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東方見聞録(ガロ系短編)

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私事ですが、ガロ系の漫画や、短編をこよなく拝読しております。 なぜ好むのか。それは物事の本質やある種敵を明確にそれでいて不明確に表現して見せてくれるからかもしれません。 まあ、と…
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記事一覧

一滴の記憶。(ガロ系短編)

一滴の記憶。(ガロ系短編)

第一幕(09:00AM)「きっと〜だろう。と言うのはいい加減やめてくれないかな。」

モーリー博士の口癖である。

彼は”きっと”とか”〜だろう”等の古典的な表現が少々お嫌いな様子を、しばしば私に見せる時がある。

それは”きっと”彼がこの世界で最後ー。だから”だろう”。

私はさっさといつも通りのルーティーンを彼に施して、彼の家を出た。
時間は午前9時手前。少し早いが、これも彼の好みである。

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自察未遂。(奇書の書き方講座①)

自察未遂。(奇書の書き方講座①)

今回は例題である”自察未遂”という、著者の”創作奇書”(今しがた適当に創作した物)を用いて著者的奇書の書き方講座をして差し上げると致しましょう。

先ず有権者の皆様に知っておいてほしいのは、世界には幾つもの奇書が存在するということ。
そして日本においてもそれは多く存在しております。
尤も、大概の場合奇書というやつは、奇書と言いながらも誰にでも簡単に書くことが出来ると云えるのですがね。この講座を読め

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なんだ。東京じゃないか。(ガロ系短編)

なんだ。東京じゃないか。(ガロ系短編)

第一幕今日も外はただの東京である。窓の外の景色にフォーカスを合わせたからではない。それはいつもの事だからそう思うのだ。

フォーカスってのは合うと心地よい。しかしどうだろう、気持ちの良い物は常に気持ちの悪い物が対となってくっついている物だ。

さて。

ここはいつもの東横線なのだ。外はしっかり見ていないけれども至極当然なのだ。ぼんやりと外の街並み、いつものビル群があるのが視界の淵からでも、ほら、分

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1時間20万円。(ガロ系短編)

1時間20万円。(ガロ系短編)

第一幕中学の時の歴史の教科書がここにある。
あれからもう15年も経ってしまったのだ。

「教科書なんかに紙を使うとはなんともったいないことだ。」

世界はここ130年間でいろんな些細な進歩や、国際情勢が遷ろいできた。

北、南等と元々一つの国を俗称で言い分ける必要もなくなった。

Gが7個だろうが、12個だろうが知ったこっちゃない論争は180年論争と呼ばれ、130年前から変わらずある種のセラピーの

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