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業界レポート 洗濯・理容・美容・浴場業

今回は弊社独自で行っている業界レポート「洗濯・理容・美容・浴場業」を取り上げたいと思います♪

業界レポートとは、リスクモンスターの心臓部であり、格付などの与信指標を生産・保守を行う「データ工場」が集計・分析しており、業界ごとの市場概要や業界動向、与信管理のポイントなどをまとめたレポートです。

こんにちは、佐々木正人です!
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(1)市場概要

① 営業種目
‣ 普通洗濯業
‣ 洗濯物取次業
‣ リネンサプライ業
‣ 理容業
‣ 美容業
‣ 一般公衆浴場業
‣ 洗張・染物業
‣ エステティック業
‣ リラクゼーション業
‣ ネイルサービス業
‣ その他の選択・理容・美容・浴場業

② 業界規模
総売上高 10 兆 5,092 億円 上場企業数 7社(1,888 憶) 非上場企業数 50,035 社

③ 業界サマリー
洗濯業、美容業、理容業、浴場業などの個人に対して身の回りの清潔を保持するためのサービスを提供する事業所が分類される。

総売上高の 48.6%は美容・理容業、39.6%は洗濯業が占めており、この2業種が中心となる。それぞれの分野で扱うサービスは以下の通りである。 なお本レポートでは、洗濯業および美容業・理容業を中心に記載する。

(業界としての特徴)
斯業種は、個人経営店や小規模企業が多く、設備の老朽化への対応や環境面に配慮した設備投資が必要になることが共通している。それぞれの業界としての特徴は以下の通りである。

【美容業・理容業】
‣労働集約型産業:顧客へのサービス提供そのものが商品であり、人的労働力に依存している。
‣倒産増加業種:新規出店が容易である一方、店舗数増加による過当競争により、倒産件数は増加傾向。

【洗濯業】
‣店舗数の減少:ファッションのカジュアル化によりクリーニング需要が減少し、店舗数は減少傾向で推移。
‣季節による需要の変化:衣替えの時期である4月~6月、10 月に需要が増加する傾向がある。

(2) ビジネスモデル

美容・理容業は、サービスの提供方法として、原則1人のスタッフが1人の顧客に接することとなり、サービスそのものが商品となる。サービスの大部分を人的な労働力に依存していることから、典型的な労働集約型産業と言われている。

各サービスの料金は、技術内容や立地条件、地域性、競合先の料金を考慮して設定されている。業界内の競合関係が激しいため、値上げが困難である一方で、優秀なスタッフの確保が競争力を維持する上で欠かせないため、サービス原価に占める人件費の割合が高い。

固定顧客の獲得が売上の増加に直結するため、各店舗は他社と差別化を図るべく、エステティック関連事業の拡充や、ファッション性の高い店舗内装の改修等、サービスだけでなく店舗全体としてのファッション性の訴求が必要となる。

洗濯業は、クリーニング業とリネンサプライ業に大別される。クリーニング業では個人顧客が中心であり、 顧客が店頭で受渡しする「持込方式」が一般的であるが、一部の企業では各家庭や企業を訪問して集配する「外交方式」を実施している。

リネンサプライ業では法人顧客が中心で、営業部門・集配部門・工場部門(洗浄等) の3部門に大別される特徴がある。クリーニング業とリネンサプライ業のいずれのサービスにおいても、最終的に工場部門に集約されて洗浄・修復作業等が行われる。

多工程かつ大量作業が特徴であり、効率化・省力化を図るため、洗浄機械等の機械設備導入が欠かせないことから設備投資に対する資金需要が高く、環境問題への対応として公害防止関連装置等の導入も必要となる。

(3) 業界動向

美容・理容業では、美容師および美容所数は毎年増加している一方、理容師および理容所数は緩やかに減少している。個人経営店における後継者不足、低価格チェーン店等の台頭による競争激化、来店頻度の低下等により、美容・理容業の倒産件数は 2015 年から4年連続で増加して推移している。

美容・理容業では、従来から化粧品販売が主力事業の1つであったが、近年、エステティックサロンやネイルサロンにも進出することでトータルファッションサービスを展開し、顧客の囲い込みを図る美容所が増加している。

洗濯業では、家庭での洗濯の容易化や、ファッションのカジュアル化の影響により、クリーニング需要が減少しており、クリーニング所・取次所の施設数は 2000 年度と比較して4割以上減少している。

特に、主要顧客である旅館業(ホテルや旅館)の施設数の減少が顕著であることから、今後も厳しい事業環境が続くことが想定される。

クリーニング業で使用される溶剤などの仕入費用は、原料価格高騰の影響受けやすく、販売価格に転嫁しにくい事業構造であるため、溶剤の原料である原油価格の変動や為替動向により業績に影響を受ける。

(4) 財務指標分析

(安全性分析)
流動比率は、生活関連サービス業と同様に、現金収入が主体であることから高い水準となっている。

借入依存度、固定比率は、生活関連サービス業と比べて高い。個人経営店や小規模企業が多い中、設備の老朽化への対応や環境面に配慮した設備投資が必要であるため、借入に依存した経営構造となっていることが窺える。

(収益性分析)
売上高総利益率は、生活関連サービス業の約2倍の高水準となっている。美容・理容業は、労働集約型産業であり、人件費が営業経費の大部分を占めていることが要因である。業界内の競争も激しいことから美容料金の値上げは困難であるため、人件費の高騰が利益の減少に直結する。

(効率性分析)
洗濯・理容・美容・浴場業は、リネンサプライ業における法人向けの売掛取引があるため、個人向け現金取引中心の生活関連サービス業と比べて、売掛債権回転期間はやや高い水準となっている一方、買掛債務回転期間や棚卸資産回転期間は生活関連サービス業とほぼ同水準となっている。

(5) 与信限度額の考え方

■与信限度額の設定方法
与信限度額とは、取引において自社が許容する信用供与の最大額であり、いかなる時点でも超過してはならないものである。与信限度額は、「必要かつ安全な範囲内」で設定する必要がある。

必要な限度額は、取引実態を基に算出し、安全な限度額は、自社の財務体力や取引先の信用力(格付)を基に算出する。

●与信金額(必要な限度額)


実際の取引において、必要となる与信金額。洗濯・美容・理容・洗濯業に対して発生する与信取引としては、商品、設備等の「売買取引」が挙げられ、継続取引における必要な与信金額は、以下のとおり算出される。

与信金額 = 月間の取引金額 × 回収サイト

取引を行う際には、自社の取引条件が斯業界の平均水準から大きく乖離していないか、確認すべきである。 買掛債務回転期間の業界標準値が「斯業界の平均的な支払サイト」を表しているため、「月間の取引金額×買掛債務回転期間の業界標準値」によって、与信金額の基準とすることができる。

洗濯・美容・理容・浴場業に対する平均的な与信金額 = 月間の取引金額 × 0.3 か月

●基本許容金額(安全な限度額)

基本許容金額は、自社の財政がどの程度の貸倒れまで耐えうるかを予め計ることで、自社の体力を超える取引に対する牽制機能を働かせるものであり、自社の財務体力と取引先の信用力を考慮して算出する。

一例として、自社の自己資本額に対して、取引先の信用力(格付)に応じた割合を安全な限度額とする方法がある。

基本許容金額 = 自社の自己資本額 × 信用力に応じた割合
(例 : A 格 10%、B 格5%、C 格3%、D格 0.5%、E 格 0.3%、F 格0%)

●売込限度額(安全な限度額)

販売先において、自社との取引シェアが高くなり過ぎると、自社が取引から撤退することが困難となる恐れがある。そのため、取引先の信用力(格付)に応じて取引シェアに上限を設けるべく、取引先が抱える買掛債務額の一定割合を売込限度額として設定する方法が考えられる。

売込限度額 = 買掛債務額 × 信用力に応じた割合
(例 : A 格 30%、B 格 20%、C 格 15%、D格 10%、E 格6%、F 格0%)

仮に、取引先の売上高情報しかなく、買掛債務額が不明な場合であっても、業界標準値を用いて売上高総利益率(67.1%)と買掛債務回転期間(0.3 か月)から、以下のように買掛債務額を推定することができる。

買掛債務額 = 売上高/12[月商] ×(1-0.671)[原価率] × 0.3(か月)[買掛債務回転期間] = 売上高 × 0.099
(例:売上高 100 億円・A格の場合:100 億円×0.099[買掛債務額]×30%[信用力に応じた割合]=2.97 億円)

(6) 与信管理のポイント

【理容・美容業】
2015 年から4年連続で倒産件数が増加している中、約9割が個人経営店の倒産であることから、美容大手企業、海外ブランド美容院チェーン店、低価格チェーン店、個人経営店のどの系列に属しているかの把握が必要である。

比較的容易に開業でき、既存店舗と新規店舗で提供されるサービス内容が基本的に差異が生じないことから、商圏の人口動態、競合店舗の存在、店舗へのアクセス状況等を確認し、同業他社と比べ立地条件の面で優位性があるかどうか確認する必要がある。

理容・美容業の売上は、美容師・理容師が提供するサービスによるものであり、人的サービス部分に重点が置かれることから、従業員数を把握し、従業員一人当たりの売上高を算出することで、同地域の競合他社と比較することが重要なポイントといえる。

また、サービス提供分の支払いが日銭として入ることから、短期的な資金繰りは安定する傾向にある一方、 ファッションの多様化に伴って、店舗にも高いファッション性が求められることから、老朽化した店舗の建替や流行に合わせた店舗改修などに資金需要が発生する。

金融機関との関係が良好か、借入余力はあるかについても確認しておきたい。

【洗濯業】
洗濯業の資金需要は、店舗・設備の老朽化に伴う更新費用である。設備の主体となるクリーニング機械・装置は比較的高額であることから借入負担も大きく、借入に見合った収益力を有しているか確認する必要がある。

また、小規模零細業者が多いことから、商圏の将来性、競合店の有無等を確認し、過剰投資していないか確認することもポイントである。

中小零細業者は、価格の差別化が難しいことから、大手企業との価格競争に対抗するのではなく、衣類の補修や衣服の取扱い方法の相談、環境保全への取組姿勢のアピール等、「街のクリーニング店」として小回りをきかせた細かいサービスが求められる。

近年は、独自の洗浄方法を開発し、シミ抜きや汚れ落としの能力を高めることで、他社との差別化を図る企業も出てきており、顧客にリピート利用される店舗であるかについても確認しておきたい。

【参考資料】
中小企業庁「平成 30 年度中小企業実態基本調査」
厚生労働省「衛生行政報告例の概要(2000 年度~2018 年度)」
業種別審査辞典(一般社団法人金融財政事情研究会)

本日の内容は以上になります。
次回もお楽しみにでは

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