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『ねじまき鳥と火曜日の女たち』(『パン屋再襲撃』より)

『ねじまき鳥と火曜日の女たち』(『パン屋再襲撃』より)
村上春樹著


長編『ねじまき鳥クロニクル』の原点になる物語。

①ねじまき鳥とは
「ねじまき鳥は毎日その近所の木立にやってきて、我々の属する静かな世界のねじを巻いた。」

②火曜日とは?
ローマ神話では火曜日は戦争と勇敢さの神、マルスに捧げられていました。そのため、火曜日は戦闘、決断、行動を象徴する。
哲学的な視点から見ると、火曜日は時間の流れや生命の一部と解釈する。また、それは目の前にある任務や挑戦に対する我々の対処方法を象徴する。

③ロッシーニの『泥棒かささぎ』というオペラについて、
主要なテーマは、社会の不公平さ、愛、正義、そして救済です。作品は庶民と権力者の間の力の不均衡を描きつつ、愛情の力と不公平な状況に立ち向かうための勇気を強調する。困難な状況からの救済や希望の実現を象徴する。

④朝にスパゲッティを茹でること
日常のルーティンや慣習にとらわれず、自分自身の欲求や好みに従って生活することを象徴する。

⑤知らない女からの匿名の電話
予期しない変化や新たな情報、未知との出会いを示す。

⑥猫は、
1. 独立性:猫は自立心が強く、自分自身で生活を営む能力を象徴する。

2. 不思議と神秘:猫はその静かで神秘的な性格から、魔法や神秘主義の象徴とされる。

3. 幸運と富:特に日本や中国では、招き猫として知られる猫の像は商売繁盛や金運上昇の象徴とされる。

4. 柔軟性と適応力:猫は自身の体を柔軟に使い、さまざまな状況に適応する能力を持っている。そのため、変化に対応する力や生き抜く力を象徴する。

5. 女性性:いくつかの文化では、猫は女性性や豊穣の象徴とされる。

⑦「路地に入ること」

1. 冒険と発見:予測不可能な体験や新たな視点を得るチャンスを意味する。

2. 非日常と脱出: 主要な通りや広場から路地に入ることは、普段の日常やルーティンからの一時的な脱出を表す。

3. 内面への探求: 路地はしばしば人々が見逃す場所や忘れられた空間として表現される。路地に入ることは、外部の喧騒や社会的な期待から離れ、内省や自己探求に向かうことを意味する。

⑧爪を切ることは、

1. 刷新と変革:爪を切ることは、過去の束縛やマイナスの要素からの解放を意味する。

2. 排除と浄化:爪は身体の一部として培われたものであり、切ることによって不要なものや邪悪なエネルギーを取り除くことができる。

3. 自己管理とケア:爪を整えることは、自分自身への時間と注意を向けることを象徴する。

4. 謙虚さと協調性:爪を切ることによって自身の力や影響を抑えることで、他者との調和や平和を追求する姿勢を表す。

⑨「ワタナベ・ノボル お前はどこにいるのだ? ねじまき鳥はお前のねじを 巻かなかったのか?」

ワタナベ・ノボル(猫)は具体的な人物ではなく、象徴的な存在として扱われている。そのため、彼は具体的な場所にいるわけではなく、存在の意味や目的を探求する上での象徴的な存在として捉える。また、「ねじまき鳥はお前のねじを巻かなかったのか?」という文は、人生における運命や自己決定の問いを投げかけている。人は自らの人生をどのように組み立てるか、運命によって制約されるのか、自己決定の要素はあるのか、といった哲学的なテーマに繋がっていく。

無限にキーワードが、あるので、この辺でまとめる。

ロッシーニの『泥棒かささぎ』が、今後の展開を象徴しているのだけどね。
究極的には『ねじまき鳥クロニクル』の物語になってしまうので、この一編に限定して、考えると、人生には、予期せぬ出来事が、往々に起こるということ。そして、その予期せぬ出来事を通して、歩みを進めていくことが、人生なのだというように理解した。

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