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グリーン・オニオン/ブッカー・ティー・アンド・エム・ジーズ Green Onion / Booker T & MG's

HR商会でソウルのレコードを物色していたらO城さんが
「俺君、俺君。今度すごいレコードが出るよ」と耳打ちしてきた。
「何ですか?」
この頃にはもうO城さんの「しもべ」と化していた俺は、薦められるレコードを全買いしていたのだった。
「これなんだけどさ」
O城さんがよこしたリリースには「THE COMPLETE STAX/VOLT SINGLES VOL.1」と書いてあった。
「アナログとCDとあるけどどっちにする?」

ええええええええええええ?
買う前提の質問だな。

もうこの頃にはアナログをいちいちターンテーブルに乗せて聴く機会も減ってきていた。
CDは楽なんだもん。
「じゃあとえりあえずCDで。」

「国内版と輸入盤があるけどどっちにする?」
国内版はちょっと値段が高いな。
それにケースがCD棚に収まり悪そうだな。
輸入盤ならレコードの棚にちゃんと収まるか。
「じゃあとりあえず輸入盤で。」

なんせ9枚組だから結構な値段だ。
いわゆるBOXセットというものを初めて買ったのかもしれない。
この後からとにかくBOXセットなるものが雨後の筍のようにわらわらと出てきて「う~ん、俺って狙われてる?」と首をひねることが多くなった。

中身はおススメだけあって初期の素朴な感じのR&Bから中期に向かうSTAX色が出てきた感じの濃い濃いブラックミュージックのオンパレード。
9枚一度に聴くとさすがに疲労困憊した。
堪能しました。

その中に1曲印象的な曲があった。

Green Onion / Booker T & MG's

学生時代にT橋君がT銀座に住んでいた。
Charが住んでいるとか、これを銀座ってどうなのよ、とかいろんな噂話を聞いたので、ある日面白がって行ってみた。
商店街の中華料理屋で冷やし中華を食べた。
たまたま入ったその店の冷やし中華というのがこれが凄くて、冷やし中華の中華麺に春雨が乗っていて、錦糸玉子にゆで卵、ハムとチャーシュー、かまぼことナルト、トマトとミニトマトと具材がダダ被りしているのだ。
良く言えばサービス精神旺盛、悪く言えばひつこい(笑)
すごい冷やし中華だった。
いまだにあれを超える冷やし中華に出会っていない。
もちろん美味しかった。

で、食べた後T橋君の家に行ったのだが、T橋君が友達から裏ビデオを借りてきたという。
そんなもん健全な若者だから当然見るわな。
確か「ひでみの本番、またいっちゃう」というタイトル。

おおおおおおおお。
マジか!すげえ。
丸見えじゃん。
でもこれたぶんコピーのコピーのコピーぐらいだな(笑)
あれ?一番のクライマックスの所が何回もリピートされたからかテープが劣化していてトラッキングも合ってなくてグルグル縦に回っちゃうし、肝心なところがボヤボヤしててよく見えんぞおい(笑)
どうしてくれんだ!

日本の風俗史において見落とされているとても重要なことだが、裏ビデオがビデオデッキの普及に一役買っていたのだよ。
男はみんな裏ビデオ見たさにビデオデッキを買ったんだ。
ま、中には違う人もいただろうけど。

そしてこのビデオ、ひでみさんがえっちなことをしている間、ブッカーTとMG'Sのグリーンオニオンがずっと流れ続けていたのだ。
延々とリピートで。

そうか、この曲だったのか。
感慨深いな。

今の若者たちは労せずしてネットで見れちゃうからな。
けしからん。
こういう事は苦労した果てに手に入れるからこそ尊いんだよ。



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