日記:10月22日、土曜日、随想徒然草とともに(26)
午前7時、曇り空、静かな土曜日の朝である。
徒然草を読むにつけ、兼好法師というひとは、世捨て人とはいえ、あの動乱の世に、市井の片隅で名もなくひっそり暮らしていたわけではなく、よしなしごとなどと惚けてはいるけれども、時代を見据える眼は確かで、時代背景をともに想像しながらでないと、草紙の意味をきちんと捉えるのも難しい、とわかってきた。鎌倉時代から室町時代にかけての、大変動期の京の都で、下級ながら教養ある宮廷人として半生を過し、出家遁世ののちは、自由な法師の身で、人の世の浮き沈