段ボール ショートショート2

28歳の私が小学生の頃、久保帯人先生の作品「BLEACH」が流行しており、例に漏れず、私もドはまりしていました。
「BLEACH」には斬魄刀(ざんぱくとう)と呼ばれる刀で敵と戦うのですが、その刀は各キャラ毎に特徴のある斬魄刀を所持していました。
私は主人公が特に好きであり、主人公が持つ斬魄刀が欲しかったので、自分で作ることにしました。
実家はタバコ屋を営んでおり、配送用の段ボールを持て余していました。
この段ボールを材料に斬魄刀を作成し、当時は良い出来だと満足し、振り回していました。

時は経ち、数年は実家に帰る用ができ、自室を物色していると1枚の写真を見つけました。
斬魄刀を構えた10歳の自分が写っていました。
当時は名刀を鍛冶したと思っていましたが、今見るとひどい出来であり、刀の柄の部分にマイルドセブン(現:メビウス)と書いてました。
そんな段ボール刀ですが、つい最近、どこかで見たことがありましたが、思い出せませんでした。
結局思い出せず、母が作ってくれた夕飯を食べることにしました。

夕飯を食べながら、テレビを見てる時に、当時制作した段ボール刀が映っていました。
芸人のサンシャイン池崎さんが振り回しており、それは「ジャスティスブレイド」というらしいです。
夕飯前に思い出せずにいたモヤモヤを、サンシャイン池崎さんが取り払ってくれました。
ありがとうございます、池崎さん。

こんな一連の思い出が記憶から消えかけていた頃、公園で鬼滅の刃ごっこをしている少年達を見かけました。
段ボールで作られたであろう日輪刀で戦っていました。水の呼吸と雷の呼吸の使い手がいたようです。

18年の時を経ても、段ボールで刀が制作する少年の文化がなくなっていないことが何故か可笑しく、少し嬉しく思う今日この頃。

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