20190524-迷想

3月毎勤結果が“強烈”――増税はどうなる?|迷想日誌

厚生労働省の毎月勤労統計調査結果が大変な状況となっています。
今年3月分(速報)の現金給与総額の名目、実質ともに最近にない大幅下落となりました。
その現金給与総額は27万9922円で前年同月比1.9%の低下です。
名目賃金の下落が始まったのは、今年に入ってからです。前年同月比は1月0.6%低下、2月0.7%低下でした。

名目賃金は、平成30年の1年間を通して前年同月比プラスを維持していました。
30年6月には2.8%上昇、3月は1.8%上昇などとなり、順調な賃金アップが実現していたといえます。
しかし、消費税増税を控え肝心な今年に入ってからの賃金の動向は悲惨という外ありません。

実質賃金はさらに厳しい状況です。実質賃金の推移は、平成30年においても夏から秋にかけて前年同月比マイナスで推移することがありました。
しかし、今年に入ってからの下落幅はそれを上回る状況です。今年1月は前年同月比0.7%低下、2月は1.0%低下、そして3月は2.5%も低下しました。

今年3月分の現金給与総額の下落をさらに詳細にみますと、所定外給与が前年同月比3.1%低下、さらに一時金などが12.4%低下となり、大きく響いています。所定内給与も0.9%低下しています。
所定外労働時間は、前年同月比10.8時間(4.4%)減少しています。

総合的に判断しますと、景気後退局面に入ったということになるでしょう。しかも、一時的な後退とは考えられません。
5月20日に公表されたGDPの個人消費もマイナスです。さらに、米中貿易戦争はこれからが本番となります。
10月に英国がEU離脱となれば、欧州全体のGDPもマイナスとなるでしょう。

賃金の動向からみると残念ながら消費税増税できる実態にはないかもしれません。
自民党の萩生田幹事長代行が「国民を崖っぷちに連れていくことはできない」といった趣旨の発言をしていましたが、現実味が増しています。

日本は、デフレ脱却できないまま再度縮小してしまうのか、極めて重要な時期に差し掛かっています。
政府は、くれぐれも以前のように経済政策を誤らないよう望みます。大阪G20後に衆議院解散、ダブル選挙との声も聞かれます。

※なお、毎月勤労統計調査結果は、さきごろ問題化した東京都の500人以上企業調査の統計処理を再度実施し復元したものです。

労働新聞編集長 箱田 尊文

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