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【読書ログ】「月の影 影の海」

許す。

読んだ日:2022.5.13~5.15

小説について

タイトル:「月の影 影の海(上下)」
作者:小野不由美

元は講談社のホワイトハートで出ていたシリーズですが、最近は新潮社からこれまでの新装版と、新刊が出版されています。

シリーズ開始からは30周年!ということで、なんと私よりも年上なんですね。
1巻と1巻の間が何年も空くので、「早く次を読みたい!」とつらいけど、30年も同じシリーズを追えるのも楽しいかも。

「月の影 影の海」は、新装版では十二国記シリーズのエピソード1として位置づけられています。
ホワイトハートの頃は「シリーズとしたつもりはない」と言っていたような…?気もするけど、気が変わったのかな。

十二国記を人に薦めるとしたら、まずはこの巻から薦める人が多いんじゃないかな?と私は思ってます。

シリーズとしては10作品が出ています。
それぞれ、1巻完結だったり、上下巻だったり短編集だったり。
最新刊は4巻ものでしたね。

次がいつ出るのか楽しみ。

彩雲国物語も、最初ライトノベルで出てて今は文庫で新装版が出ていってますが、挿絵が消えちゃったんだよね。それが寂しくて。
でも十二国記は新装版でも挿絵があります!!これがいいとこ。

「月の影 影の海」と私

これは、私が最初に読んだ十二国記シリーズ。
友人におすすめされ、本を借りて読んだ。

最初に読んだのは中学生の時だったと思う。
その時の第一印象は、まるで覚えてない。

ストーリーの端々を覚えているだけ。

十二国記シリーズの中では、陽子が出てくる「風の万里 黎明の空」が好きで、何度も読み返しているし、他の巻も読み返しているのに、この陽子初登場のお話だけは、ほとんど読み返してない気がする。

何故か手が伸びなくて。

じゃあなんで今読もうと思ったかというと、友達に読んで欲しかったから。
十二国記シリーズを読んで欲しくて。
最初におすすめするならやっぱりこの巻だろうなと(私はそう思うけど、「魔性の子」派も多いみたい)。

しかもその友達は、昔この巻の途中で挫折したということだったので、じゃあまた強くおすすめするなら、自分でも読んでみようと思ったのです。

どこが挫折ポイントだったのかな、とも気になったし。


っていう思いを抱きつつ、でも買うぞ!って本屋に行った訳ではなくて。
旅先で小説を読みたくなったので本屋に行ったときに、上記のことを思い出して買いました。笑


読んでよかったか

そりゃよかった!!
やっぱり好きだわ、、、ってなったし、なんなら「黎明」の最後の方もチラ見した。笑
「これをもって初勅とする!」が大好きなんだよね。

あと、やっと「月の影 影の海」っていうタイトルの意味がわかった。
これまでタイトルの意味をあまり考えてなかったな。

おすすめしたい気持ちは変わらず。

(まぁ、読まなきゃよかった!って思う小説なんてまだ出会ったことないけど…)

内容について

私が今まで読み返さなかった理由を、理解した。

読んでいてつらいからだ。
陽子は、楽俊に出会うまで、いや楽俊を信じることができるまで、あまりにも孤独だ。孤独で、悲惨。凄惨。

シリーズ内の他の話も、それぞれが痛みや困難を抱えている。孤独もある。ただ、十二国内で簡潔するものが多い。
慣れ親しんだ世界での苦難。

ただ、陽子は違う。

全く訳のわからない異世界に放り込まれ、ひとりで生き延びなければいけない孤独。
それは、十二国に初めて触れる読者と同じだ。

孤独、心細さ。

剣を持たされて妖魔と戦い、出会う人に、同じ故郷の人に裏切られる。
また妖魔と戦い、疲労と血に塗れてなんとか生き延びる。
剣の幻は陽子の内にある疑念をぶつけてくる。

読み返している私には、そのうち楽俊と出会うことや尚隆と六太に助けられて景麒と再会することもわかってるけど、それでもつらい。

だったら、結末を知らない初めての読者は尚更だろうなと思う。

私は今まで、こんな話を人に薦めていたのか、と思った。
いや、悪かったという訳ではないけど、このつらさを忘れている状態で、呑気に薦めてたな、って。

小説、特にファンタジー小説っていうのは、読み始めるのに気力がいるものだ。
全く知らない世界に飛び込むんだから。

そういう意味ではやっぱり、十二国記シリーズに入っていくとっかかりとして、読者と同じ状態である陽子が世界に慣れていくこの巻は適しているように思う。

けど、それにしてはあまりにも凄惨でもある。

救いは、一応?ハッピーエンドなこと!
楽俊との出会いもだけど、やっぱり雁っていう国の心強さは桁違いだなと思う。2人とも陽子と同じ出自だし。
ちなみにこの2人についての巻が「東の海神 西の滄海」です。

十二国記を一通り読んでから読む「月の影」もまた楽しいなと思った。

初めて読み始めた人には是非、次は「風の万里 黎明の空」を読んでほしい!!大筋は勧善懲悪だけど、そこに関わる陽子を含む3人の少女の経験と成長と、その絡み合いがいい。何より最後の「これをもって初勅とする!」って宣言する、かっこいい陽子を見て欲しい。月の影からの成長を。


最近自覚したことがある。
私、「何かしらの能力がある女の人」が好き。

しかも厨二病なので。
初めて読んだ中学生の私はさらに、天上碑っていうMMORPGをしてたんですよ。
役職が剣だったの。

だから、剣を振り回して妖魔と戦う少女、にすごく憧れた。
陽子はすごく辛そうだったし、実際は嫌悪感があるだろうけど、やっぱり羨ましかった。

そんなことも思い出しました。


上下巻を一気に読んでしまいました。
これはシリーズ全般に言えるけど、少し単語が難しい。
異世界ファンタジーかつ中華風なので、難しい漢字が多いですね。
ただ振り仮名はあるから!大丈夫。

文章は、読みやすい!ではないですね。多分…。
本を読むのが苦手な人は少し難しいかも。
読むのが好きな人にとっては、読み応えがあって楽しいと思います!私は大好き!

まだ新刊も出るみたいなので、これを気に全部集めて全部読みたいなと思います。
読む人が増えると嬉しい。

サポートいただけたら泣いて喜びます!!