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【書評】メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』を読まないのはもったいない

ロッシーです。

誰もが知っている『フランケンシュタイン』です。

高校生の頃に一度読んで、非常に面白かった記憶があります。


あれから20数年以上が経ちましたが、やはり面白い!

『フランケンシュタイン』を聞いたことはあっても、実際に読んだことがある人はけっこう少ないと思います。

「単なる人造人間の話だろ?」

と思われた方、ぜひ騙されたと思って読んでみてください。面白い読書タイムを過ごせることうけあいです。

単に面白いだけではなく、今の時代だからこそ、この物語から私達が学べることは多いのではないでしょうか。

フランケンシュタイン博士が人造人間を創り出したように、私達は人工知能(AI)をつくりだし、それを日々進化させつづけています。

(※ちなみに、フランケンシュタインは人造人間を作った博士であるヴィクター・フランケンシュタインのことです。人造人間のことではありません。)

そして、AIがこのまま進化していくと、いつかシンギュラリティ(技術的特異点)が起こり、AIが人類より賢い知能を生み出す事が可能になるといわれています。

それにより、これ以降の世界がユートピアになるのか、それともディストピアになるのか論争は絶えません。

どうなるのかは誰にも分かりません。

でも、だからこそ今の段階でこの『フランケンシュタイン』という物語をベースに、様々な考察をしなければならないのではないでしょうか。

ひたすらに技術を追い求めることを、フランケンシュタイン博士は強く警告します。

「不幸な方だ! わたしと同じ狂気に取り憑かれておられる。あなたも心を酔わせるものをお飲みになったのか? いいですか、私の話をしましょう。そうすれば、あなたもその飲み物を唇から遠ざけるに違いない!」

しかし、人は科学技術を進化させることをやめることはできないのではないでしょうか。

フランケンシュタイン博士自身がそうだったように。

後悔してからでは遅い。

でも、後悔するまでその歩みをやめることはできない。

それが人間というものの性なのかもしれません。


なぜ、この本のタイトルは『フランケンシュタイン』なのでしょうか?

なぜ作者であるメアリー・シェリーはそうしたのでしょうか?

『人造人間』というタイトルをつけることもできたでしょう。

でも彼女はそうしなかったわけです。

それは、本当に恐ろしいのは人造人間ではなく、そのような存在を創り出すことをやめられないフランケンシュタイン博士、つまり私達人間だということを訴えたかったのではないでしょうか?


物語において、フランケンシュタイン博士は、人造人間を創り出したことを後悔します。

もしも私達人間が神に創られた存在だとしたら、神は私達を創り出したことを後悔しているのでしょうか?

人造人間や人工知能について考えることは、私達人間の倫理について考えることと無縁ではありません。

だこらこそ、『フランケンシュタイン』はこれまで読みつがれてきたのでしょうし、これからも読みつがれていくのでしょう。

Thank you for reading !

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