夕日を眺められない私たち

職場の方からのおすすめで映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ！オトナ帝国の逆襲』を見た（ちなみに私にとっては人生初のクレヨンしんちゃん）。事前情報としてこの映画を観たことがない彼氏でもタイトルとクレヨンしんちゃんの映画シリーズの中では特に名作であることは知っていると聞いていた。そして観終わった今、名作と呼ばれる由縁に納得させられた。

この映画はクレヨンしんちゃんが好きなお子さんというより、お子さんと一緒に映画館に来られた親御さん向けに制作されたであろうことは言うまでもない。移り変わりゆく時代を憂う大人たちの心に優しく寄り添う、そんな映画だった。

一つ疑問に思ったのは、 SNS が普及される以前を知る Z 世代ならまだしもそれ以降の α 世代はこの映画にて描かれている美しいノスタルジーに果たして心を動かされるのであろうかという点だ。幼少期の頃からスマホに触れ、大量の情報が忙しなく行き交う世の中に身を置いているα 世代。彼らにとって緩やかに流れる時間はモーレツにじれったいかもしれない。

窓辺にて夕日をぼんやりと眺める時間が現代社会における贅沢品になってしまっているなんて。