RNRLL / ロックンロール・ラブレター

ロックンロールおじさん、ロックンロールおばさんに捧ぐ。自分が経験してきた田舎の音楽事情…

RNRLL / ロックンロール・ラブレター

ロックンロールおじさん、ロックンロールおばさんに捧ぐ。自分が経験してきた田舎の音楽事情をつらつらと書き連ねます。難しいことは書けません。うろ覚えの部分もあるのでご容赦を。こんなものに何の価値があるのかわかりませんが、自分の音楽遍歴確認と妻へのラブレター、家族への遺書も兼ねてます。

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はじめに

ロックンロールおじさん、ロックンロールおばさんに捧ぐ。 S県の田舎町で育った。町には1軒だけレコード店があり、川を渡った隣町にも1軒レコード店があったがこのレコード店は半分が時計店だった。 そんな田舎町だったので入ってくる音楽情報も2~3年ぐらい遅れていた。 電車に乗って一番近い「K市」に行くと、大きなレコード店が3軒ほどあり、そこでは音楽情報の遅れは1〜2年だった。 昭和の50〜60年代はこういう地方の田舎町が日本中至る所にあって、見てきた物、聴いてきた物、経験してきた事

    • 夏なんです/はっぴいえんど Natsu Nandesu / Happy End

      その夏はとにかく異常に暑かった。 S玉県のある市では毎日最高気温が更新されていた。 四国の四万十市では41.0℃というとんでもない気温が記録された。 太平洋高気圧とチベット高気圧が強まったとかなんとか。 とにかくとんでもなく暑い夏だった。 その年の夏、初めて富士山に行った。 丁度S県が申請していた世界遺産に登録されたからだ。 今年は富士山に多くの人が殺到することが予想された。 仕事の上でパートナーとなっていたS木君と二人で麓の駐車場に車を止め、バスに乗って五合目まで下見に

      • プリティ・ウィングス/マックスウェル Pretty Wings / Maxwell

        90年代後半から00年代にかけて俺の音楽体験は暗黒時代を迎えていたが、それにはいくつか理由があった。 1.仕事が忙しかった。転勤もあったし。 2.子育てが忙しかった。子供はすぐ大きくなってしまうので、なるべく時間を共有したかった。 3.会社を辞めて起業した。 これは大きかった。 とても音楽を聴いている暇は無かった。 自分が上手に世の中を渡っていけるタイプの人間でないことは起業して3か月で理解できた。 毎日死ぬ思いで仕事をした。 とても苦しい時期だった。 自分で会社を興

        • ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ/ザ・ビートルズ With A Little Help From My Friends / The Beatles

          仕事で付き合いのあったデザイナーのM内君が「iPod」とやらを買ったと電話してきた。 「面白いから見においで」 「おー行く行く」 初めて見るiPodとやらは、まっ白くて厚めのケースの真ん中に丸いスイッチ(スクロールホイール)が付いていて、いかにもアップルというデザインの製品だった。 M内君の作業デスクに誇らしげに鎮座ましましていた。 当時からデザイナーと医療関係者はMacintoshのPCを使っていた。 初期のiPodはMacintoshにしか接続できなかったのだ。 とこ

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        • 00年代以降(会社員~現在)
          2本
        • 1990年代(会社員)
          11本
        • 1980年代(高校生以降)
          43本
        • 1960年代(幼少期)
          2本
        • 1970年代(小学生~中学生~高校生)
          24本
        • 雑感
          3本

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          ディヴァイン・インターヴェンション/マシュー・スイート Divine Intervention / Matthew Sweet

          90年代以降の洋楽にはあまり詳しくない。 グランジやミクスチャーなどのオルタナティヴ系やブリットポップの有名どころはなんとなく聴こえてきたし、嫌いじゃないけどのめり込んで聴くまではいかなかった。 この時期は子供達のCD作ったり、仕事でグッタリしていたり、家を建てるためにいろいろ奔走したりと、音楽以外の部分に力を出さなければならなかったからしかたない。もう洋楽に対する情熱的なものも少し冷めて来ていたのもある。 そんな俺がある時あるCDに出会った。 とても美しい女性が毛皮

          ディヴァイン・インターヴェンション/マシュー・スイート Divine Intervention / Matthew Sweet

          誘惑について/ピチカート・ファイヴ Temptation Talk / Pizzicato Five

          バブル華やかかりし頃、エムザ有明でライブを見た。 ウオーターフロントとか言って湾岸開発で賑やかになってなんだかみんな浮かれていたころだ。 誰のライブかは忘れてしまったが、特に興味を持つようなアーティストではなかったのだろうか。 ブラックのファンキーな演奏だった記憶だけ残っている。 当時はもう帰郷して、結婚して、子供もいたので東京に来ることが久しぶりだった。 その日は知り合いのF子さんの結婚式だった。 目黒のこじんまりした教会で式を挙げた。 夫婦ともども招待されたので上の子供を

          誘惑について/ピチカート・ファイヴ Temptation Talk / Pizzicato Five

          ロビンソン/スピッツ Robinson / Spitz

          90~00年代前半にかけては俺にとって音楽の暗黒時代だ。 とても音楽どころではない。 仕事と子育てに追われていた。 平日は朝早く会社に出かけて帰ってくるのは夜遅く。 近所の奥さんからは母子家庭だと思われていたらしい。 その代わりと言っては何だが休日は思い切り子供たちと遊んで過ごした。 自宅周辺の公園は全て網羅したし、子供たちが勉強などしていると 「ねえねえ、勉強なんかしてないで遊ぼうよ」 と俺の方から遊びに連れ出したりした。 夏の暑い日は公園や川で水浸しになって遊んだし、冬の

          ロビンソン/スピッツ Robinson / Spitz

          ロケットマン/ザ・コレクターズ Rocketman / The Collectors

          K崎君がマッキントッシュ+(プラス)というコンピュータを買ってから何年か経っていた。 いつか自分も欲しいと思っていたが、家の経済事情が許さず、なかなか手が出ない状態が続いた。 なにせ扶養家族の妻、長男、長女、二男を食べさせないといけないからね。 妻は子育てに専念したいということでこの時期仕事をしていなかった。 薄給の俺は自分のことは後回しで家族の生活を最優先していた。 本当はK崎君が買った後すぐに買いたかったが、お小遣いの中から少しづつ貯めていって買えるまでに何年かかかってし

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          グリーン・オニオン/ブッカー・ティー・アンド・エム・ジーズ Green Onion / Booker T & MG's

          HR商会でソウルのレコードを物色していたらO城さんが 「俺君、俺君。今度すごいレコードが出るよ」と耳打ちしてきた。 「何ですか?」 この頃にはもうO城さんの「しもべ」と化していた俺は、薦められるレコードを全買いしていたのだった。 「これなんだけどさ」 O城さんがよこしたリリースには「THE COMPLETE STAX/VOLT SINGLES VOL.1」と書いてあった。 「アナログとCDとあるけどどっちにする?」 ええええええええええええ? 買う前提の質問だな。 もうこ

          グリーン・オニオン/ブッカー・ティー・アンド・エム・ジーズ Green Onion / Booker T & MG's

          コスミック・スロップ/ファンカデリック Cosmic Slop / Funkadelic

          80年代からMJ、プリンスは聴いていたけど、MJはポップに近い感じだし、プリンスもどちらかいうとエレクトロとかロックの延長のような感じで聴いていた。 UKのニューウェーヴ勢がソウル/ファンクに接近していったのも聴いていた。シンプリー・レッドとかファイン・ヤング・カニバルズとか。 でもやっぱりUKのブリット・ファンクなのであって、本格的なファンクを聴き始めたのはHR商会でO城さんにご教授頂いてからだった。 まず手始めに基本中の基本、JB、スライ、カーティス・メイフィールド、オハ

          コスミック・スロップ/ファンカデリック Cosmic Slop / Funkadelic

          アルファベット・ストリート/プリンス Alphabet Street / Prince

          1990年に東京ドームでプリンスを観た。 S野さんという地元の幼馴染と観に行こうと約束していたが、彼女は当日を迎える前に引っ越してしまった。 S野さんとはたまたま仕事帰りの電車でバッタリ会って、中学卒業以来何年振りかで話をした。 化粧品の美容部員をしていたので周りにオシャレな女の子が何人かいて、俺の仕事がらみの男どもから紹介してくれと言われていたので何回か会をセッティングしたりしていた。 当時はF原さんとは一時お別れしていて、フリーの時期だったので心置きなくその会にも出席

          アルファベット・ストリート/プリンス Alphabet Street / Prince

          アイ・ジャスト・ウオント・トゥ・メイク・ラヴ・トゥ・ユー/マディ・ウオーターズ I Just Want To Make Love To You / Muddy Waters

          ある日、H市の営業回りの最中にHR商会というレコード屋さんに寄りこんだ。 ここのお兄さんが、ブラックミュージックに精通していて、東京の俺が通っていた駅前のレコード店にも行ったことがあるという。 共通の話題が見つかった。 正直帰郷してからは音楽の趣味が合う人と出会うことはあまりなかった。 少し欲求不満が募っていたときだったので余計嬉しかったのかもしれない。 このお店を切り盛りしていたO城さんにはソウル、ファンク、ブルース、ジャズなどのブラックでファンキーな音楽をご教授いただいた

          アイ・ジャスト・ウオント・トゥ・メイク・ラヴ・トゥ・ユー/マディ・ウオーターズ I Just Want To Make Love To You / Muddy Waters

          メイヤー・オブ・シンプルトン/XTC Mayer Of Simpleton / XTC

           ある日K崎くんから電話がかかってきた。 「俺君、パソコン買ったから見に来ない?」 「いいよ、今から行くよ」 「ギターの音を入れて欲しいからギター持ってきて」 「分かった」 ギターとMTRを持って行ってみるとそこには小さな箱と化け物のような デカいプリンターが置いてあった。 K崎くんが言うには、 「これはアメリカのアップルっていうメーカーのパソコンで、マッキントッシュ・プラスって言うんだ」 「ほーほー」と俺。 とは言ったもののまったく意味は掴めていない。 当時はパソコンな

          メイヤー・オブ・シンプルトン/XTC Mayer Of Simpleton / XTC

          ティアーズ・イン・ヘヴン/エリック・クラプトン Tears In Heaven / Eric Clapton

          F原さん(俺の名字になったので今後は「妻」と表記)と結婚してアパートを借りて、一緒に住んでしばらくすると子供ができた。 二人で大喜びして産まれてくるのを今か今かと待っていたが、ある時病院に呼び出された。 どうも気になる影があるという。 地元の大学病院で検査を勧められた。 検査の結果、お腹の赤ちゃんの腎臓に水が溜まっていることが分かった。 医者が言うことにはちゃんとお腹の中で育たないかもしれない。 もし育っても産まれてこれないかもしれない。 産まれてきても重度の障害が残る可能性

          ティアーズ・イン・ヘヴン/エリック・クラプトン Tears In Heaven / Eric Clapton

          ランニング・アウェイ/カラーフィード Running Away / The Colorfield

          実家に戻って生活して3カ月ほど経った頃、新聞広告の求人欄を見て広告代理店の面接を受けてみることにした。 全く未知の仕事だったが、応募資格に大卒の記述が無かったので、とにかく受けてみようと思った。 業界のことは全く知らなかったが、名古屋本社でそこそこ大きな中堅どころの代理店だと後から知った。 現地採用なので希望しない限り転勤は無く、H市の駅前に事務所があって始業時間が9:30だった。 普通の会社は9:00だったから朝が遅いのは助かる。 あとで聞いた話だが、採用1名に対して応募し

          ランニング・アウェイ/カラーフィード Running Away / The Colorfield

          終わりなき旅/U2 I Still Haven't Found What I'm Looking for / U2

          故郷に帰るのを前提に東京のPA会社に勤めていたが、当時の音響業界はとても立場が低かった。 コンサートの全体予算からまず出演者のギャラが支払われる。当然だ。 次に会場、舞台関係が優先的に予算を取る。 そのあと照明が予算取りして、最後に残った予算で音響関係をなんとかやり繰りする。 その結果、労働環境は最悪なものとなる。 正直ある程度覚悟はしていたものの、あまりの給料の安さに音を上げた。 ここまで酷いのかと。 まだ何もできないのだから安くて当たり前と言えば当たり前だが、暮らして行く

          終わりなき旅/U2 I Still Haven't Found What I'm Looking for / U2