マガジンのカバー画像

【与信管理】過去の教訓事例集

10
自分自身が約30年間に亘る総合商社在籍時代に、審査マンとして遭遇した数々の教訓事例をここに纏めてみました。主に失敗案件が多いのですが、どれもこれも自分自身の審査マンのキャリアを形… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

新入社員の時に味わった与信管理の難しさと厳しさの記憶が今蘇る!

新入社員の時に味わった与信管理の難しさと厳しさの記憶が今蘇る!

さて、今回は、与信管理シリーズ第一弾の話になります。

新入社員として審査部に配属され、最初に担当した営業部署が東京の繊維部隊の一つでした。
時代は丁度バブル崩壊が騒がれ始めていた平成2年の秋に差し掛かっていました。

都内にある小規模な生地卸の会社に対して、担当営業部から、取引増加をしたいとの事前の相談を受けて、担当の私も含めて4人で訪問調査を実施しました。
具体的に、私以外のメンバーは、私の上

もっとみる
今だからこそ語れる債権回収の笑えない話(ロシアサンクトペテルブルク編)

今だからこそ語れる債権回収の笑えない話(ロシアサンクトペテルブルク編)

みなさん、お元気ですか? 今年も4月半ばに差し掛かりました。
春本番の季節になってきましたね。

さて、今回は、「与信管理」をテーマに、過去の自分自身の実体験をご紹介させて頂きます。
今後も、このような過去の実例に基づいたお話を教訓事例として、披露させて頂きますので、宜しくお付き合い下さい。

前職の大手総合商社在籍時代に、数多くの債権回収に纏わる「オモシロ話」というか、失敗体験談を持っているわけ

もっとみる
同じ系列に2度引っ掛かった教訓事例

同じ系列に2度引っ掛かった教訓事例

さて、今回も、「与信管理」をテーマにして、過去の教訓事例のご紹介をさせて頂きます。

この事案は、入社してまだ間も無い頃の国内での出来事になります。入社して少しキャリアを積み、貸倒案件にも実際に遭遇して、徐々に場数を踏み始めていた頃であったと記憶しています。

今回の事例の「与信先」は、元々私が入社する前から取引が行われていた、都内の比較的業歴の長い、ある呉服・ニット製品・寝具等を取り扱う総合衣料

もっとみる
過去の100%全額出資での買収案件を振り返って思うこと

過去の100%全額出資での買収案件を振り返って思うこと

皆さん、お元気ですか?

今回、久々に「与信管理」「リスク管理」の話題について述べさせて頂きます。テーマは「100%全額出資での買収案件を振り返って思うこと」になります。

過去に、私が総合商社でのリスクマネジメント業務の中で、通常の売買売取引に絡む多くの与信案件以外に、いくつかの企業買収案件にも携わり、その買収後のグループ会社での与信管理にも携わってきた経験があります。
国内外を問わず見られるダ

もっとみる
過去にマーケットリスク(市場リスク)の恐ろしさを肌身で痛感する!

過去にマーケットリスク(市場リスク)の恐ろしさを肌身で痛感する!

さて、今回のテーマは、リスク管理コンサルの立場から、私自身がかつて米国で実体験した話に基づき、与信管理という範疇を超えたところにある「マーケットリスク(市場リスク)」というものについて、少しだけお話をさせて頂きたいと思います。

「リスクマネジメント」と一言で言いましても、極めて広い範囲に亘る言葉であり、正直、私が所属した総合商社業界の中でも、対象範囲が広すぎて絞り切れていなかったように思います。

もっとみる
ある朝突然やって来た米国Chapter11の悪夢

ある朝突然やって来た米国Chapter11の悪夢

・皆さん、今年のお盆はいかがお過ごしですか? 猛暑に加え、豪雨や地震なども重なり、自然現象の怖さを実感しております。ただ今年は久々の行動制限のない夏休みとなりました。

・さて、今回のテーマは「与信管理」の中で、筆者が米国駐在時代に味わった出来事について、ご紹介します。

・筆者が、過去2010年4月から2018年6月までおよそ8年強の間、米国ニューヨークに駐在していた時に遭遇した与信管理上の忘れ

もっとみる
ロンドン駐在時代のエピソード<「ギリシア」という国に対して抱く幻想と債権回収交渉の現実(その1)>

ロンドン駐在時代のエピソード<「ギリシア」という国に対して抱く幻想と債権回収交渉の現実(その1)>

皆さん、今日は久々にリスク管理コンサルに関する投稿をさせて頂きます。

今回から続けて3回物シリーズで、欧州の夏のリゾート地のイメージが強い「ギリシア」を取り上げさせて頂きます。

私がかつて英国のロンドンに駐在していた時代に出会した、ある債権回収に関するエピソードを皆さまに披露させて頂きます。宜しくお願いします。

さて今から遡ること、1999年4月から2003年3月までの4年間に亘り、私は人生

もっとみる
ロンドン駐在時代のエピソード【「ギリシャ」という国に対して抱く幻想と債権回収交渉の現実(その2)】

ロンドン駐在時代のエピソード【「ギリシャ」という国に対して抱く幻想と債権回収交渉の現実(その2)】

前回の表題その1の投稿から、少し間が空いてしまいました。

与信管理の教訓事例として、過去の実体験をご紹介する投稿になります。舞台は欧州のギリシャです。

さて、ギリシャの中小企業に対して、掛け売りができる国かどうかと今問われれば、明確にNOです。

因みに、「掛け売り」とは、販売先にユーザンス期間を供与して、後払い決済で先に商品を渡すことを意味します。

特に、長期間のユーザンスを供与する与信は

もっとみる
ロンドン駐在時代のエピソード【「ギリシャ」という国に対して抱く幻想と債権回収交渉の現実(その3)】

ロンドン駐在時代のエピソード【「ギリシャ」という国に対して抱く幻想と債権回収交渉の現実(その3)】

前回の表題その2の投稿から、少し間が空いてしまいました。

与信管理の教訓事例として、過去の実体験をご紹介する投稿になります。舞台は欧州のギリシアです。

今回は、教訓事例として、在庫管理に係る「寄託与信」に纏わる実例紹介を行います。

さて、そもそも「寄託」って何ですか?という質問が飛んできそうですね?その通りです。一般的にはあまり聞き慣れない言葉です。簡単に一言で言えば、「寄託」とは、第三者に

もっとみる
どこの国でも政府後ろ盾の企業向けの与信案件には落とし穴あり!

どこの国でも政府後ろ盾の企業向けの与信案件には落とし穴あり!

皆さん、今回は、久々に「過去の教訓案件」から、一つご紹介したい案件を取り上げさせて頂きます。

それは、米国駐在時代に経験したとある案件についてです。

米国現地での国内与信案件、しかも取引先のお相手は、当時の米国政府(オバマ大統領時代)のお墨付きの西海岸での有名プロジェクト向けの案件だったのです。

そして、その取引先の業種が、所謂太陽電池メーカーで、太陽光発電機器で使用されるパネル製造会社だっ

もっとみる