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本のこと

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#小説

その本は読まれるのを待っているけれど

その本は読まれるのを待っているけれど

本棚は思考の網目そのものである。

本は開かずとも、そこにあるだけで人に影響を与えるものだ。だからこそ本棚は、全ての本の背が見えるように使わなければならない。

本の背の前に本を積んだり、物を置いたりしてはいけない。今の自分の思考を作るもの、これから考えようとしていることを、つねに一覧で見られるようにしておくべきだ。

そんな主張をどこかで読んだことがあった。
その主張に、私はおおむね同意している

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生きる意味と無意味をめぐって◆三島由紀夫『命売ります』

生きる意味と無意味をめぐって◆三島由紀夫『命売ります』

三島由紀夫『命売ります』(1968年)

いくつも読んできた三島由紀夫の作品の中でも、圧倒的な読みやすさとユーモアがつまったこの小説は、私の大好きな作品の一つ。

なぜか暑くなると読みたくなり、毎夏のように再読しています。

今回はこちらの作品のご紹介と、すこしばかり考察をしてみます。

※ネタバレありますのでご注意ください。

あらすじ広告会社でコピーライターとして働く27歳の山田羽仁男。

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