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商業小説家を続けながら放送大学大学院を修了できた理由7か条 その2

 画像は京大近くの喫茶店のチーズトーストです。厚めでチーズあっさりめ。スパゲティSサイズが200gとメニューにあったのですが、それは2人分のような気がします。さて、一昨日に引き続き、小説家と大学院生二足のわらじを履けた理由をお話しします。

その2 図書館でとうらぶの博多藤四郎を思い出した

 ゲーム「刀剣乱舞」(略称・とうらぶ)に詳しくない方もご安心ください。要は、図書館で歩き回ったおかげで研究計画書のヒントをつかんだ、という話です。

 2020年7月末、私は放送大学大学院の出願準備に難渋していました。7月24日に定期試験を受け終えて自己採点の結果は上々、しかし8月の初め頃には研究計画書とともに願書を提出せねばならない、という切羽詰まった状況でした。

 私が研究したいのは日明貿易でしたが、それでは範囲が広すぎます。日明貿易に興味を持ったきっかけは楠葉西忍(くすばさいにん)という異国の血を引く商人ですが、この人物は史料が少なすぎます。(なお、楠葉西忍ことムスルを主人公にした小説は2015年に出しました。『南都あやかし帖 〜君よ知るや、ファールスの地〜』(メディアワークス文庫)です。電子版の購入がおすすめです。紙版は品切れのようです。)

 どうしようかなあ、何とかできるはずだから解決の糸口が欲しいなあ、と思いながら京都府立図書館を歩いていると、中世の博多に関する考古学の本が目にとまりました。
 そこで私が思い出したのが、博多ゆかりの短刀「博多藤四郎」と、そこから生まれたとうらぶの博多藤四郎というキャラクターです。姿は金色の短髪に赤い縁の眼鏡、青い瞳の少年。お金を大事にする元気かつ現金な性格です。日明貿易など対外交易の舞台となった博多にふさわしいキャラクターだと思います。

 楠葉西忍は今で言う関西で生まれ育った人だけど、博多での対外貿易についても調べたくなりました。たぶん、博多藤四郎のキャラクターの明るさが背中を押してくれたのだと思います。

 手に取って読んでみると、なんと研究計画書に役立ちそうなことが書いてあるではありませんか。交易都市・博多には宋人たちの街があり、宋人と日本人女性の子が宗像社の宮司という高い地位についた例もある、と。異国の血を引く人が中世日本にいて、その地位は必ずしも低くはなかったーーという点で、楠葉西忍と共通しています。

 これで書ける! 日明貿易と楠葉西忍にまつわる研究計画書を!
 勇んで書いた研究計画書は無事審査を通過し、私は次なる関門・一次の筆記試験を受けられることになったのでした。


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