読書メモ『中世の喫茶文化 儀礼の茶から「茶の湯」へ』
「茶の湯」成立前のこと
私の修論は『看聞日記』にみられる唐物に関するものなので、茶の湯が成立するよりも前の時代にあたる。この頃の茶について、橋本素子先生の『中世の喫茶文化 儀礼の茶から「茶の湯」へ』(吉川弘文館、2018)に興味深い記述がある。
室町時代には、将軍御成の公式プログラムに茶は組み込まれていなかったらしい。「茶事」や「茶会」は、喉をうるおすためや軽食の消化をうながすために、奥向きで、または時たまのこととして使われていたという。(124ページ)
前後にある鎌