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【連載】今日は日本文学を読もう-夏目漱石編-

連載2:〜今日は日本文学を読もう〜夏目漱石編


この順番から読んでいこう!

さて、先日紹介した日本文学オススメのガイド本「文豪ナビ」を使って実際に夏目漱石の魅力を語っていきたいと思います。

「文豪ナビ」が示している夏目漱石の作品を読むオススメの順番はこうです。

坊ちゃん

《前期三部作》
三四郎 
それから 


《後期三部作》
彼岸過迄
行人
こころ

草枕

道草

明暗

吾輩は猫である

硝子戸の中

以外に、あまりにも有名な「吾輩は猫である」なんかは最初じゃなかったんですね。
ちなみに、前後期三部作となっているものはストーリーが繋がっている訳ではありません。ただ、全体を通して主題となっているテーマが一貫しています。行人からこころへ繋がるバトンタッチなんかは圧巻ですよ。
詳しくはこちらの記事で↓

真ん中あたりに漱石の本の中でも最も難解とされている、「草枕・道草」
あえて言葉を難しくしている、なんて噂もありますから厄介ですよね。
でも、ここまで漱石の作品を読み進めてきたならば大丈夫。
漱石が好き好んで使う言葉っていうのがあったりして、もう免疫はついているはずです。

「明暗」は漱石最後の作品で、絶筆となり未完のまま終わったもの。
「硝子戸の中」(がらすどのうちと読みます)は珍しく小説ではなくエッセイとなってます。

漱石の書く女性は美しい

「漱石は女性が書けなかった」なんて言われているようですが、全くそんなことはありません。漱石が書く女性は魅力的でとても美しいのです。
中でも特に有名なのが「三四郎」に登場する美禰子。

迷える子 ストレイシープーーーー解って?」

明治時代にこんなセンスのある女の子がいるなんて誰が想像できましょうか。でも、いたんですよ。
美禰子はなんだか煮え切らなくて思わせぶりでずるい女だ、なんて言われがちですが、当時、自由に恋愛ができず決められた結婚が主流だった時代の狭間でもがき苦しむ美禰子のメッセージは、今だからこそわかる気がします。

もう一人、「行人」に登場する兄嫁、直。

「あたし今すぐ海に飛び込んでもよくってよ」

「それから」に登場する三千代。

「漂白でも好いわ。死ねと仰れば死ぬわ」


漱石の作品に登場する女性は、時代背景もあってか、「そんな、自分の意見とかないの!」と言いたくなるような感情の場面が多い。
その中でも女性意志の強さ。もう圧倒的に男性よりも強い。
一種の諦めにも似た潔さが儚く、とても美しいのだ。


漱石はかわいい

夏目漱石と聞くと「文豪」と言われれば真っ先に思いつくし、旧千円札にもなったし、「こころ」は教科書にも載っているしでもはや知らない人はいないだろう。
しかし明治時代の人ということもあってか作品も難しいイメージが先行し、人物像も、とても気難しい人という印象だ。

しかし、漱石の書く小説は実にテーマが一貫しており、シニカルでコミカルだ。
リズムが良くって、皮肉が効いてて、世の中に対するカウンターを作品の中に込める、といった反骨精神もある。
本人は周りの人たちのせいで(ほとんどが金の無心)で常に胃が痛かったというし、実際に漱石の作品ではほとんどの主人公が金を借りる。

実際は気難しい人物だったとしても、世の中の不満を猫に代弁させるなんてかわいいじゃないか。
漱石は誰もが持っている美しい部分と醜い部分を言葉巧みに操り、時にかわいらしくカウンターパンチを喰らわせる天才なのだ。


漱石、次の世代へ託す

同時代に漱石と双璧をなした「文豪」が森鴎外。
こちらも歴史を題材にした作品や、教科書に載っている有名な作品もあり是非チェックしてもらいたい。
漱石と鷗外は同じ時代に生きながら、あまりにも対象に生きた「それぞれの人生・生き方」にも注目したい。
そして少し上級編になるのだが、明治の終わりとともに実際に起きた乃木希典大将の「殉死」から読み取る二人の作風の変化や題材として取り入れた箇所も絶対に読んでいただき、実際に感じ取ってもらいたい。

最後に、漱石はある男に今後の文学界を背負って立つであろう男を見出し、託す。
その男が「芥川龍之介」だ。
漱石が「明治時代を生きた男」に対して芥川は「大正時代の人」であった。
これも先に触れた「殉死」の観点からみても面白い。
芥川は「古い!」と徹底的に批判している。

もう一人、夏目漱石の門下生であった男がいる。
「内田百閒」だ。
芥川ほど有名ではないかもしれないが独特な作風で魅力的であり、何しろ本人も常に借金しまくりの人生で、死ぬ間際の漱石にも金の無心をしたのだというから相当な男である。

芥川とも漱石チルドレンとして最後まで交流があり、内田の作品にも芥川が登場し、寂しく死んでいく様もリアルに描かれている。

漱石も猫を愛したが、内田も猫を溺愛するあまり「ノラや」といった作品を残す。
猫好きの方はこの作品から入って、内田・芥川・漱石と逆に戻って楽しんでみるのも良いかもしれない。


まとめ

・何から読んでいいかわからない人はまず「文豪ナビ」を読もう!
 そのあとはナビに沿って読むべし!
・漱石の書く女性は美しい!ひとつひとつのセリフに情緒を見出すべし!
・漱石はそんなに難しくない!固定観念を覆すのだ!
・漱石のまわりの人々にも注目してみよう!
 ライバルの森鴎外、弟子の芥川龍之介、内田百閒、時代の終焉のキッカケ   となった「殉死」について

以上、今日は日本文学を読んでみよう夏目漱石ナビ編でした。
次回は作品紹介もしていきたいと思います。

ではまた。

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RyO


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