「気にしい」は一種の才能である

わたしには人一倍「気にしい」なところがあります。「気にしい」だし、些細なことで傷つく繊細さんだし、昔から人の顔色を伺いながら過ごしてきました。

俗にいう「HSP」なのかなと感じる部分もあるのですが、何回か診断をやっても「HSP」ではないという結果が出てくるのでどうやら違うみたいです。でも半分くらいはその要素を持っていて、鈍感な部分と繊細な部分が入り混じっているのかなと思います。

うちの両親はお父さんが「HSP」気質を持っていて、お母さんはどちらかというと「鈍感さん」というか、あまり物事を気にしないタイプなので、2人の血をうまい具合に受け継いだんだなって最近よく感じています。

「人に嫌われたくない」「周りと違う意見を言って仲間外れにされたらどうしよう」「物事をなるべく穏便に過ごしたい」。学生時代は特に人の顔色を伺いながら、嫌われないようにしようと思っていました。

ピースボートで世界一周してからは、人はそれぞれいろんな考え方や価値観を持っているし、すべての人に好かれるのは無理だからと思って「自分のことをわかってくれる人がいればそれでいいや」くらいのスタンスまでは変化しました。

徐々に人の顔色を伺うことは減ってきたものの、「気にしい」な気質はまだまだ残っていて、日常生活でも仕事でもいろんなことが気になります。

たとえば、今シェアハウスに住んでいるので、ドアノブが濡れていたら気になるし、冷凍庫の中を自分のテリトリーからはみ出さないように気にしたり、食器を乾かすところにいっぱい食器が溜まっていたら気になるし、誰かが使ったキッチンが汚れていたら気になるし、ドアを閉める音が大きかったらビクってするし、お風呂のバスマットがびしょびしょだったら気になるし、トイレットペーパーの芯がそのまま放置されていたら気になる……。

とにかくいろんな細かいことが気になる

気になるし「気にしい」なので、自分が気になったことはなるべく同じ思いをさせたくないなと思って、気を遣っています。でもみんなは些細なことはあまり気にならないようです。

まぁ日常生活で気になることはいっぱいあるけれども、仕事のときも「気にしい」な性格がドバドバ出てきます。

クライアントにメールやメッセージを送るとき、必要以上に言い回しを気にしてしまって、20〜30分、ひどいときには1時間近く。たった数行の言葉を悩みに悩みまくってしまいます。

「この言い方だと相手に失礼かな」「この一言余計かな」「相手は忙しいからもっと短くわかりやすい言葉で伝えた方がいいかな」。

そうやって何度も何度も悩み考え、作業が進みません。たった数分で終わる作業にめちゃくちゃ時間を掛けてしまう自分はダメな人間だと思うこともしばしばあります。

ほかにも仕事で同僚や先輩にアドバイスをもらったらお礼を伝えたいし、アドバイスをもらった結果どうなったのかを伝えるのが筋だと思い、ちゃんと連絡しようと思うし、文章を書く仕事をしているので、これ誰も気づかないだろうという本当に細かい部分まで気にして何時間もかけたり。（noteはあくまで自分のために書いてるので、そんなに完璧さは求めてません。）

周りが気にならない小さなところまで見えてしまうし、気になってしまう

「気にしい」なわたしには、正直この世界は生きづらいなと感じることがあります。そして気にしすぎてしんどい。コロナになったときはほんとにしんどかった。

それでもそんな「気にしい」なわたしだからこそ、日常生活でも仕事でも周りに対して誠実さや丁寧さを持って接したいと思えるし、接することができている気がしています。

「気にしい」だからこそ、周りの些細なことに気がつく

自分が気になるからこそ、相手には同じ思いをさせないようにしようと気を遣える。それが誠実さや丁寧さに反映されていく。

「気にしい」な人は相手の立場に立って想像することができるとわたしは思います。自分を肯定しているようでちょっぴり恥ずかしいけど「もし自分が相手の立場だったらどう感じるだろう？」「こう言われたほうが嬉しいんじゃないかな」。

そんな風にあらゆる視点に立って物事を考えられるからこそ「気にしい」になってしまうんじゃないか。そうわたしは考えます。

「気にしい」は一種の「才能」だと思うのです

「気にしい」の先には、いつも誰かのことを考えられる思いやりが備わっているんじゃないか。相手の立場を尊重し、相手目線であらゆるシチュエーションをイメージできるから、いかなるときにも誠実に丁寧に対応できる。

少し美化しすぎたかもしれませんが、「気にしい」な性格には目には見えないけど素敵な要素がたくさん詰まっているのではないかと、わたしは思うのです。

この「気にしい」な性格はコンプレックスでもあるし、たまにしんどいときもあるけど、ときには強力な武器にも才能にもなる。この記事を読みながらそんなことをふと思いました。