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【読書ノート】『今夜、世界からこの恋が消えても』

『今夜、世界からこの恋が消えても』
一条岬著


読み始めは、ライトな中学生向けのラブコメディなのだろうと高を括っていたのだけど、通勤の電車の中で涙が止まらなくなってしまって、困った。

主な登場人物は、神谷透、日野真織、綿矢泉。

日野真織は、ある事故で、前向性健忘という朝起きてから寝るまでの間は記憶を保持できるが、寝て脳が記憶の整理を始めると、整理されるべき一日分の記憶が消去されてしまう。という記憶障害の只中にあった。そんな時に、神谷透に出逢い、物語は始まる。

神谷透は真織を毎日楽しませようと、一日限りの恋を積み重ねていく。やがて二人は本当に惹かれ合っていくのだけど、実は、透にもある秘密があった。そして、その秘密のゆえに、透は真織の記憶から自分を消してほしいと願うことになる。

物語の主題は何か?
①広い意味では、人生って、出逢いと別れの連続だということ。

②もう少し、絞ってみると、「愛」は何か?愛情も「手続き記憶(技能記憶)」になるのだろうか?ということなのだと思った。

*手続き記憶とは?
手続き記憶は簡単には言葉で説明できないことが多く、意識しなくとも使うことができる。いわゆる「体が覚えている」状態。手続き学習の例として、自転車の乗り方の練習、タイピングの練習、楽器の練習、水泳の練習がある。手続き記憶は永続性がある場合もある。

記憶がなくなっても受けた愛情は残るものなのか?言い方を変えると、
繰り返し愛情を受けると愛情は、潜在意識(小脳)に働きかけられるものなのだろうか?ということ。

③今の幸せというものは、努力で掴み取るというものでもなく、単純に与えられるているものなのだということ。今の幸せが与えられていることに感謝して家族や友人、自分を大切にしましょうというメッセージなのだろうと理解した。

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