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【RYDEN公開マニュアル】キミのSLA(サービス品質保証)はいかほどですか。

IT語で SLA【Service Level Agreement】というものがあります。日本語で言うとサービスレベル合意書とか言いますが、要するに、サービスを提供する事業者が契約者に対して、どんな基準でサービス品質を保証するかを明示したものですけど、例えばサーバーのホスティング、クラウドサービスなどでよく使われます。

昔は、サーバーエンジニアの人に「井上くんがクライアントとどんなSLA結んだのか知らないけどさぁ、どこまで責任持つか明確にしてくれないとこっちは動きようがないからさぁマジで」とか言われて

こんちくしょうテメーみたいなのと話しても埒あかねーんだよもうちょっとチームメイトとして建設的な言い方しろよテメー
(なるほどそうか、ですよねデスヨネ、確かにそうですよね失敬失敬)

とか、そういう会話をよくしてました。

で、このSLAは、IT業界だけじゃなく社会生活のほぼ全てにおいて存在します。例えばアナタが1,000円の定食屋さんに行った時、「店員さんの接客はどうでもいいけど、清潔なテーブルで、待ち時間10分以内くらいで、そこそこ満足できる食事と、水を出してもらいたい」というお店側のSLAに対する期待値が働きます。

これが13,000円コースのイタリアンだったら、優雅な接客とともに前菜から肉&魚のメインがあって最後パスタでデザートとコーヒーと、あ、パンは焼きたてフォッカチャ出してくれたら良いな。という期待値になります。

ここで焼きたてフォッカチャの代わりに

ヤマザキのアンパンとサラダ油と塩

が出てきたらどうでしょうか。アナタの予想したSLAは激しく裏切られ、時代が時代ならアナタは憤死してしまいます。

そう、だから事前にメニューを確認しますよね。
飲食店のメニューはお店からお客さんに対する最低限のSLAチラ見せなのです。「カキフライ定食を980円で提供します」と。そして写真を添えることで、SLAの解像度をさらに上げたりします。

つまり社会生活は、すべて期待値とSLAのやりとりなのです。
「年収600万以上の男性となら結婚しても良い」という女性の期待値に対して、男性側は「私の年収は800万円でございます(誇)」というSLAを提示して、合意に至る。

ほぼ全てにおいて、そうです。

ただし、いいですか、大事なことを書きますよ、
ほぼ全ての期待値は、ベールを被っているのです。

ようするに、

期待値が文章化されている場合は、ほぼありません。

僕らの仕事に置き換えてみましょう。
クライアントの期待値はどんなものでしょうか。

・私たちのビジネスゴールを実現するためのクリエイティブをお任せしたい
・コミュニケーションの起点になるWebサイトを作って欲しい
・サーバーもお願いしたい、ドメインもお願いしたい
・そのための要件整理を、一緒にやりたい
・社内説明用にわかりやすい資料を適宜適切クイックに準備して欲しい
・専門用語なしで平易に回答して欲しい
・我々の動きが悪くても、責めないで欲しいしそちらで吸収して欲しい
・リスクは負いたくない
・価格はこれくらいで依頼したい
・どんなプロセスを経るのか分からないから、適切に誘導してほしい
・気持ちいいプロジェクトにしたいよね!
・経営陣から褒められるくらいのすごいのにしたいよね!
・これで出世したいな

とか、ちょっと面白くするために悪意に満ちた書き方してますが、
色々なクライアントの期待値があります。

そしてなんと、なんとですよ、

我々のSLAも、クリアに提示しないのです(キリッ)

出すとすれば、見積だけです。
要件自体未確定な場合がほとんど、ということもありますが、ここでクライアントに対するSLAとして機能するのは「この人なら大丈夫そう」という謎の安心感を与える笑顔、会社の実績、「大丈夫ですよ」というプロデューサーの短い言葉、これくらいなのです。

まぁ、でも、出しようがない気がします。要はプロジェクトが上手くいけばいいので重要なのは、

サービス提供側が相手の期待値を読み切れるか

これです、これに尽きるのです。

これを読み切れないと、相手の期待値を全然下まわりすぎてクラッシュする、或いは上回りすぎて非現実的な見積になって仕事が消える、ということが起きます。僕は、ほぼこれが全てだと思っています。

もちろん、相手の期待値に応えられるモノを持っている、うみだせる、うみだせないかもしれないけど全力で頑張る、というのが前提ですけど。

そして相手の期待値を読んで応える、という技術の他に、会社としてのSLA、もっと言えば自分のSLA、つまり組織の判断基準と、個人の信念を持っておく必要があります。

これがないと、何が起きるか。

相手の期待値が適切なのかどうか、判断できません。

「3000円払うのでフレンチのフルコースお願いします。食材は鎌倉からお願いね。途中でおかわりするかもだけど、追加費用は払わないからよろしく!
あ、ちょっと中華も食べたいのとデザートは羊羹で!帰る時レシピをメモに書いといて!」


みたいな、これは期待値が明らかにバグってるという判断ができないと、ヤバい事になるのはわかりますよね。ちょっと極端な書き方しましたが、高感度なビジネス判断センサーと、しっかりとしたSLAをもっていないと、生きる指針を失ってしまってむちゃくちゃな絶望感と無力感の闇を彷徨うことになります。

まとめると、
・相手の期待値を読み切れ、そして期待値以上に応えろ
・SLAを持て(ライデンのメンバーなら共通したライデンのSLAを持て)

ということです。

だから、ライデンに入ると男塾を渡されます。


そんな僕は、小学生のころ先生が期待している答えを読み切って、先生が喜ぶ答えを出せる生徒会長でした。ただ、中学に入って尊敬できない大人が増えるに従って、アホらしくなってそういうのやめました。

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written by RYDEN
戦略とクリエイティブの両面から、
強靭なブランドづくりを支援する
株式会社ライデン
https://www.ryden.co.jp/
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