると決意すること)」であり、その信念による行為そのものが愛なんだ。


まとめ:愛を考えたい人の必読書とも言える一冊

今度から フロム先生 のことを「愛の哲学の始祖」と呼ぶことにしました。そう思わされるぐらい素晴らしい名著です。

愛について考えたい人、愛の洞察を深めたい人は、絶対に一度は フロム先生 の思想に触れてみるべきだと思います。中でも、代表作の『愛するということ』は必読の一冊じゃないかなと。

ぜひ読んでみてください。


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というわけで、今日の記事は以上です。
本音をいうと、第3章「愛と現代西洋社会におけるその崩壊」は意味不明で内容がほとんど頭に入ってきませんでした(笑)

では、またあした〜!

▶︎ 合わせて読んでほしい記事 ◀︎
≫ 好きな人に好きな人がいることを幸せだと思えるようになると、人生はずいぶんと楽になる。
≫ 好きな人がいたら、好きだと言わなければいけない。
≫ 愛されるより「愛する」ほうが精神的に健康である。


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