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#1-1 リフレクションで視点が変わった 【教員インタビュー:浜田先生 #1】

みなさんこんにちは。リフレクションメソッドラボラトリー事務局です。リフレクションメソッドラボラトリー(以下RML)では「MAWARUリフレクション」というプロジェクトを行っています。

MAWARUリフレクションは、「リフレクションによる個人の気づきが周囲に循環し、社会を変える」をテーマに、教育にリフレクションを取り入れる活動を2016年から続けているプロジェクトです。(プロジェクトHPがありますのでぜひご覧ください。

本記事では、MAWARUリフレクションで新しく始めた「教員インタビュー」の記事をお届けします。教育現場で、先生がどのようなことを考えているのか、とても面白い内容になっていると思いますので、ぜひご一読ください。

記念すべき第一回の先生は、兵庫県で小学校の先生をされている浜田啓久さんのインタビューです!いつものようにPodcastも用意していますので、ラジオ代わりにもぜひ聴いてみてくださいね。

それではどうぞ!

VOL.1 浜田啓久(はまだよしひさ)さん

浜田啓久(はまだよしひさ)先生。兵庫県公立小学校教諭。淡路地区における「総合的な学習の時間」の教科指導員を務める。問いから始まる「企画づくり」や、仲間への問いかけから生まれる「リフレクション」の時間を大切にしている。漂流物アートを成果物にした「なにこれプロジェクト?」など、近年リフレクションカード®kidsを活用した授業づくりに取り組んでいる。また「社会とつながる学びを創る会」を設立し、学校の枠組みにとらわれない学びの場作りに挑戦中。

自己紹介・リフレクションとの出会い

淡路島で小学校の教員をしています浜田と申します。今回、リフレクションについてお話させていただきますが、この時間そのものが、私自身のリフレクションであり、出会っていない自分との出会いとなることを楽しみにしています。

私たちの現場では、リフレクションという言葉を使う先生はそれほど多くないと思います。また使われていたとしても授業中の学習のまとめ、振り返りとしてイメージされることが多いと思います。

私は、教師歴16年。振り返りの時間はもともと苦手で、どちらかというと苦痛な時間でした。先輩方より、振り返りの時間は、授業の中で意図的に入れること、また授業のねらいが、子供たちの振り返りの中に書かれていれば良い授業だと言われてきました。ですから、子供たちの振り返りを見ることが、楽しみなような、怖いような気持ちでした。振り返りを見た時に伝えたかったことが書けてない子のノートを見る度にがっかりし、そんな授業をした自分が悪いと、ネガティブに捉えていました。それが、振り返りに苦手意識を生んだ理由だと思います。また、そんな空気を感じとった子は、その場
にふさわしい振り返りというか、先生が喜ぶ振り返りを書こうと試みるなど、子供たちもネガティブな印象をもっていたのではないかと思います。

大学院でのリフレクションとの出会い

リフレクションとの出会いは、大学院の時でちょうど3年前になります。私は、総合的な学習の時間、特にふるさと学習を研究しようと大学院に入ったわけですが、当時ゼミの先生より「総合的な学習を一言で言うなら何?」と問われ、最終的に「自己への気付き」と捉えていくようになりました。
そこで、「自己への気付き」をどう促せばいいのか・・ そのことを追求していく中で、リフレクション、リフレクションカード®に出会います。
リフレクションカードはこちら

リフレクションカード®の魅力は方法論を学ぶだけでなく、やっていく中で、自分自身に問うことが楽しくなっていくという気付きがありました。その楽しさは、自分自身が使ったことのない問いとの出会いがあること、次々と違う問いが出てくること、その問いを使うことで今までとは違うコミュニケーションができること、相手とのやりとりそのもの等様々なものがあり、リフレクションそのものにはまっていきました。

山下:浜田先生は社会人を経てから大学院に行かれたということですが、どういう動機があったのですか?

学校現場でキャリアをこなしていく中で、限界を感じるようになりました。忙しさの中で、ものを考える余裕がなくなってきて、私がやりたいことは何だろう?とか、教師として子供たちに向き合う中で、自分自身は、何を強みとしているのだろうか?どんなスタンスで取り組めばいいのかと年々、わからなくなっていました。
ですので、積極的にこれを研究したいという動機だけで大学院に行きたいとなったわけでなく、一旦学校現場から離れて、自分自身の内面を言語化する、自覚すること、つまりリフレクションする必要な場面が必要となり大学院に行ったということになります。

山下:なるほど。大学院の学びを総括するとどうなりますか?

まさに「自己への気付き」だと思います。自分自身の内面を言語化することで、自分自身のやりたいことが言語化され明確になりました。それは、地域とともに価値ある教育をやっていきたいということです。 

生井:これまでのネガティブな振り返りという意識から大学院の学びを通して、変化のきっかけになったのはどういった経験があったからなのでしょう?

回答になるかはわかりませんが・・大学院では、たくさんの対話する機会がありました。授業が終わった後、自動販売機前で全国の先生方と何時間もした対話の中に、たくさんの気付きがありました。

その中でも印象的なエピソードがあります。テストの丸つけで、△を付ける際、△は+5なのか、−5なのかの議論がありました。多くの方は、−5でした。要するに、マイナスの考え方は、答えがあるものに対して、5点届かないものとして考える。プラスの考え方は、答えはあるけれども、ここまで(5点)までできるようになっている。下から見るか、上から見るか、見ている視点がちがうんですね。振り返りもそういうものかなと・・。

(子供が)自分はゼロベースからどれくらい学んでいるのか?と考えれば良いと思うのです。そういうスタンスで見ると、景色が大きく違って見えます。そしてなんといっても、先生ベースの視点で「あれもこれもまだ届いてない」とやきもきしている自分自身に気がついたことが大きかったと思います。

また私自身、これまでの実践の中で、全員が 100 点とか、全員が〇〇できるようになる!という実践にこだわるあまり、個の成長の価値が見えなくなっていたんですね。もっと個の変化に着目しないといけなかった、と気づいたんです。

生井:まさに、リフレクションの契機になったのは、大学院での学びと子供への見方、スタンスの変化によるものだったのでしょうね。

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本記事はここまでです。更新は毎週木曜日です。
第2回目もお楽しみに!

【浜田先生インタビューの記事】
#1 -1 浜田先生インタビュー(本記事)
#1 -2 浜田先生インタビュー 
#1 -3 浜田先生インタビュー
#1 -4 浜田先生インタビュー

インタビュイー 浜田啓久さん
インタビュアー 生井・山下
MAWARUリフレクションメンバー
(執筆:山下、一部編集:中島)
 


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