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カラフルなカラス 2
鳥を焼く匂いをかいくぐって細い路地に入ると、すぐに私の働く店がある。この辺じゃ老舗の二階建ての居酒屋。入り口は狭い。ガラガラと引き戸を開けて、一番乗りとわかっていてもおはようございまーすと声を出す。明るいうちのハモニカ横丁はひどく他人行儀な感じがする。サッサと掃除を終わらせて、店の赤い看板の電気をつける頃になると、ようやくこの飲み屋街に血が通い出す。空は薄いオレンジの光を名残惜しそうに見送り、群青
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"ライに逢えないくらいなら、死んだ方がマシ、、、"
山手線はぐるぐると同じところを回っている。カミコは何度も同じような文面を打っては消す。中古のiPhoneはすぐ熱くなる。近頃は電車も何もかも窓を開けるのが正義だから冷房が効きすぎなくていいんだけど、やっぱり寒いんだよなぁ、ノースリーブじゃ。でもコレを着てるあたしを見て欲しいの。今。
カミコは考える。明日死ぬとしたら、私は絶対ライに会いたい。会
間に合うわけないじゃん
「あっ…」
んーとね、最近ね、ものすごく良い事も、ものすごく悪い事も、簡単に起きそうでこわいの。
できればね、ほんの少し良い事と、ほんの少し悪い事に挟まれて生きていきたいの。
ううううううわ、なんつーか、ごめんなさい。欲深き我を許し給え。私のドス黒い欲、どうか持っていってください。ほーーーんの少しずつだけど、捨てる努力はしてるんです。
「いっちゃったね、流れ星」
一番搾りとショートケーキ
まだ父のことを書くには少し、早すぎる気もするけど、現時点で、ぼんやり浮かぶのか、絞り出してんのかわかんないけど、なんかしらの言葉を残せたらと思う。
まあほんとにありきたりなんだけど、私の父はお酒が好きだった。ビールはもちろん、ワイン、日本酒、ウイスキー、焼酎……それぞれのブームが来ては去っても、一杯目はほぼ確実に、お約束のビール。
父は美食家を気取っているふしがあり、もちろんビールにもお気に入