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【読書ノート】『ラーゲリより愛を込めて』

『ラーゲリより愛を込めて』
辺見じゅん著


一言で言えば、
第二次世界大戦後のシベリアで日本人捕虜たちは過酷な環境で労働させられる。ロシア語が堪能な山本幡男は帰国の希望を持ち続け、仲間を励ます。幡男は終戦後帰国することができず、シベリアで咽頭癌で、なくなる。そして、幡男の遺書は、日本にいる幡男の家族に伝えられるという話。

インテリな幡男が、書き記す遺書は、捕虜仲間たちが、手分けしてそれぞれの記憶に残して、遺族たちに伝えられるのだけど、何とも、涙が止まらなくなる。

肉体的にも、精神的にもどん底の中、こんなにも、冷静で愛のある言葉を、家族に残すことができたということに、こころを打たれる。

妻向けの言葉、母親に向けられた言葉、子供たちに向けられた言葉、それぞれが、それぞれが、愛に満ちて、明るく、前向きで、死んでいく人間が記しているとは思えないような暖かい言葉に溢れている。

いま、世界では、大きな戦争状況が、起こっている真っ只中にあるけど、戦争の背後には、大変な不幸があるということをこころに刻まれる。

いま、読むべき一冊なのかもしれないと思った。


映画もなかなか、良かった。


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