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イジーさんに連れられて

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子供専門の人攫いイジーは、農村で不当な扱いを受けていた兄妹を誘拐する。当初は警戒心を抱かれるイジー。だが、その目的が不遇の子供を孤児院に連れて行くことだと知った兄妹は、少しずつ心…
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記事一覧

「イジーさんに連れられて」第一話

あらすじ    子供専門の人攫いイジーは、農村で不当な扱いを受けていた兄妹を誘拐する。  …

霧満るろ
1年前
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「イジーさんに連れられて」第二話

 大陸の中央に構える大帝国スピラ。  四方を隣国に囲まれながらも、その軍事力は随一を誇る…

霧満るろ
1年前
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「イジーさんに連れられて」第三話

 西のルートからスピラ帝国の首都オクトスに向かうには、必ずこの手前の町・ディアバシスを通…

霧満るろ
1年前

「イジーさんに連れられて」第四話

「――騎士のくせに、そんなことして恥ずかしくねぇのかよ!」 『あぁん?』  男性をひたす…

霧満るろ
1年前

「イジーさんに連れられて」第五話

 旅団に交じる彼は、まだ幼い子供である。だから共に荷台を引き、馬を連れる大人たちの素性に…

霧満るろ
1年前

「イジーさんに連れられて」第六話

 城門の前には、多くの旅人や馬車が並んでいた。  オレンジ色の空が見え始める頃、開けた視…

霧満るろ
1年前

「イジーさんに連れられて」第七話

 目覚めたとき、ドクサは石造りの天井を見ていた。  背中を埋める柔らかい感触に、そこがベッドの上だということを悟る。 「……ここは」 「あ、お兄ちゃん気がついた?」  にゅっと、レクシーがベッド脇からドクサの顔を覗き込んでくる。 「おわっ! び、びっくりさせんなよ」  飛び出す妹に鼓動を跳ね上げ、ドクサは上体を揺らした。  ひとまず、ゆっくり辺りを見渡すと、そこはとても豪勢な一室。  昔、一度だけ父親に連れられたことのある貴族の部屋と、だいぶ似た造りをしている。  

「イジーさんに連れられて」第八話

 食堂の中心には細長い食卓が置かれ、刺繍のほどこされたテーブルカバーがかかっている。奥の…

霧満るろ
1年前
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「イジーさんに連れられて」第九話

 早朝、イジーは宿をあとにしていた。  忘れた荷物を返してもらうため、遥かなる園に向かっ…

霧満るろ
1年前

「イジーさんに連れられて」第十話

 遥かなる園の近くまで来たとき、イジーはその光景に面食らった。  昨日はいなかったはずの…

霧満るろ
1年前
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「イジーさんに連れられて」第十一話

 遥かなる園に来て二日目の夜。  真っ暗な室内には、カーテンの隙間から月明かりが漏れてい…

霧満るろ
1年前
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「イジーさんに連れられて」第十二話

 暗闇の中に、薄い光が灯った。  ベッドに横になっていたイジーは、ランプを持って侵入する…

霧満るろ
1年前
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「イジーさんに連れられて」第十三話

 雲のいずる月の晩。闇夜に紛れ、街中を抜けていく二つの影があった。  イジーとドクサ。二…

霧満るろ
1年前
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「イジーさんに連れられて」第十四話

 隠し通路を抜けた先は書庫の片隅。  ここで松明を落とすと大惨事になるので、明かりは再びランプに戻して出入り口を探す。  当然のように鍵はかかっていたが、内側から開ければ施錠は無意味。ドクサを引き連れて廊下に出ると、遠くに見張りの明かりが見えた。  ランプを点けていてはすぐに発見されるので、イジーは火を吹き消す。  そして頭の中に入っている城内の構造を手探りに引っ張り出し、監視の目に触れないように足音を忍ばせて廊下を進んだ。  どうやら見張りの兵士は、巡回ルートが決まって