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詩集:光へ捧げるメッセージ

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あなたにとっての<光>とは何でしょうか。 あなたを導いてくれるものの存在を思いながら、読んで頂けるとうれしいです。
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夢の衣

夢の衣

過ぎ去りし想い出が
夢に現れた時

バウムクーヘンのように
身心を構成する層*の中の
知的な領域では
「これは記憶の再生作用だ」と
認識する一方

より内側の領域では
まるで
神さまから
贈り物を与えられたような気がして

初夏の小川のようなきらめきが
こんこんと沸き出す

薄暗い部屋の
カーテンを開け
東の空へ捧げる
スーリヤ・ナマスカーラ**

あなたの世界の人たちも
わたしの世界の人

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アップロードの向こう側

アップロードの向こう側

風光明媚な場所に出向き
SNSに写真をアップロードするのが
好きだった

<映えそうな>景色に出くわすと
これはチャンスとばかりに
スマートフォンを取り出し
撮影ボタンをタップ
位置情報と共に写真をアップ

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リアクションを示す
種々の動きにそわそわ

やがて
世の中は
人の流れを抑えなければならなくなり
今では
すっかり出番が乏しくなったカメラのアプリ

延々と

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こころの形~始まりという名の物語~

こころの形~始まりという名の物語~

悲しかったよ
悲しかったよ

わたしにたくさんの<初めて>を
もたらしたあなたからの
あまりにも早く告げられた別離の言葉

そんなはずはない…
わたしを除外した道を
足早に歩み始めたあなたを
執拗に追い掛けた
のろまな頭を持ったわたし

あなたがわたしをはねつける度に
締め付けられた心臓

この先どんなに悲しいことがあっても
あの時よりも悲しいことは
もう二度とない
そんな気すらしていた
少女漫画

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春、この場所で、思い出の重ね塗り

春、この場所で、思い出の重ね塗り

夕暮れ時
一家で出掛けた帰り道

乗り換えのための通過地点で
終わるはずだったこの駅の
電光掲示板に流れる
「運転見合せ」の文字

他に交通手段がないまま
立ち往生すること数分

駅前の公園では
桜並木を彩る
花びらが
はらはらと舞い散る

じっとしていられない幼子は
園内に遊具を見つけて
駆けてゆく
パパがそれを追いかける

遠い冬のある日
過ぎ去りしあなたと
最後に時を共にしたのも
この場所だ

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光に包まれたゆりかご

光に包まれたゆりかご

時制は現在完了
戻れない道を
時の流れに急かされながら
ここまで歩んで来た

過ちと
負った傷
そして
喪失
これは過去完了

けれど

今でも
見えない気配を感じ
遠い記憶の揺り戻しに
巻き込まれそうになる

これはきっと
慢性的な
発作のようなもの

妻や母という役割とは

一線を画したものを
抱え込んでいる
わたしを

そのまま受け入れ
許し
慈しんでくれる

そんな
究極の<X>のような存

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沈黙にたたずむ月

沈黙にたたずむ月

「饒舌よりも沈黙を…」

教室の中の
太陽にはなれなくて
本が友達だった
インフォーマルな時間

日の光にきらめく
教室の支配者達から
沈黙の理由を
幾度となく
問われた

空間を埋める
談笑の嵐

床の上に散らばる
黒い糸くず
幼き頃のmutism

過ぎ去りしあなたも
初対面のわたしに
グレーのラベルを
張り付けた

じめじめと
二項対立が
支配する
世の中

起業女子
ワーキングマザー
そう

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許しへと歩む階梯

許しへと歩む階梯

その昔
未成年だったあなたから発せられた
赤と黒のメッセージ
スポンジのようだったわたしは
それらを同時に取り込んでしまった

そして
その事は
完成途上だった
パーソナリティーに
屈曲した影を落とした

それを恨んでいるつもりはないし
責めているつもりもない

けれど
目の前にそびえ立った
別れ道の険しさよ!

足元からガラガラと崩れ落ちた
地面の瓦礫の波に溺れそうになり
もがき続けたあの頃よ!

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青い夢の彼方

青い夢の彼方

悲しかったよ
悲しかったよ

この先どんなに悲しいことがあっても
あの時よりも悲しいことは
もう二度とない
そんな気すらしていた
青い夢に破れたあの頃

あなたがわたしをはねつける度に
締め付けられた心臓

目に見えない
きゅうきゅうとした天井が
上から迫ってきて
押さえ付けられて
青く曇った視界で叫んだ
ねえ、どうしてなの?!

叫び声が当たる度に
天井には少しずつ少しずつ
ひびが入っていった

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神聖なる音

なりたいものになれなかった
結ばれたい人と結ばれなかった
身近なものへの怒りは日常茶飯事
メディア越しに伝えられる
犠牲者の数はじわじわと増えて行く

人智だけでは
どうにもならないこと
それは運命
だから
残された道は
祈る事

これもチャンク・アップの一つだろうか
形而下的な所から
<考える範囲>を広げてみる…

この宇宙の中
今、この場で
仮の姿に過ぎない<わたし>が
果たせる事の大きさ

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明け方のオンライン旅行

明け方のオンライン旅行

人類共通の出来事が
不意に降って湧いてきて
余儀なくされた
巣ごもり生活

会う人や行く場所に
たどり着くための
それまで平坦だった道は
長くでこぼこなものへと
豹変した

<人生の午後>に
差し掛かった者の
時間のベクトルは
自ずと
過去へと
向かっていき

意識の海の奥底に
封印していたはずの
遠い記憶が
頭をもたげて来る

ある意味
一番未来への
希望に満ちていた
あの頃

その希望ゆえか

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おうち時間のティータイム

おうち時間のティータイム

書物を傍らに置いて過ごす

<おうち時間>の

ティータイム

テーブルに置かれるのは

<今は昔の>

ものがたり

詩歌

そして

ある時は

書簡が

やり取りされたもの…

書物を手に取り

そこに記された

文字たちに

目を通しているうちに

開き始める

時空を越えた

見えない作者と

現代を生きる読者との

ことばと

ことばとの

やりとりの花々…

親愛なる

過ぎ去りし

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想い出の向こう側

想い出の向こう側

終わりが

見えなかったものに

区切りを

付ける時が来た

永遠に

続くのではないか…

そう思われた

ジグソーパズル

それが

もうすぐ

完成を

迎えられそう

<願い事>という名の

最後のピースは

やっと

胸の内に収められた

最後のピースは

あまりにも長いこと

見つけられなかったため

いびつな形に

変わってしまったけれど

これはもう完成形

そういうことにしてお

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嵐が去りゆくまで…

嵐が去りゆくまで…

季節に関係なく

沸き起こる

嵐というものがある

それは

むせかえるような

記憶の

揺り戻し

「今でも

わたしは…」

手を離したのは

わたし

その事を

間違いだとは

思わないけれど

時折

押し寄せる

記憶の嵐…

それに

巻き込まれないよう

一本筋を通したはずの

自ら築き上げた柱に

懸命にしがみつく

そして

ひたすら

去りゆくのを待つ…

アガペーへと歩む並木道

アガペーへと歩む並木道

遠い遠い

記憶の中の

あなた

あまりにも

時間が

経ちすぎて

回想に

回想を

重ねている

わたしです…

もう

ずいぶん前のこと

あなたが通っていた

キャンパスを

訪れる機会が重なり

構内を

貫く

大きな

並木道を

一人

散策していました

広い

この

キャンパスの

どこかに



この瞬間

あなたは

いるだろうか

もし

偶然逢えたら

どんな

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