クイズと共に「本屋大賞・ノンフィクション部門」についてのコラム

Q1.ズバリ、第一回本屋大賞・ノンフィクション部門の対象を受賞したのは誰の何という作品でしょう?

Q2.本屋大賞のノンフィクション部門は、例年4月に対象が発表される本屋大賞とは発表される時期が異なりますが、何月に発表されるでしょう?

Q3.ノンフィクション部門は、本屋大賞のメディアパートナーである会社が協力していますが、その会社は何でしょう?

※正解は記事中及び最後に。


ルカです。

本屋大賞いいですよね。嫌いな人はいないと思います。

という冒頭から始まるコラムを書いていますので、よろしければこちらもどうぞ……。

本屋大賞の魅力や特徴などについては上記コラムにあずけ、今回は本屋大賞の部門の一つである「ノンフィクション部門」についてお話していこうと思います。

そもそも、本屋大賞に部門があることをご存知でしょうか?

本屋大賞には、一般的に知られている、いわゆる「本屋大賞」の他に、「発掘部門」「翻訳小説部門」そして「ノンフィクション部門」があります。

今回お話するノンフィクション部門は、その正式名称を「Yahoo!ニュース|本屋大賞・ノンフィクション本大賞」といいます。

「ノンフィクション」というジャンルは、実はとても幅が広く、なにか一つまたはごく少数にジャンルを絞る、あるいは特定することは難しいといわれています。

たとえば戦争関連や医療関連、事件や事故に関する取材をまとめたもの、あるいは闘病や病そのものにフォーカスをあてたものなど、実に様々です。

また、「ノンフィクション」というジャンルは、不況が続く出版業界の中でも特に厳しいジャンルともいわれています。

それは、先ほどお話しした通り様々なジャンルが入り乱れて構成された一つのジャンルとなっています。それゆえ書店側がポップを作ったり、売り出したりしにくいジャンルといわれています。

また、ノンフィクション=暗い、というイメージもあることも要因の一つです。ノンフィクションといえば戦争や事件、事故などのネガティブなテーマが多いというイメージが、特に若い世代や女性からの支持を下げてしまっているようです(実際にはノンフィクションには明るいテーマを取り扱った作品もたくさんあるですけどね……)。

実際、今の本屋さんでは、ノンフィクションの売り場面積は、以前の半分以下になっているようです。

そこで、ノンフィクション作品の魅力や面白さ、素晴らしさや豊かさなどを、一人でも多くの人に体験して欲しいとの願いを込め、本屋大賞と本屋大賞のメディアパートナーであるヤフー株式会社の協力により、2018年に創設されました。

全国の書店員およそ100人の投票によって数作品がノミネートされ、そして11月に対象が選ばれます。映えある大賞受賞者には取材支援費として賞金100万円が授与されます。


ここで少し、本屋大賞のことも。

毎年4月に、全国の書店員さんが選ぶ「今売りたい本」である本屋大賞がノミネート作品から選ばれるわけですが、この本屋大賞、近年では芥川賞や直木賞に匹敵するか、それ以上の影響力を持つと言われています。

実際、2021年の冬に発売された逢坂冬馬さんの『同志少女よ、敵を撃て』は、発売当初からSNS上の読書界隈を中心に口コミが広がり、そして2022年の本屋大賞を受賞したことでさらに話題をさらいました。

本屋大賞は「現役の書店員さん」が選ぶものなので、より僕たち読者の目線に近い視点から本を選びます。それにより、基本的にプロの作家や批評家の方々のような肥えた目を持たない普通の読書好きの僕たちでも手に取りやすい本が選ばれるわけです。
また、書店で働く書店員さんが選ぶため、これらを実際に売る書店でもオススメしやすく、売り出しやすいともいえるでしょう。

このように、特に出版業界が不況といわれる昨今では、この本屋大賞の影響は重大かつ重要なものなのです。

特に読書好きの人々には有名な本屋大賞のこと。毎年の本屋大賞の作品はひと通り読んだよ、読んではないけど知ってるよ、という方は多いかもしれないですね。

では、本屋大賞の「ノンフィクション部門」の作品、どのくらい読んだ、あるいは知っているでしょうか……😎?

先述した通り、「ノンフィクション部門」は2018年に創設され、第一回の対象作品が選ばれました。

その映えある第一回大賞受賞作は、角幡唯介さんの『極夜行』でした!

「極夜」とは厳密には太陽の光が当たる限界緯度である66.6度を超える南極圏や北極圏で起こる現象のことをいいますが、簡単に言えば「一日中太陽が昇ってこない現象」つまり「一日中暗い状態が続くこと」をいいます。ちなみに、対義語は白夜ですね。

日本のノンフィクション作家・探検家である、角幡唯介さん。角幡さんが自ら極夜の北極探検を実施、それを綴った一冊。これだけ聞くと冒険記のような印象を受けそうですが、まさかそれだけでない、肉体的および精神的にも壮絶な体験、数ヶ月もの期間太陽に当たることのできないという非現実的で壮絶で神秘的な経験、そして地球が生み出すドラマチックさやミステリアス。それらを全て詰め込んだような夢のような一冊です。

なお、この『極夜行』と合わせて読みたいのが、極夜の北極探検の準備期間等を綴った『極夜行前』。

極夜探検を遂行するには3年の準備期間がありました。その間も何度も北極を訪れ、本格的な探検のために重ねた試行錯誤。これもまた、命懸けの探検でした。ぜひ、『極夜行』と併せて読んでみてください。

なお、本屋大賞は2004年に第一回の受賞作品が選ばれました。それから今日まで対象作品が発表されていますが、当初はこんなに長く続くとは思われていなかったようです。結果的に本屋大賞は毎年のように話題をさらっていますね。

これと同じように「ノンフィクション部門」も、創設当初は本屋大賞ほど注目を集めるというよりは、「とりあえず続ける!」というスタンスで始められたそうです。

近年の出版業界は、一時期の「ベストセラー本」は年に数作品生まれても、昔のような「ロングセラー本」さ生まれにくいといわれていて、これら出版業界の課題の一つとされています。

特にノンフィクションというジャンルは、他のジャンルに比べても特に不況が顕著に表れています。そのため、「ノンフィクション部門」においてノミネート作品及び対象作品を選出する際には、「長く売り続けられる作品」「間違いなく読まれ続ける作品」を意識して選考しているようです。

ノンフィクションとは「創作のまじらない読物。例、記録文学・紀行文・歴史」と定義付けられます。要は事実を記しているわけで、それはつまり「ひとりひとりの人生」もまた、ひとつひとつノンフィクションだということ。

中には壮絶な人生を歩み、信じられないような経験や体験をした人もたくさんいます。自分の人生だけでは絶対に補えないであろう「他人の人生や考えそのもの」を追体験できるのが、ノンフィクションというジャンルです。

毎年4月に発表される本屋大賞はもちろん、これをきっかけにぜひ「ノンフィクション部門」にも興味関心を向けてみてはいかがでしょうか?


最後に、クイズの答えと、2018年の第1回から2022年現在の最新の受賞作までを紹介いたします。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

※冒頭のクイズの正解は、Q1「角幡唯介さんの『極夜行』」、Q2「11月」Q3「ヤフー株式会社」でした!

ノーベル文学賞についてのコラムもございますので、興味があればぜひ!


2018年『極夜行』角幡唯介

2019年「僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー」ブレイディみかこ

2020年『エンド・オブ・ライフ』佐々涼子

2021年『海をあげる』上間陽子

2022年『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』川内有緒


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