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業界レポート 金属製品製造業

今回は弊社独自で行っている業界レポート「金属製品製造業」を取り上げたいと思います♪
業界レポートとは、リスクモンスターの心臓部であり、格付などの与信指標を生産・保守を行う「データ工場」が集計・分析しており、業界ごとの市場概要や業界動向、与信管理のポイントなどをまとめたレポートです。

こんにちは、佐々木正人です!
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(1) 市場概要

① 営業種目
‣ ブリキ缶、その他のめっき板等製品 ‣ 金属素形材製品
‣ 洋食器、刃物、手道具、金物類 ‣ 金属線製品(ねじ類を除く)
‣ 暖房装置、配管工事用附属品 ‣ ボルト、ナット、リベット、小ねじ、木ねじ等
‣ 建設、建築用金属製品(製缶板金業を含む) ‣ その他の金属製品
‣ 金属被覆、彫刻業、熱処理業(ほうろう鉄器を除く)

② 業界規模
総売上高 30 兆7,429 億円
上場企業数 73 社
非上場企業数 41,477 社

③ 業界サマリー
金属製品製造業に分類されるのは、鉄および非鉄金属製品を原材料とした金属製品の製造業者である。金属を使用する製品のうち、生産用機械・業務用機械・電気機械・輸送用機械など、大型機械器具は別業種に分類される。

主な製品は、食缶、洋食器、金属プレス製品、機械刃物、作業工具、鉄骨・橋梁、鉄塔、サッシ、シャッター、金網、ばね、ねじ、金庫など、機械用部品や比較的小型の最終製品である。

金属製品製造業に分類される製品は多岐に渡り、業績は各最終消費業界の動向に左右されやすい。斯業種において、特に規模の大きい製品は、鉄骨・橋梁(建設業界向け)、金属製サッシ(住宅業界向け)、金属プレス製品(自動車業界向け)、食缶(個人消費)である。

金属製品製造業は、日本のものづくり産業を支える高い技術力を持った企業が多く属しており、一部の大手企業を除いて、特定製品のみを製造する中小企業が多い業界である。

類似業種との規模を比較すると、事業所数が最も多く、平均従業員数が最も少ないことが分かる。従業員10 人未満の事業所割合が70%を超えており、中小・零細企業の割合が高いことが分かる。

(2) ビジネスモデル

金属製品製造業の製造品目や販売先業界は多岐に渡るものの、鉄鋼や非鉄金属などの金属精錬製品を原材料として仕入れ、金属部品や最終製品に加工していくというビジネスモデルは共通である。

金属製品製造業は、販売先であるユーザー企業(自動車や建設、住宅メーカー等の大規模企業)のニーズに合った製品を製造する受注生産型が主体であり、各業界のユーザー企業に対して、製品設計への参画や周辺技術のコーディネートを行うことができる大規模な部品メーカーを頂点とした産業構造が構築されている。

近年、コスト削減を目的に製造業者の海外生産へのシフトが進んでいるが、中小零細企業の多い金属製品製造業においては、依然として国内の小規模工場で生産しているケースが多い。それでも、技術力や納期面、多品種小ロット生産などユーザー企業の細かなニーズに対応することで、コストの安い海外企業に対する優位性を維持している。

(3) 業界動向

金属製品製造業全体としては、近年緩やかな回復傾向となっている。2008 年のリーマンショックなど、景気悪化の影響を受けて落ち込みが続いていたが、オリンピックや復興需要および近年の景気回復を受けて、建設・住宅業界向けを中心に改善の傾向がみられる。

近年は、金属製品のユーザー企業である組立型産業(自動車や建設業界)において、中国を中心としたアジア地域へのシフトが急速に進んでいる。そのため、規模の大きい電気機械や自動車、生産用機械製造業など組立産業における部品は、コスト面を考慮して現地調達の割合が増加しており、国内企業にとってやや厳しい状況となっている。

従来、高い技術力を要する精密部品などの分野において、国内企業の競争優位性が高かったが、近年は海外企業の追い上げが進んでいる。こうした中、技術面の優位性を維持することが難しい企業は、IT化や積極的な設備投資を行うことで、競争力を保っている。一方、依然として技術力に優位性のある企業においても、ユーザー企業の短納期要請や多品種小ロット生産に応じるなど、様々なニーズに対応することで生き残りを図っている。

また、従来の産業構造にも変化がうかがえる。低コスト化や製品寿命の短サイクル化など需要環境の不確実性が高まる中で、長年の取引関係を見直し、海外企業を含めた最適調達へのシフトが進んでいる。

(4) 財務指標分析

(安全性分析)
金属製品製造業は、非鉄金属製造業に比べて流動比率が高く、固定比率が低くなっている。これは、金属製品の品質が、最新の設備ではなく職人の高い技術力をベースにしたものであり、他の製造業と比較して設備投資のサイクルが長いためだと考えられる。

(収益性分析)
金属製品製造業は、非鉄金属製造業と比べて、売上高総利益率は2倍以上の水準を確保しているものの、売上高経常利益率はわずかに低い水準となっている。海外企業に比べて高精度という付加価値がある一方で、多品種小ロット生産に対応していることが、収益性の低下につながっていると思料される。

(効率性分析)
金属製品製造業は、非鉄金属製造業に比べて棚卸資産回転期間が短くなっている。一般的に、ユーザー企業からの短納期要請に応じようとする場合、納期対応するために製品在庫を保有しておかなければならないことで、在庫は増えやすくなる。しかし、近年の短納期および多品種小ロット生産に対して効率化を徹底し、対応してきたことによって、製造のリードタイムが短縮化され、棚卸資産回転期間の短期化につながっているものと考えられる。

(5) 与信限度額の考え方

■与信限度額の設定方法
与信限度額とは、取引において自社が許容する信用供与の最大額であり、いかなる時点でも超過してはならないものである。与信限度額は、「必要かつ安全な範囲内」で設定する必要がある。必要な限度額は、取引実態を基に算出し、安全な限度額は、自社の財務体力や取引先の信用力(格付)を基に算出する。

●与信金額(必要な限度額)
実際の取引において、必要となる与信金額。金属製品製造業に対して発生する与信取引としては、鉄鋼や非鉄金属の販売等での「売買取引」が挙げられ、継続取引における必要な与信金額は、以下のとおり算出される。

与信金額 = 月間の取引金額 × 回収サイト

取引を行う際には、自社の取引条件が斯業界の平均水準から大きく乖離していないか、確認すべきである。買掛債務回転期間の業界標準値が「斯業界の平均的な支払サイト」を表しているため、「月間の取引金額×買掛債務回転期間の業界標準値」によって、与信金額の基準とすることができる。

金属製品製造業に対する平均的な与信金額 = 月間の取引金額 × 1.6 か月

●基本許容金額(安全な限度額)
基本許容金額は、自社の財政がどの程度の貸倒れまで耐えうるかを予め計ることで、自社の体力を超える取引に対する牽制機能を働かせるものであり、自社の財務体力と取引先の信用力を考慮して算出する。一例として、自社の自己資本額に対して、取引先の信用力(格付)に応じた割合を安全な限度額とする方法がある。

基本許容金額 = 自社の自己資本額 × 信用力に応じた割合
(例 : A 格10%、B 格5%、C 格3%、D格0.5%、E 格0.3%、F 格0%)

●売込限度額(安全な限度額)
販売先において、自社との取引シェアが高くなり過ぎると、自社が取引から撤退することが困難となる恐れがある。そのため、取引先の信用力(格付)に応じて取引シェアに上限を設けるべく、取引先が抱える買掛債務額の一定割合を売込限度額として設定する方法が考えられる。

売込限度額 = 買掛債務額 × 信用力に応じた割合
(例 : A 格30%、B 格20%、C 格15%、D格10%、E 格6%、F 格0%)

仮に、取引先の売上高情報しかなく、買掛債務額が不明な場合であっても、業界標準値を用いて売上高総利益率(23.7%)と買掛債務回転期間(1.6 か月)から、以下のように買掛債務額を推定することができる。

買掛債務額 = 売上高/12[月商] ×(1-0.237)[原価率] × 1.6(か月)[買掛債務回転期間]= 売上高 × 0.102
(例:売上高100 億円・A格の場合:100 億円×0.102[買掛債務額]×30%[信用力に応じた割合]=3.06 億円)

(6) 与信管理のポイント

金属製品製造業全体でみると、足元では建設や住宅業界向けを中心に堅調に推移している。ただし、震災後の復興需要やオリンピック需要といった特殊要因による影響が大きく、需要一巡後の影響は注視しておくべきであろう。

金属製品製造業の営業品目は多岐に渡っており、販売先業界の動向に業績が左右されやすいことから、取扱製品と販売先業界の把握が与信管理の第一歩となる。また、販売先企業のニーズに対応する格好で生産体制が変化する可能性があることから、主要な販売先企業についても把握しておきたい。

前述のような理由から、単一業界向けの事業である場合には、外部要因への対応が難しく、業績の変動が大きくなる。一方、取扱製品が複数存在する場合は、事業ポートフォリオの調整を行うことで、業績の変化に対応することが可能となるため、生産調整が可能な事業形態であるかどうかについても確認しておく必要がある。

金属製品製造業は、日本のものづくりを支える中・小規模の企業が多く所属している業界である。海外企業に比べてコスト面で劣っている国内中小企業が現在でも生き残っている要因は、技術面での優位性によるところが大きい。

しかし、近年はアジア各国の技術面での追い上げが目立っているため、与信管理を行う上では、特許の保有状況や得意とする技術の競争力などの情報も重要な判断要素となる。

また、金属製品製造業に限らず、近年の中小企業の倒産要因として、「人手不足」や「後継者難」が目立っている。中小企業の比率が高い斯業種においては、技術の継承や後継者が十分に育っているかといった定性分析も重要となろう。

【参考資料】
経済産業省:「工業統計調査」
総務省統計局:「平成28 年経済センサス」
財務省:「平成29 年度法人企業統計調査」

業界レポート 金属製品製造業 2020.02

本日の内容は以上になります。
次回もお楽しみにでは

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