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ディヴァイン・インターヴェンション/マシュー・スイート Divine Intervention / Matthew Sweet

90年代以降の洋楽にはあまり詳しくない。

グランジやミクスチャーなどのオルタナティヴ系やブリットポップの有名どころはなんとなく聴こえてきたし、嫌いじゃないけどのめり込んで聴くまではいかなかった。

この時期は子供達のCD作ったり、仕事でグッタリしていたり、家を建てるためにいろいろ奔走したりと、音楽以外の部分に力を出さなければならなかったからしかたない。もう洋楽に対する情熱的なものも少し冷めて来ていたのもある。

そんな俺がある時あるCDに出会った。

とても美しい女性が毛皮のフードをかぶってなんとも言えぬ表情で見下すようにこちらを見ているジャケットだ。

うおおおおおおおおお。
なんだこのジャケは!

この目線。
この目線に抗える男なんておるの?
俺は美しくて厳しめの女性に弱いのだ。
M属性あるのか?俺は(笑)

見た瞬間にジャンルとかそんなの関係なくこれは良い音楽に違いないと確信させるものがあった。
たとえ中身がダメダメでも、このジャケは所有しておくべきだと思わせるだけの強い何かを感じさせた。
ジャケ買いなる言葉の通りそのCDを購入して帰った。

家に帰って聴いてさらに驚いた。これまで聴いてきた音楽と比べても遜色ないどころか、ど真ん中の「ど」ストライクだった。
ビートルズマナーの楽曲、美しいメロディ、タイトなリズム、コーラスワーク、荒くれたギター。

ある意味このCDを買ったおかげで自分がパワーポップ好きなのだということを確信できた。特にUK物が好きだった俺をUS物へと視野を広げてくれたCDでもある。カントリー風味の曲もあるし。
本人もアニメ好きとか、写真見たら結構太ってるとか、愛され要素も多々あってどうにも憎めないキャラだった。

この頃から日本各地のいろんなレコードショップが合同でレコード・CDフェアと称してH市のホール会場を借りて共同出店したりしていた。レコードショップごとにジャンル分けが微妙に違っていてそれを解析するのも楽しかった。
たぶんあのアーティストはこの店のこのジャンルに入っているに違いない。
あ、こっちのジャンルだったか、と。
今でも憶えているのはニック・ロウのレコードがパワーポップという棚に入っていて、パワーポップという言葉をその時に初めて知ったし、ニック・ロウってパワーポップというジャンルなんだ、と思った。

とにかく俺にとっての90年代はこのアルバムとともにある。

あまり軽々には決められないし、決めるのに10年ぐらいかかりそうだけど、無人島に持っていく100枚の中の1枚であることは確かだ。
(そんなに沢山持ってくのかよ!)




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