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業界レポート プラスチック製品製造業

今回は弊社独自で行っている業界レポート「プラスチック製品製造業」を取り上げたいと思います♪
業界レポートとは、リスクモンスターの心臓部であり、格付などの与信指標を生産・保守を行う「データ工場」が集計・分析しており、業界ごとの市場概要や業界動向、与信管理のポイントなどをまとめたレポートです。

こんにちは、佐々木正人です!
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※2020年12月公開「業界レポート プラスチック製品製造業」

(1) 市場概要

① 営業種目
‣ ポリエチレン
‣ ポリスチレン
‣ PET 樹脂
‣ フェノール樹脂
‣ メラミン樹脂

② 業界規模
総売上高 15 兆5,830 億円
上場企業数 39 社
非上場企業数 12,750 社

③ 業界サマリー
プラスチックの素材は、加熱により変形する熱可塑性樹脂(ポリエチレン、ポリスチレン、PET 樹脂など)と加熱により硬化する熱硬化性樹脂(フェノール樹脂、メラミン樹脂など)に分類される。熱可塑性樹脂は、ごみ袋やペットボトル、包装フィルムなどに用いられ、熱硬化性樹脂は、自動車部品や電気製品などに用いられる。

プラスチック製品とは、各種プラスチック樹脂(ポリエチレン、フェノール樹脂等)を成形・加工した製品を指し、用途別にフィルム・シート、ペットボトルなどの容器類、家電・自動車用の機械器具・部品がある。

中でも液晶用・工業用・食品用に活用されるフィルム・シートは、生産量全体の43.0%を占める主要製品である。

樹脂からプラスチックへの成形法は多数あるが、中でも熱可塑性樹脂をシリンダーに投入し、加熱溶解させ、金型に充填し成形する射出成形法は、複雑な形状や精密さを要する部品や製品を短時間で安価に大量生産できるため、高付加価値成形品に多用されている。

その他、原料樹脂をシリンダー内で加熱混練し、金型を通して、シートや断面形状の複雑な異形製品に成形する押出成形は、主にフィルムやシートの製造に使われている。

(2) ビジネスモデル

プラスチックは、原油→石油精製工場→ナフサ→プラスチック原料(合成樹脂)→プラスチック成形→加工→製品という工程を経て製品化される。プラスチック製品製造業者は、原料(樹脂)をプラスチックに成形する一次加工業者と、成形されたプラスチックの組立て・塗装・印刷を行う二次加工業者に分類される。

一次加工業者の多くは、大手自動車・電気機器メーカーの協力工場として、要望されたプラスチック製品を成形し、二次加工業者に加工を委託している。

二次加工業者の多くは、一次加工業者の下請企業であり、一次加工業者から金型、材料等の支給を受け、プラスチック製品の組立て・塗装などの加工を行っている。二次加工業者の半数近くが従業員10 人未満の零細事業者であり、短納期要求への対応や輸送コスト削減のため、取引相手である一次加工業者の近辺に事業所を構えるケースが多い。

一次加工業者は、顧客である大手自動車・電機メーカーの要望に対応するため、高機能プラスチック製品の開発や高機能成形技術、デザイン、加飾技術等によって差別化を図っている。一方、二次加工業者は零細企業が多く、一次加工業者の細かな要望に対応するため、少量の注文にも素早く対応できる小ロットの短納期生産の態勢を整えることで生き残りを図っている。

(3) 業界動向

【フィルム・シート製造業】
プラスチックは、錆に強く腐敗しない点がメリットとして挙げられるが、一方でこうした性質により廃棄後も自然に還らず、環境汚染につながるとの懸念が強まっている。焼却時に生じる二酸化炭素も地球温暖化の原因となることから、近年では環境に適した素材の利用が進んでいる。

国内では、2020 年7月よりレジ袋(プラスチック買い物袋)の有料化がスタートし、今後、環境への関心が一層高まることが予想されることから、斯業種においては、バイオマス(動植物に由来する有機物)素材を利用したプラスチックの需要拡大が期待される。

【機械器具・部品製造業】
販売先となる大手自動車・電機メーカーの海外進出に伴い、機械器具・部品を製造する中堅・中小のプラスチック製品製造業者の中国、東南アジア、インド等への生産移転が進んでいる。

また、アジア諸国の低価格品に対抗するため、大量生産が可能な製品は、海外で生産、または加工・組立てを行い、国内においては高付加価値製品や精密部品を生産するという住み分けが行われている。

プラスチック製品製造業界の販売額は、近年やや回復基調であったが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、再度の落ち込みが懸念される。一方で、アフターコロナの非接触型社会においては、個別包装や衛生面に優れたプラスチックの需要拡大、デリバリーやテイクアウトなどで使用される食品包装や感染対策に使用するプラスチック製品の需要増加が見込まれる。

その他、3D プリンターの素材となるABS 樹脂や境に害のない生分解性プラスチックなどの高機能素材にも注目が集まっている。

(4) 財務指標分析

(安全性分析)
プラスチック製品製造業は、製造業全体と比べて自己資本比率、流動比率がやや低い一方、固定比率、借入依存度は高くなっている。特に一次加工業者においては、他社との差別化のため、高品質製品の製造や多品種大量生産への対応が必要であることから、借入による設備投資が積極的に行なわれているものと考えられる。

(収益性分析)
利益率は、製造業全体と比べて低い数値となっている。プラスチック製品は、他の製造業と比べて製品単価が低く、生産品種も多いことから、利益率は低くなりやすい。また、原料である原油価格が2000 年代に入って急騰したことも一因と考えられる。

(効率性分析)
効率性においては、売掛債権回転期間が製造業全体と比べてやや長くなっている。斯業種には中小・零細企業が多いため、回収条件がやや不利になっていることが理由として考えられる。また、プラスチック製品製造業の付加価値生産性が製造業よりもやや高く、高付加価値製品や精密部品の生産にシフトしていることが要因と思料される。

(5) 与信限度額の考え方

■与信限度額の設定方法
与信限度額とは、取引において自社が許容する信用供与の最大額であり、いかなる時点でも超過してはならないものである。与信限度額は、「必要かつ安全な範囲内」で設定する必要がある。必要な限度額は、取引実態を基に算出し、安全な限度額は、自社の財務体力や取引先の信用力(格付)を基に算出する。

●与信金額(必要な限度額)
実際の取引において、必要となる与信金額。プラスチック製品製造業に対して発生する与信取引としては、原材料や機材の販売等での「売買取引」が挙げられ、継続取引における必要な与信金額は、以下のとおり算出される。

与信金額 = 月間の取引金額 × 回収サイト

取引を行う際には、自社の取引条件が斯業界の平均水準から大きく乖離していないか、確認すべきである。

買掛債務回転期間の業界標準値が「斯業界の平均的な支払サイト」を表しているため、「月間の取引金額×買掛債務回転期間の業界標準値」によって、与信金額の基準とすることができる。

プラスチック製品製造業に対する平均的な与信金額
= 月間の取引金額 × 2.0 か月

●基本許容金額(安全な限度額)
基本許容金額は、自社の財政がどの程度の貸倒れまで耐えうるかを予め計ることで、自社の体力を超える取引に対する牽制機能を働かせるものであり、自社の財務体力と取引先の信用力を考慮して算出する。一例として、自社の自己資本額に対して、取引先の信用力(格付)に応じた割合を安全な限度額とする方法がある。

基本許容金額 = 自社の自己資本額 × 信用力に応じた割合
(例 : A 格10%、B 格5%、C 格3%、D格0.5%、E 格0.3%、F 格0%)

●売込限度額(安全な限度額)
販売先において、自社との取引シェアが高くなり過ぎると、自社が取引から撤退することが困難となる恐れがある。そのため、取引先の信用力(格付)に応じて取引シェアに上限を設けるべく、取引先が抱える買掛債務額の一定割合を売込限度額として設定する方法が考えられる。

売込限度額 = 買掛債務額 × 信用力に応じた割合
(例 : A 格30%、B 格20%、C 格15%、D格10%、E 格6%、F 格0%)

仮に、取引先の売上高情報しかなく、買掛債務額が不明な場合であっても、業界標準値を用いて売上高総利益率(19.9%)と買掛債務回転期間(1.9 か月)から、以下のように買掛債務額を推定することができる。

買掛債務額 = 売上高/12[月商] × (1-0.209)[原価率] × 2.0(か月)[買掛債務回転期間]= 売上高 × 0.132
(例:売上高100 億円・A格の場合:100 億円×0.127[買掛債務額]×30%[信用力に応じた割合]=3.81 億円)

(6) 与信管理のポイント

プラスチック製品は、種類が多く用途も多岐にわたるため、取引先が取扱う製品の内容をきちんと把握しておく必要がある。特定業界向けの製品であった場合、販売先業界の動向が業績に大きく影響することから、注視しておく必要があろう。

プラスチック製品製造業は、プラスチックの成形を行う一次加工業者と、組立てや塗装、印刷などを行う二次加工業者に大別される。特に、下請けとなる二次加工業者においては、特定の一次加工業者に受注を依存しているケースがあるため、与信を行う上では、主要な取引先の動向や回収条件等についてもきちんと把握しておきたい。

また、大手・中堅規模の一次加工業者であっても、大手メーカーが販売先であった場合には、支払条件や回収条件が不利な契約になっている可能性があるため、力関係の把握をしておきたい。特に、特定の大手1社に依存した経営を行っている場合には、契約切れや受注の急激な変動による業績の悪化が発生する可能性があるため、最終販売先の動向も注視しておく必要があろう。

プラスチック製品製造業において、他社より優位な技術力を保有している点や、生産力の高い設備を有しているといった点が事業継続の重要な要素となる。技術力が乏しく、設備投資に消極的な企業では、業績が下降していく可能性が高いため、企業訪問の際には、設備投資の状況や稼働状況も確認しておきたいポイントである。

業界全体としては、原料となる原油を輸入に依存していることから、原油価格の上昇や円安進行による輸入価格の上昇が収益性低下につながる点に留意しておきたい。

【参考資料】
中小企業庁:「2018 年度中小企業実態基本調査」
経済産業省「2018 年度生産動態統計年報」
日本プラスチック工業連盟
業種別審査事典(一般社団法人 金融財政事情研究会)

本日の内容は以上になります。
次回もお楽しみにでは

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