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自由律

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#自由律短歌

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いまの迷路 100年後にわかるという 無益をすり減らす

ぎゅうぎゅうに詰め込む 誰の肉も 落ちこぼれないように

置いてけぼりの気分 追い越し追いつけと拡声器 わたしもう動けない

千の空の呼吸 熱気に散らばった 戻れないならせめて返してほしい

わからなくていいなんて重すぎる それだけ 繰り返されるようだ 空しい

決定権 自己責任 たぶらかされた気分 だれも大人じゃないじゃない

感じるすべ

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たとえ黙れって言われても黙れないし黙ろうとも思わない

この空を覚えておこう わたくしの尊厳が小さく破られたから

「今になって」は遅いよ あなた/自分の声だけが足元に落ちる

見つけられるかな ほつれた前に並ぶ人の群れ 今ここで

それなりの踏み潰し方 なんてない 必死さを奪うことは恥

秋晴れ 笑い声さえ乾いていく すっかり汚れた爪先

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燦然と輝く嘘 あの子がやらなきゃここまで解明されなかった

どっちも手つかず お手つき 遮断機から飛び降りるカラス

午前2時 誰にも言いたくないけれど誰かに言わなくてはいけない

簡単にできると ちゃんとした人生を歩んできた君に励まされるのが少し憎い

寝た子を起こすな 幼い頃に手を差し伸べてくれた人の思想 では わたしはだあれ

責任をなすりつけ合う僕ら 嗤うと負けよ あっぷっぷ

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どちらにしても行き止まる 私の心だけ無限に続くから 想像だけひとり歩きする

試している愚か者 人間として生まれてどうして人間を見下せるのだろう

システムとリスク管理 並列回路 組み込まれて心だけ取り残される

怒気を含んだ咳 花金の夜に マッチ棒のようにそれは擦り切れて

愛しているのに光だけじゃいられなくなる どうして前へ進もうとする わけもわからずに

そうだねと頷きながら踏み潰す わかる

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6+α

6+α

過ぎ去った春にも気付かず まともなのは薬にまみれても美しい公園の花だけ

均等な距離感で何事もなかったかのように自己責任で進めという はしごを外す音

ひっそりと剥き出しになるコンクリートが息をする

すべての景色が強烈 怖がりは見ないふり せめて逃げ場があれば

ずっと鳴り響くことは 思い思いに掲げるだけ 真っ青な空

真似できないから取り繕う 気にしないように これは取り扱い注意 嘘ついたら針

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説明をしないで生きていけるならそちらが良い春の宵

擦り切れる感じがする騙していないけれど騙しているし騙されている

金輪際触れられないようにして地中に埋めてしまおう新しい出会いも嘘も

聞いたことのない生き物の声 葦高く 呆然と見上げる茜空

息を吐き出しても なにもわからない初夏は すぐそこ

6(2022春)

6(2022春)

○善悪もなく縦横もない左右もない 空駆ける 広がれば良いものでもない 香りのする花をください
○正直者はバカを見るというがそうじゃないと見れない夢もある 午睡 春から落ちる
○おうおうに降ってくる 怖いことないと陽気に守れるように 小さな手を再び握る
○プリント裏の落書き はらはらとなぞる 桜のシャワーだったら早く家に帰って浴びたい
○複雑になっていくと限りがない 小さな争いが起きる 目の当たりに

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○どうしてこんな世の中になったのか結局戦争が続いてしまっている気がする
○歪んでいない 手折るとまだ瑞々しい松葉
○言い訳の影で 早く調べれば良いと 急き立てられる
○戻らなくてもいいから進みを止める薬が欲しい
○拙速に過ぎる 今世のことしか頭にない
○すてきなおとぎ話 どうせならぜんぶ見せようと足掻く
○浮いたような泣いたような 立ち止まると怖いのがよくわかった

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星取りに行くことができそうな夜空

寒空のてっぺん 電飾に無感動

途端に機嫌が悪くなる 不織布のこわばり

受け取れば良かったのに また良い人ぶって

大人たちの忙しない足音 マンホールの湯気が包む

寒波 電波 ちらつく あっちにもこっちにも

規制 帰省 気性 年々荒くなる

瞼を閉じたら乱反射 夜明け前 ほんの少しだとしても

手を伸ばし寝ずに待っていた煌めきを知っている 憶えている

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おうおうと鳴く地 12月を見護る

悪人ではない証明 体温計の鈍くなる音

Wi-Fi 傀儡 見えない絆

身分相応 未来 騒音になり唇を噛む

揚げ足取り 米粒が足裏につく不快さに酷似

畦道横断する ちっぽけだと でもまたここから

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○深夜にわかる冬の地響き 木枯らしの気配

○あてもない それでも探す 元通りにしたい

○換気期間 利かん気が強い 犯人はあいつです

○サウンドトラック 陽気になれる動画 灰皿に集まる

○交代後退抗体 爪弾くと割れそう 深夜のことば遊び

○ギリギリのギリ 溜息 白くなる季節到来

○行きたい場所ってなに 誰も強要していない寝不足 西へ東へ

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「今回はやめておきます」セミの声にだけ反応するスマホの欠けた縁

観戦努力守秘義務感染 効力が消えていくよ 搾り取られる明日

何でもない日なのに無性に腹立だしい 血糖 決闘 私世の中に怒っている

思いを馳せる失敗に終わる 裏側にまで あの子の秘密

鬱憤を憂さ晴らし 隠蔽工作 夏休みの研究 夢中

燦々と降り注げ そしてどうか祈りよ届いておくれ 私たちはひとつでも何でもないんだ ちゃんと見てお

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●みんな一緒は絶対嫌 でもみんなで助かりたい 単純なことだ 望んで良いか?

●始めるのは億劫 終わらせるのは愉快

●呼吸が上手じゃない 夏休み 畳の匂い 泣き方すら奪われ

●恣意的 安いぞ僕ら 質の悪いアルコールのようだ

●目を背ける 寝言 どうしてここに来て、ふりかざす?

●繰り返される戦争 全然終わっていない だってどこかに必ず潜んでいる

●夏よ 安心して眠らせてくれ 雨の振り方だ

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すべて失くせたら楽なのにと空を

君の強さ 恥じれど本音 揺らぐことなく

おかえりと鳥よさえずる啓蟄の朝

生きている花さえあればなんとでも

泣き声を聞きたくないとテレビ壊す

ひりひりと痛む存在属さない

何故いつも誰かに許しを請いている?

青葉吹けどこまでも自由と笑い声

どんなに憎くても避けられないから深夜を舐める