ルチル

広島県の呉生まれ、東京の下町住まい。広い意味で文章を書く仕事をしている会社員。趣味:音…

ルチル

広島県の呉生まれ、東京の下町住まい。広い意味で文章を書く仕事をしている会社員。趣味:音楽(洋楽のみ)、ゲーム(RPG)、読書(伊坂幸太郎、宮部みゆき、米澤穂信)、サッカー見ること(Chelsea)、お笑い、昼寝、筋トレ、猫。ロンドンに約7年いました。

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記事一覧

映画「怪物」感想 〜怪物とは何のことだったのか(最後にネタバレあり)

※本文の一番下にネタバレがあります。印をつけておきますので、未見の方はそこから先は読まないでください。 これまで見た是枝作品よりひねった構成で、ちょっとミステリ…

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1年前

村上春樹「街とその不確かな壁」、猫町倶楽部のオンライン読書会用メモ

猫町倶楽部のオンライン読書会に初めて出席しました。オンでもオフでも、本について誰かと音声で語り合うのは初めてで、もっと意見を戦わせ(?)たかったのでなかなかもど…

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1年前
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役所広司さん主演はズルい(笑) 映画「銀河鉄道の父」感想

映画「銀河鉄道の父」見てきた。(たぶんネタバレなし) 宮沢賢治の父親が主人公で、演じるのは役所広司さんということで、心が温かくならないわけがない。直木三十五賞受…

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1年前
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『映画を早送りで観る人たち~ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形~ (光文社新書)』のメモ

かいつまんでまとめてみた。 今の大学生には時間とお金がない やるべきことが多く、可処分時間がない。 関東圏の大学生の2020年の「月平均の仕送り額から家賃を引いた生…

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2年前
3

VIFFレビュー:「人数の町」、監視をめぐる暗く残酷な批評

この数年で、ジョージ・オーウェルの「1984」はますます意味深長な作品になりつつある。この小説を明らかなハッピーエンドと考える人たちが、嘘や偽りによって勢力を拡大し…

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3年前
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いなくてもいい人々 いたくない人々 〜映画「人数の町」感想

完全在宅勤務になって4カ月以上が経過。その間、政府の言うことを馬鹿正直なまでに守り、外出するのは食材の買い物・既往症の通院・ジム・ウォーキングだけ、距離にして歩…

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4年前
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映画「怪物」感想 〜怪物とは何のことだったのか(最後にネタバレあり)

映画「怪物」感想 〜怪物とは何のことだったのか(最後にネタバレあり)

※本文の一番下にネタバレがあります。印をつけておきますので、未見の方はそこから先は読まないでください。

これまで見た是枝作品よりひねった構成で、ちょっとミステリチック。本作は脚本が別にあったかららしい。
最初から不穏な雰囲気が漂いまくりでつらくて、先を見たくない気もした。
子供から大人まで、登場人物たちはみんな幸せになりたいと頑張って生きているのに、その誰かが誰かの怪物になってしまう。苦悩させて

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村上春樹「街とその不確かな壁」、猫町倶楽部のオンライン読書会用メモ

村上春樹「街とその不確かな壁」、猫町倶楽部のオンライン読書会用メモ

猫町倶楽部のオンライン読書会に初めて出席しました。オンでもオフでも、本について誰かと音声で語り合うのは初めてで、もっと意見を戦わせ(?)たかったのでなかなかもどかしい部分もありましたが貴重な経験でした。
春樹については、メモにも書きますが、謎を解き明かしたり白黒つける必要はあまりない気がします。というか私はよく難しいことは分かりませんので、650ページを読む間(3日くらいかかりました)、小説の中で

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役所広司さん主演はズルい(笑) 映画「銀河鉄道の父」感想

役所広司さん主演はズルい(笑) 映画「銀河鉄道の父」感想

映画「銀河鉄道の父」見てきた。(たぶんネタバレなし)

宮沢賢治の父親が主人公で、演じるのは役所広司さんということで、心が温かくならないわけがない。直木三十五賞受賞の原作がすごく良かったので、楽しみにしていた。

  

門井慶喜さんの小説はほぼ読んでるくらい好き。彼は書きぶりが素っ気ないところが魅力でもあるが、映画はトシや賢治の臨終シーンなど、少し演出過剰気味。原稿用紙が風に飛ばされるスローモー

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『映画を早送りで観る人たち~ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形~ (光文社新書)』のメモ

『映画を早送りで観る人たち~ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形~ (光文社新書)』のメモ

かいつまんでまとめてみた。

今の大学生には時間とお金がない

やるべきことが多く、可処分時間がない。
関東圏の大学生の2020年の「月平均の仕送り額から家賃を引いた生活費」は18,200円で過去最低。最高は1990年の73,800円。
バイトしないといけないし、他方でLINEなどでガチガチにグループに組み込まれているので、見たり聴いたり知っておかないと話題に乗り遅れるし、マウントを取られる。昔も

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VIFFレビュー:「人数の町」、監視をめぐる暗く残酷な批評

VIFFレビュー:「人数の町」、監視をめぐる暗く残酷な批評

この数年で、ジョージ・オーウェルの「1984」はますます意味深長な作品になりつつある。この小説を明らかなハッピーエンドと考える人たちが、嘘や偽りによって勢力を拡大しつつあるからだ。
この小説の中心的なメッセージは、現代における問題に基づき何度もアップデートされ、トレースされている。しかし、荒木伸二監督の「人数の町」は、これと同じテンプレートを使い、日本に生きることのメタファーを新鮮な方法で描き出し

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いなくてもいい人々 いたくない人々 〜映画「人数の町」感想

いなくてもいい人々 いたくない人々 〜映画「人数の町」感想

完全在宅勤務になって4カ月以上が経過。その間、政府の言うことを馬鹿正直なまでに守り、外出するのは食材の買い物・既往症の通院・ジム・ウォーキングだけ、距離にして歩ける範囲だけに閉じこもっていた。その間、もちろん公共交通機関には乗っていなかったのだが、どうしても見たい映画を見るため、9/6(日)に4カ月ぶりに地下鉄に乗った。乗り方を忘れているかもと怖かったが、大丈夫だった。ただ、隣の席に誰か座るとかな

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