ロバート・ハリス

1948年 横浜生まれ。作家、ラジオ・ナビゲーター。1971年上智大学卒業後、東南アジ…

ロバート・ハリス

1948年 横浜生まれ。作家、ラジオ・ナビゲーター。1971年上智大学卒業後、東南アジアを放浪、バリ島に1年、オーストラリアに延べ16年滞在。シドニーでは、書店&画廊「エグザイルス」を経営。香港で映画製作に携わり帰国、J-WAVEなどのナビゲーターとして注目され、執筆業で活躍。

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  • ロバート・ハリス、家を建てる。

    ”世界を旅した男が、ついに家を建てる"。長く暮らした家のこと、家族のこと、そして、これから建てる家のこと。徒然なるままに書きおろす新作コラム。

最近の記事

9.住みたい町/ロバート・ハリス、家を建てる。

旅人でも家について考える時がある、と以前このノートに書いたが、旅をしていて新しい国や地域に行くと、ぼくは果たしてここに住めるだろうか、住めるとしたらどのくらいの期間ここに住んで、どんな暮らしをするだろうか、といったことをよく考え る。そんなことに思いを巡らすのが楽しいし、気が つくとそうしている自分がいる 。 大学を卒業してすぐ旅に出て、東南アジアを数ヶ 月彷徨ったあとに立ち寄ったバリ島は想像以上に素 晴らしいところだった。1972年のこと。ぼくと、ア メリカの大学で知り

    • 8. MEMORIES/ロバート・ハリス、家を建てる。

      ハウスメーカー、もしくは建築事務所と家を建てる契約を結んだら、かなり早い時点で古家の解体、そして新居の着工という段階に入る、と勝手に思い込んでいたのだが、全然そんなことはなかった。 ここから間取りの細かいチェックと修正、外構や収納の打ち合わせ、設備メーカーを回ってキッチン、バス、トイレなどを選択(これが思ったよりずっと時間がかかります)、古家の家具、調度品、私物などの整理、照明やカーテンの選択、インテリア・デザイナーとの打ち合わせ、仮住まいの手配、引越し準備、などなど、やる

      • 【リコの家づくりノート】#02 コンセプト

        リコの家づくりノートは、ぼくとは違う視点の、妻の家づくりの記事を掲載するものです。彼女はぼくの家づくりのパートナー。でも、同じ家づくりをしていても、目線が違うので、気づかされることが多く、間取りや家の設備、構造などに関しても、「そうか、そういう見方があったか」とよく思います。たまに意見が衝突する時もありますが、ほとんどの場合、彼女の意見が通ります。なぜなら、彼女曰く、「私が正しいから」だそうです。          by ロバート・ハリス 家を建て替えることを本気で

        • 7.嵐の中の日々/ロバート・ハリス、家を建てる。

          初めて自分の家となったシドニーの繁華街の近くにある4階建てのテラスハウス. . . ここでの生活はとても優雅で充実したものであると同時に、波乱に満ちたものでもあった。  1階の一部屋を妻のオンディーヌの仕事部屋(彼女はここでクレヨン絵を描いていた)、もう一部屋には本棚やデスクを置き、ぼくの書斎にした。書斎からは中2階にある庭と、そこへと上がる石段が見え、陽光も豊富に注ぎ込んできた。ぼくはこの部屋で読書をし、友人を集めてポーカーゲームに興じ、しばらくすると映画監督を含む友人2

        9.住みたい町/ロバート・ハリス、家を建てる。

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        • ロバート・ハリス、家を建てる。
          10本

        記事

          6.旅人と家/ロバート・ハリス、家を建てる。

           家を建て替えようと決めてからそのことを人に話すと、「えっ?旅人のハリスさんが家を建てるんですか?. . . 」みたいなコメントがかなりの確率で返ってくる。  ぼくはその度に、「おいおい、旅人だって家を建てる夢はあるよ」とか、「なんだよ、旅人が家を建てちゃいけないのかよ」といった言葉を返しているのだが、彼らが言わんとしていることは分かる。旅人というものにはどうしても「定着しない人」、「旅を続けていく人」という意味合いが付いて回るからだ。  確かにぼくは幼い頃「いつか、親父

          6.旅人と家/ロバート・ハリス、家を建てる。

          【リコの家づくりノート】#01家づくり

          皆さん、今週からぼくとは違う視点で妻の家づくりの記事を掲載していきます。彼女はぼくの家づくりのパートナー。でも、同じ家づくりをしていても、目線が違うので、気づかされることが多く、間取りや家の設備、構造などに関しても、「そうか、そういう見方があったか」とよく思います。たまに意見が衝突する時もありますが、ほとんどの場合、彼女の意見が通ります。なぜなら、彼女曰く、「私が正しいから」だそうです。                  by ロバート・ハリス はじめまして。ハリスの妻のリ

          【リコの家づくりノート】#01家づくり

          5.彫りが深くてかっこいい家/ロバート・ハリス、家を建てる。

           新型コロナウイルスの蔓延によって緊急事態宣言が発令されてからは静寂が街に舞い降りた。横浜や東京の繁華街からは人の姿が消え、学校は閉鎖され(娘の大学も授業は全てオンラインに切り替えられた)、ぼくたち一家も家にいることが多くなった。でも、そんな中でも我々の家作りの計画は粛々と進められていった。 候補に残ったハウスメーカーや建築事務所とはZoomなどでやり取りを続け、前述した中川の住宅展示場「ハウスクエア」ではオンラインでのモデルハウス見学が可能なので、新しく候補となったハウス

          5.彫りが深くてかっこいい家/ロバート・ハリス、家を建てる。

          4.風通しの良い町/ロバート・ハリス、家を建てる。

           自粛生活が始まってからはよく妻と娘と近所を散歩するようになったと前述したが、散歩しながらよく思ったことがある。それは、今と比べると昔の町はもっとずっと外に向いて開いていて、風通しが良かったな、ということである。  ぼくは今いる横浜の高台の住宅地で生まれ育った。20代半ばから18年ほど海外にいたが、帰国してからもずっとこの高台で暮らしている。だからこのエリアのことはよく知っているつもりだ。  ぼくが小さい頃、家の前の道路はまだ舗装されていない土の道で、近所の悪ガキたち(中

          4.風通しの良い町/ロバート・ハリス、家を建てる。

          3.コロナと散歩/ロバート・ハリス、家を建てる。

           家作りのプランは順調に進んでいった。2019年も終わりに近づき、ハウスメーカーや建築家(当時は7社と話を進めていた)たちからそれぞれ間取りのプランや外観のデザイン画などが届き始め、細かい価格の見積もりなども提出されるようになった。  彼らとのやり取りで二つの問題、というか事実が浮上した。  それは、ぼくたちが家族会議で挙げた理想の家の条件を全て満たすとなると、1)家の大きさは最大で50坪どころか、60坪近い面積になり、2)価格も大幅にオーバーしてしまう、ということ。  

          3.コロナと散歩/ロバート・ハリス、家を建てる。

          2.いい家だよな〜/ロバート・ハリス、家を建てる。

           家を建てるにあたってまずやったことは、家族で「住まい会議」を開き、ぼくと奥さんと娘とで、どんな家に住みたいかを自由に書き上げることだった。予算のこととかはまず横に置いといて、それぞれの理想の家のアイディアをオープンに、思い付いたままに、書き綴って見ることにしたのだ。 二日ぐらいかけて3人が考えた理想の家の条件は次のようなものだった: *ゆったりしたキッチン・ダイニング・リビング *道路から家の中が見えない *彫りの深い、カッコいい外観 *吹き抜け *高い天井 *屋根付き

          2.いい家だよな〜/ロバート・ハリス、家を建てる。

          1.旅人であるぼくが、家を建てることになった理由。

          家を建て替えることにした。 今住んでいる家はぼくの父が作った家。横浜の丘の上の一軒家。駅までは行きは5分、帰りはかなり急な坂を登らなければならないので頑張って8分。酒が入っていると12分前後。敷地面積は115坪。家の面積は75坪。そう、一般的に言うとかなりデカイ家である。 ぼくが小さい頃はあまり大きくない平屋の日本家屋で、ジェーン台風が襲ってきたときは家ごと吹き飛ばされそうになった。風が唸り声を上げる中、親父とぼくとで玄関のドアを懸命に抑えたのを覚えている。 でも、父の

          1.旅人であるぼくが、家を建てることになった理由。

          noteをはじめます。

          皆さん、こんにちは。 ロバート・ハリスです。 この度、noteを始めることになりました。 ここでは、僕の"作家"としての作品を発表していきます。 旅や人生について書いたエッセイ。映画評。 ショートストーリー。 僕が家を建てるまでのストーリーを記したコラムなど、 新作の発表だけでなく、過去に出版した作品に、 加筆修正したものも発表していきます。 是非、楽しみにしていて下さい。 Robert Harris

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