現代版・芭蕉の旅(解説06)

芭蕉が訪れた那須湯本温泉に、今の時代に行くとすれば、高久駅から1駅の黒磯駅までJR東北本線に乗ればよい。

黒磯駅からは那須湯本温泉方面のバスが出ていて、30分ちょっとで到着する。

さて、高久と那須湯本に滞在した芭蕉は、ほととぎす(郭公)を句の中に入れた俳句を詠んでいる。

【1つ目】

落ち来るや    高久の宿(しゅく)の    ほととぎす

【2つ目】

野を横に    馬牽(ひ)き向けよ    ほととぎす

《解説》

ほととぎすは、「郭公」と表記するが、この漢字は、「かっこう」とも読める。ただし、かっこうとほととぎすは、厳密には異なる鳥である。

ほととぎすには、いろいろな漢字表記があり、よく用いられるのは「時鳥」である。

では、なぜ「時鳥」や「郭公」と表記するのか。

実は、ほととぎすもかっこうも、夏の到来とともに鳴き声が聞かれ、俳句では、ほととぎすは、初夏の季語である。

ほととぎすとかっこうは、鳴き声は違うが、同じ夏鳥である。

昔は、この鳥の鳴き声が、田植えを始める合図のようなものであった。

芭蕉は、高久と那須湯本の2つの場所で、どちらもほととぎすを季語にして詠んでいる。

さて、どんな場面で詠んだのか、調べてみるとおもしろいだろう。




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