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ラブコメの原点にして頂点~「或る夜の出来事」

いまでは当たり前となった「コメディ」というジャンル。
前に紹介した「モンキー・ビジネス」もその系統に連なる作品だが、その先駆けは1930年代頃に流行していた”スクリューボールコメディ”と呼ばれる一連の作品であった。
中でも興行的にも成功をおさめ、アカデミー賞主要5部門で受賞した最初の作品と言えば、1934年公開の「或る夜の出来事」である。

いまの感覚からすると、「これってコメディ?」というのが率直な印象ではないだろうか。でも、ストーリーはシンプルながらわかりやすく、ハッピーエンドで鑑賞後の後味も良いものだ。現代でも十分楽しめる作りになっている。

主演は当時スターとして活躍していたクラーク・ゲーブル。当時30歳そこそこなのだが、この色気といったら!
相手役のクローデット・コルベールもとてもキュートで、当時としても現代的な女性像として映ったのではと思えるような魅力的な演技である。

有名な「ジェリコの壁」やヒッチハイクのシーンもよいが、一つ一つの何気ない仕草やシーンがどれも洒脱で、どこを切り取っても絵になる映画だと感じた。

1934年にこのような映画が登場してしまっているということは、後世の映画人にとって多大なる影響とプレッシャーを与えたことだろう。今のラブコメの要素のすべてが既に込められてしまっているのだから。
白黒映画が苦手な人でも必見、これぞ映画・名画と呼べる作品であった。

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