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電通が一部社員を個人事業主とする件について

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電通が働き方の多様性を狙い、一部の正社員を業務委託契約に、個人事業主とする件について率直にいえば労基法逃れで働かせ放題をしたいのかな?人件費を削減したいのかな?というマイナスの印象しか無い。もちろん、働き方の多様性だったり、電通側の主張では副業を禁止しているから個人事業主となる事で経験を積む機会なり、新規事業の創出に繋がるというような意図があるようだが、正直現実味が無いだろう。

日経新聞電子版には以下のように記載がある。
新制度の適用者は、営業や制作、間接部門など全職種の40代以上の社員約2800人を対象に募集した。適用者は早期退職したうえで、電通が11月に設立する新会社と業務委託契約を結ぶ。契約期間は10年間。電通時代の給与を基にした固定報酬のほか、実際の業務で発生した利益に応じてインセンティブも支払われる。

まず気になるのは早期退職扱いとなる点。本来会社都合の早期退職となれば、割増で退職金なりが支払われるがそれを回避する事ができる。また、10年間の契約期間というが、11月に設立する新会社との業務委託契約であり、その電通自体業務委託契約ではない。当たり前ではあるが、その新会社が10年間続く保証があるわけではないし、その新会社がどれだけ仕事があるのか不明瞭である。その為インセンティブがどこまで期待できるのか。そして、固定報酬は支払うというが、あくまでも個人事業主である為、社会保険関連は当然ながら実費となるし、福利厚生面も無くなるだろう。

確かに個人事業主として他社と業務委託契約を結ぶこともできる為、お金を稼ぐチャンスや経験を積むチャンスが広がる部分もある。ただ、競合他社との仕事はできない部分がある為、個人で選択できる幅が狭まるのも事実。電通側は人件費縮小などリストラ策ではないというが、確実に人件費削減に動いているように見えるし、単純なリストラをおこなうに伴う費用すらも削減しようと目論んでるように感じる。また、業務委託による個人事業主であれば労基法の適用にならない為、電通が問題視されてる長時間労働もある意味で自己責任という形で、合法的にさせる事ができる。

「新しい働き方を求める社員の声に応じて制度導入を決めた」とも電通側は説明しているようだが、社員が求めている「新しい働き方」が業務委託への切り替えとは正直思えない。副業の解禁だったり、労働時間の管理徹底や見直しだったりが求めた「新しい働き方」なのではないかと思う。確かに一部では機会があれば経験を積みたいという人はいるかもしれないが、そのような意思があるならば、独立する気がある人ならば既に電通から独立しているのでは?と思う。そうなればこの働き方とは結局は電通側にはメリットが多くあり、従業員にはわずかなメリット、電通側にはデメリットが皆無という理想的な形なのではないか。

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