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ロケットマン/ザ・コレクターズ Rocketman / The Collectors
K崎君がマッキントッシュ+(プラス)というコンピュータを買ってから何年か経っていた。
いつか自分も欲しいと思っていたが、家の経済事情が許さず、なかなか手が出ない状態が続いた。
なにせ扶養家族の妻、長男、長女、二男を食べさせないといけないからね。
妻は子育てに専念したいということでこの時期仕事をしていなかった。
薄給の俺は自分のことは後回しで家族の生活を最優先していた。
本当はK崎君が買った後すぐに買いたかったが、お小遣いの中から少しづつ貯めていって買えるまでに何年かかかってしまったのだ。
そうこうしているうちに少し余裕ができ、妻にお伺いを立てたところOKが出て、普及機にあたるマッキントッシュ・パフォーマ575を購入した。
そして真っ先にやりたかったデスク・トップ・ミュージックを始めた。
パソコン本体に加えて、MIDIキーボード、音源(YAMAHA MU-80)、ソフト(Parfomer)を購入し、トータルで40万円ほどかかった。
たかっ!
妻は「小室哲哉のように大金を稼いでくれると助かるんだけどねえ」と。
何を言ってるんだねチミは?
とにかく初期のパソコンは設定が難しく安定性も無かった。
全部の機器をちゃんと接続したにもかかわらず、音が出なかったり、昨日までちゃんと鳴っていたのに今日になって突然音が鳴らなくなったりした。
よくフリーズしたので、入力したデータが吹っ飛んだりした。
「そろそろ保存しないとな」
と思ってやっている作業の途中でなぜかフリーズするのだ。
やってらんないよ!
当時はまだ本体のスペックが低かったので、音声の取り込みはパソコン上で処理できず、ドラムやベースを打ち込んでおいて、ギターとボーカルはMTRで編集した。
最初に打ち込んだのは当時よく聴いていたザ・コレクターズの「ロケットマン」という曲だった。
我ながら良くできたと思う。
その後何曲か打ち込んで自分なりに満足のいくパソコンライフを過ごしたが、仕事が忙しくなり、1~2年であまりパソコンをかまうこともできなくなった。
そしていつしか子供たちのお絵かき機と化していくのであった。
40万円の超高級お絵かきノートの誕生である。
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