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I.ENOMOTO(アイ.エノモト) デザイナー インタビュー / 榎本さん、とっておきの場所を僕に教えてくれませんか?(後編) 


こんにちは、荒岡です。 今回が最終章の後編です。 I.ENOMOTOの眼鏡デザイナー  榎本さんと一緒に代々木上原周辺を散歩しながら、榎本さんのおすすめの場所、そして榎本さんの眼鏡デザインに対しての考えなどを色々とお伺いすることが出来ました。
今回の記事も会話形式で記載させていただきます。ぜひ、ご覧ください。

(本文)

荒岡 「榎本さん!! フレッシュネスバーガーの一号店は、もう少しで着きますか?」

榎本さん 「もうすぐですよ! しかし、休憩の時は、すごい張り切ってるよね。。(苦笑)」

荒岡 「当たり前ですよ!! 早くメロンソーダ飲みたいですよ!! あんなに歩いたら、喉がカラカラですから。。」

荒岡 「あ、そうだ! 忘れてました! 前から伺おうと思っていたのですが、ブランドを作る時って、どれくらい前から準備するんですか?」

榎本さん 「そうですね、正直、人それぞれだと思うけど、僕は1年半くらいかけてやりましたね。」

荒岡 「なるほど。 確か? ファーストコレクションは、3型を発表されてましたよね?」

I.ENOMOTOのファーストコレクションで発表されたモデル3型


榎本さん 「そうです。 最初にデザインしたのは、クラシック眼鏡の基本とされる3型のウェリントン、ボストン、アビエーターを作りました。」

荒岡 「それって、いわゆる、クラシック眼鏡の定番とされる型ですが、ヴィンテージのモデルなどを参考にされたりしたのですか?」

榎本さん 「じつは参考にしたものはなく、自分の頭の中にあるウェリントン、ボストン、アビエーターの型をデザインしていきました。」

荒岡 「おお! それは面白い!! ファーストコレクションは、特にシンプルな装いながら、存在感があるデザインでしたよね。」

榎本さん 「僕のデザインは、一見シンプルなように見えますが、デザインをする際は、今まで培ってきたことを何層にも重ねていくような感じで、自分の持っている知識とテクニックを融合させてデザインしてますね。」

荒岡「なるほど!!」

榎本さん 「自分は、たとえば一つのアイディアだけが際立つようなデザインのアプローチはしないですね。 先程(中編)も話しましたが、キャッチーなデザインではなく、自分が考える洗練されたデザインを常に追求してます。」

荒岡「だから、榎本さんのデザインは凛としていて、存在感があるプロダクトなんですね。」

榎本さん 「基本的に見た目は派手さがないので、玄人向けというか。実際に自分がデザインした眼鏡を掛けている方は、大学の先生、演奏家、寿司職人など様々な方に掛けていただいてますけど、共通しているのは、その道に精通した方が多い気がします。」

荒岡 「それ! わかります!!」

榎本さん 「あっ、タカシ君、ここ!! フレッシュネスバーガーの一号店!!」

荒岡 「おお!!! 榎本さん!! 着きましたね!! 早く入りましょう~ 」

フレッシュネスバーガーの一号店で
ゆっくりと榎本さんと休憩させて頂きました


<休憩後、榎本さんの倉庫にて>

荒岡 「榎本さん、早速ですが、先程(中編)、話されていたレザーの眼鏡ケース拝見させていただきたいです!!

榎本 「これです。 2型あって、マグネットタイプとベルトタイプです。」

榎本さんがデザインしたレザーの眼鏡ケース マグネットタイプ

荒岡 「すごいモダンで、格好いいじゃないですか!! 自分で使うのもいいし、人にプレゼントしても喜ばれそう!!」

榎本さん 「そう言ってもらえると嬉しいですね!!」

榎本さん「じつは、レザークラフトは、妻であるSAYAKA TSUKAGOSHIがデザインしている眼鏡ブランドのmegane and me(メガネ アンド ミー)のレザーケースを自分が作製したのが始まりで、あまりにも出来上がったもの良くて、気に入ったので、作り出した感じなんですよ。」


マグネットタイプ、ベルトタイプの二型の展開

荒岡 「そうだったんですね。僕は、榎本さんがイタリアに行った時に、レザー製品が有名なので、作りたくなったのかと思いました。」

榎本さん 「ああ、そういうのも潜在的にあるのかもしれないですね。」

荒岡 「あの、そのイタリアでの話なんですが、日本とヨーロッパだとデザインの環境とかは違ったりしますか?」

榎本さん 「そうですね。 当時は、ミラノでヨーロッパ、アメリカ向けの眼鏡、サングラスのデザインをしてて。 日本では、今まで気がつかなったことを学びましたね。」

荒岡 「と言いますと?」

榎本 「日本にいるときは、言語や育ってきた環境にあまり違いがないので、聞き手側が、話の内容を汲み取ってくれることが多いんですよね」

荒岡 「なるほど。」

榎本さん 「なので、デザイン案のプレゼンをする時に隅々に至るまで説明することは日本ではなかったですけど、海外では、言語も環境も違うから日本のやり方が全然通用しなかったですよね。」

荒岡「確かにそうなりそうですよね。」

榎本さん「だから、細部にわたるまでデザインした理由を説明するようになりましたね。」

榎本さん「あと、海外だとコンセプト、テーマが日本よりも重要視されるので、簡潔でわかりやすいコンセプトを提案するスキルが身につきましたね。 デザインについて、論理的な説明が以前よりできるようなったのは、あの時の経験が大きいと思います。」

荒岡 「それは素晴らしい経験ですね!」

榎本さん 「その経験した後は、クライアントワークに関して、そのブランドの背景、現在までのブランドイメージなどを多方面で分析して、論理的にデザインの説明ができるので、非常にやりやすくなったと思います。」

荒岡 「ということは、榎本さんのブランドのI.ENOMOTOも、論理的な思考でデザイン、制作されているのですよね?」

榎本さん 「いや、真逆ですね。」

荒岡 「えっ! 真逆なんですか??」

榎本さん 「I.ENOMOTOに関しては、分析というよりも、自分が本当に良いと思う眼鏡だけをリリースしています。 もっと言うと、自分が今までに積み重ねてきたデザインの知識を整理して解放するような感じなんです。」

荒岡 「すごい!! そうだったんですか!!!」

榎本さん 「僕は、眼鏡は”小さな建築物”だと考えています。「寸法を測る」 「素材を決める」 「機能させる」 「構造を成立させる」という建設的なアプローチなしでは、成り立たないですよね。」

荒岡 「眼鏡は”小さな建築物”って、いい言葉ですね!」

榎本さんの書棚にあった本を撮影
面白そうなものばかりです

榎本さん 「そもそも、プロダクトデザインは、使用する方の振る舞い、行動を変えると言われてます。 だから、プロダクトに品があり、実用性があるものを作らないと。」

荒岡 「榎本さん!! また、高感度を上げてますよね??」

榎本さん 「ははっ(笑) もっと高感度を上げるようなことを話すと、自分はデザインで人の役に立ちたいし、社会的問題を少しでも解決できるようになりたいとずっと考えていて。優れたデザイナーたちは、それをやってきているんですよね。 だから、時間が掛かったとしても、その方向に進んでいくために、デザインの道を歩き続けようと思ってます。」

荒岡 「まずい、榎本さん、感動して泣きそうですよ!!」

榎本さん 「僕しかいないから、泣いて大丈夫!(笑) あと、やっぱり、コロナ禍はデザインを再考する時間をくれましたよね。自分はファッションストーリーの文脈で形を提案するのではなく、インダストリアルなプロダクトの可能性を追求したいですね。」

荒岡 「榎本さんのデザイン、本当にもっと見たいな!!」

榎本さん 「やっぱり、デザインって終わりがないと思います。建築家は60歳、70歳でもクオリティーの高いものを作ってますよね。 プロダクトデザインは、年齢が若いからといって、必ずよいものができると思っていないし、建築家のように年齢、経験、知識を積み重ねることで、デザインの成熟度が深まると思っているので、年を重ねてもできる限り現役のデザイナーとして、眼鏡をデザインしていこうと思っています。」

荒岡 「榎本さんがデザインしてるまで、僕も眼鏡屋さんをやり続けますよ!!」

榎本さん「お互い頑張りましょうね!」

荒岡 「ただ、、最後に一言いわせてください。 今回、榎本さんは高感度を上げ過ぎなんですよ!!!」

榎本さん 「んー、そうかもしれない!」(二人で大爆笑)

最後まで、ご覧いただき、誠に有り難うございます。 

洗練されたI.ENOMOTOの眼鏡


美しいI.ENOMOTOの新作 まさにモダンプロダクトといえる


< 眼鏡とクラフトat RUTTEN_ >
昼の部 12時~19時(物販とカフェ)
夜の部 19時~21時30分(BAR クラフトレモンサワー)
住所 〒110-0005 東京都台東区上野 5-5-10 1F
TEL 03-6284-2675
定休日 月曜日

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