見出し画像

能動的博物館見学【東京人は大阪を好きになりたい#2】

学校行事での博物館見学。興味のない、縁もゆかりもない京都の歴史についての事前学習。当日の班行動。頭の中は「気になるあの娘と話せるか」どうかだけ。そして後日、模造紙にまとめ発表をする。

誰もが一度は経験したことがあるはず。

きっかけにはなるかもしれないが、人にやらされたことで身になることはほぼないと言っていいだろう。学校教育は学習内容よりも、興味喚起の接点作りに注力すべきだ。(いきなり教育批判)

と言うわけで、これまで歴史に全く関心がなかった。

しかし、街を好きになるには歴史から。物語を知れば情と愛着が生まれる。そう思い、「大阪くらしの今昔館」に行ってきた。

入口がカッコイイ

観光が苦手だった

思えば昔から観光が苦手だった。

見たくもない城に登り、たいして好きでもないその土地の名物を食す。「何をやっているんだ俺は…」というやるせなさをいつも感じていた。

5年ほど前、2泊3日で札幌旅行をした際は、時間を持て余してPARCOで買い物をするという旅情もクソもない奇行に走ってしまった。

そんな価値観をカメラが変えてくれた

移動をすれば景色が変わる。景色が変われば写真が変わる。名物・名産に興味はなくとも、被写体としてなら興味が持てる。「写真を撮る」という口実が生まれ、気軽に遠出ができる。

以前より、遠くへ行く足取りが軽くなった気がする。

神戸・布引の滝

もうひとつはこの動画。

鉄道系YouTuberとして90万人以上のチャンネル登録者を抱えるスーツさんの旅行チャンネル。(なぜかさん付けしてしまう)

大阪観光といえば、一に食事、二に食事、三四に食事で五に食事。食い倒れ=大阪、もはや食べ物しかないと言わんばかりの切り取られ方をされがち。

だがこの動画では、梅田-難波間をつなぐ御堂筋を歩きながら、街の成り立ちと歴史について解説を行っている。

「街に詳しくなると観光にお金がかからなくなる。歩くだけで楽しいから」というスーツさんの言葉を体現する動画で、大阪への興味と歴史について知ろうと言う気持ちがフツフツ湧いている。

だからこそ、生まれて初めて能動的に博物館に行こうと思えた。写真を撮って、街を知って、大阪を好きになろう。

そう、思っている。

通勤時にカメラを持ち歩いている

大阪を好きな人がいる

これらの経緯から、街の歴史に興味を持ち、大阪市北区にある「大阪くらしの今昔館」に足を運んだ。生憎の空模様だったため、自転車はお休み。

雨写真は難しい

大阪メトロ(旧大阪市営地下鉄)谷町線/堺筋線「天神橋筋六丁目」から徒歩2分。日本一長い商店街「天神橋筋商店街」の入口に本館はある。

ひかえめなステンドグラスが出迎えてくれる

歴史展示の醍醐味は現代とのつながりを感じることだと思う。地図ひとつとっても、今と変わらないもの、全く変わってしまったものとが表れていて面白い。

通天閣を中心に放射状に伸びる道はテーマパークとして作られた名残
今は無き梅田貨物駅の原型が見える
昔の堺筋。当時は一方通行ではなかった

中でもメインの展示「住まい劇場『あの日 あの家ーある家族の住み替え物語ー』」が面白かった。

戦時中〜復興にかけての大阪での暮らしを、悦子さんというひとりの主人公にフォーカスして語る展示だ。

実家の理髪店で常連さんに可愛がられながら育ち、苦しい戦争を生き抜き、恋をして、家族を作り、幸せな人生を送っていった悦子さん。

戦争の悲惨さや、戦後の人々が協力し未来に向かって歩みを進めるパワーはもちろん素晴らしい。が、それ以上にこの土地にはさまざまな人の思い出、歴史、ストーリーがあることを体感させられた気分だった。

「大阪はうるさい」

「大阪は住む場所じゃない」

「大阪は東京を敵視している」

思えば失礼なことをたくさん言ってきた。

本当に当たり前のことすぎるが、自分には何の思い入れもない土地でも、誰かにとっては大切な場所だったりする。

大切な場所を悪く言われたら、良い気持ちはしないだろう。

「相手の気持ちを察する」は学生のころから苦手だったが、大人になりある程度克服したと思っていた。まさかこんなところで再確認させられるとは。カウンターをくらった気分だ。

誰かにとっての宝物。そう知るだけで、今まで見てきた景色が少し色づいて見える。(J-POPみたいだな…)

今後の大阪ポタリングがより一層、楽しみになった。

戦後はバスを住宅にしていた
一家に一台テレビが置かれた時代
初代・通天閣
帰りはいい感じの喫茶店へ
雰囲気◎

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?