徒然草をひもといて 5章 ⑦143段 人の臨終の有様
人の臨終の有様、といえば、命ある限り遅かれ早かれ、誰しもいずれ迎えることになる、今生との別れの場だが、ここでは、とくに生前、知名の人物だった人について、しばしば愚かな人によって、あやしく大仰な終焉の様相が語り継がれているが、それが果たして真相を語っているのかどうか、と疑問を呈している。というのも、法師によれば、そうした人々の臨終の姿のあるべき理想像は「静かにして乱れず」で、”怪しく、異なる相を語りつけ”、云った言葉も挙動も、"おのれの好きなように方向づけて誉めあげる”とい