プロスポーツ選手とメンタルヘルス

プロスポーツ選手とメンタルヘルス

松本良平

プロスポーツ選手と題しましたが、今日紹介するトピックは主にプロサッカー選手のデータによるものです。
国際プロサッカー選手会(FIFPro)は1965年に設立された世界64か国のプロサッカーの選手会です。

選手会は選手の権利や健康を守る事が、その役割の1つです。

FIFProの公式ホームページで重要なトピックとして、メンタルヘルスが挙げられています。

元々、アスリートのメンタルヘルスは医学的にも、関心がもたれていたことでした。

2013年およびその後の追加で行われたアンケート調査で、現役選手の38%、引退選手の35%がうつ症状や不安症状に悩まされている事を報告しています。なお、睡眠障害は現役選手の23%、引退選手の28%、またアルコール依存症を含む使用障害に悩んでいるのは現役選手の9%、引退選手の23%、と大変高率でした。

なお、うつ症状および不安症状があるからといって、うつ病、不安障害というわけではありません。これらの症状の程度および持続期間によって診断名は変ります。いずれにしても、連続性があることをご理解ください。

同様以上の結果が、2015年のヨーロッパ5か国での調査研究でも報告されています。

また、他のプロスポーツ選手を対象とした調査研究も多数、学術誌で報告されています。

トップアスリートは心身ともにタフなパブリック・イメージがあるでしょう。しかし、彼ら彼女たちも生身の人間であり、心身に多くのダメージを受けながらキャリアを続け、あるいは断念し、そしてその後の人生を生きているのです。

DCSモデルで考えれば、プロ・スポーツ選手はストレスマネジメントが困難なのは当然です。

特に、負傷をした場合、メンタルヘルスの状態が悪化する事も報告されています。負傷の状態をオープンに出来ないケースも稀ではないでしょうし、チームメンバーは仲間でもありライバルです。コーチやスタッフへの相談も、場合によっては出場機会に影響を与えるかもしれません。したがって、自分の心身の状態を相談出来ない(=心理的サポートを得られない)、そして誤ったセルフケアの手段としてアルコール使用障害の比率が高くなっていると考えられます。

FIFProの記事では、シンプルですが、強いメッセージが発信されています。

信頼できる人を探して、話す
(“LOOK FOR SOMEONE YOU TRUST, AND TALK”)

このシンプルなことが、いかに困難なことであるかは、実は厚労省の労働者における調査でも明らかにされています(後日紹介します)。

このノートを読んで下さっている方はアスリートなのか、そうでないのかは私にはわかりません。ですが、アスリートであっても、そうでなくても、人は傷つき悩むものです。

誰でも、メンタルヘルスに問題を抱える事はあります。
DCSモデルに基づいたストレス・マネジメントが有効です。
ストレスを和らげるには、周囲からのサポートを得る事が大切です。
繰り返しますが、

信頼できる人を探して、話す
“LOOK FOR SOMEONE YOU TRUST, AND TALK”

ことが大切です。

ただ、信頼している人に、このような自分の姿や内面を見せたくない、という思いも多くの方が持つことでしょう。

もし、あなたが周囲(職場、学校、家庭、友人)に話せないのであれば、信頼に足るプロフェッショナルに委ねるべきです。実はFIFProもそのように推奨しています。

私は幼少期からジャンル問わずスポーツ観戦が大好きでしたので、ついついスポーツ選手のメンタルヘルスの記事を重ねてしまいました。ただ伝えたい事は、メンタルヘルスについて、誰もが(それが心身ともにタフと目されるプロスポーツ選手であっても、そうでなくても)もっとオープンに語れる世の中を実現したい、ということです。

そして、もしあなたが、信頼できるカウンセラーを必要としているのならば、マイシェルパがその一助になれるよう、これからも取り組んでいきます。

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松本良平
精神科専門医、医学博士 精神科病院院長・医療法人理事長等歴任 株式会社313代表取締役 オンラインカウンセリングサービス「マイシェルパ」を提供 https://my-sherpa.jp/